2012 Formula NIPPON
No.1 アンドレ・ロッテラー
まさに五月晴れという好天に恵まれた5月13日(日)、ツインリンクもてぎ(栃木県)で2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第2戦の決勝レースが行われた。昨年のチャンピオンであるNo.1 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が、ポールポジションから見事な勝利を果たした。2位はNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)、3位にはロッテラーの僚友No.2 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が入賞した。
午後2時30分。気温が24℃、路面温度が40℃というコンディションの中、フォーメーションラップがスタート。1周の隊列走行が終わり、全車正規グリッドに着くと、いよいよ52周先のゴールに向けて、正式スタートが切られた。ここでトップを守ったのは、ポールポジションからスタートしたNo.1 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)。最初の動き出しはロッテラー以上に良かったが、フロントロウスタートのNo.2 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)は、オーバーテイクまではいたらず、2番手のまま1コーナーへと入って行く。その後方では、予選4番手のNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)が動き出してすぐにラインをアウト側に振り、大外狩りでNo.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)をパス。3番手に立った。これに伊沢、No.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、No.16 山本尚貴(TEAM 無限)、No.20 松田次生(TEAM IMPUL)、No.8 ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO)、No.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)と続いた。
No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
トップのロッテラーは1周目から一貴に対してほぼ1秒のマージンを稼ぎ、一貴もデ・オリベイラに対して同じく1秒以上の差をつけて戻って来る。しかし、その後、この3台の差はそれほど大きく開くことがなく、こう着状態の中でレースは進んだ。これは、どのドライバーも、ピットでのロスタイムをできる限り少なくするため、燃費を抑えて走行していたから。とは言うものの、トップ3台のペースはずば抜けており、4位以下を置き去りにしていった。
トップ争いの後ろに目を転じると、6番手の山本と、それに続く松田、デュバルが序盤から接近戦に。しかし、デュバルは松田に接近して走った結果、ブレーキがフェード気味となり、5周目の1コーナーで止り切れずにコースオフ。その後ろにいた小暮も、つられるような形でスピンオフしてしまう。デュバルはすぐにコースに戻ったが、13番手までドロップ。一方、小暮はここでエンジンをストップさせてしまい、戦列から去ることとなってしまった。また、9周目に入って、トラブルに見舞われたのは、No.38 平手晃平(Project μ/cerumo・INGING)。4周目あたりからシフトダウンに問題を抱えていた平手だが、その症状が悪化してギアが5速でスタック。何とかポジションを守ろうと奮闘していたが、最後はスロー走行となりピットに戻った。チームは、マシンを修復。終盤になってから、コースに復帰させている。
No.1 アンドレ・ロッテラーを追う
No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ 上位陣のピット作業が始まったのは、ちょうどレースが折り返したあたりから。まず28周を終えようかというところで、7番手を走行中の松田がピットイン。17秒7というピット作業でコースに戻る。この翌周には、2番手の一貴、6番手の山本がピットイン。一貴の停止時間は21秒5と少々長めだった。また山本も、松田よりは停止時間が長く、コースに戻った直後の2コーナーで、松田の先行を許している。さらに、30周を終えようかというところで前半4番手につけていた伊沢、その翌周にはロッテラーと塚越もピットイン。デ・オリベイラは、さらにその1周後にピットに入った。ここでロッテラーの停止時間は20秒6。対するデ・オリベイラは17秒4と3秒のゲインに成功。デ・オリベイラがピットを出た時には、ロッテラーの目前でコースに戻ることに成功している。だが、タイヤの冷えているデ・オリベイラに、オーバーテイクボタンを使用しながらロッテラーが迫る。3コーナーの進入では、アウトから並びかけたロッテラーに対し、デ・オリベイラもブロックをしかけたが、ここでブレーキをロック。ロッテラーがクロスラインでイン側に切り込み、トップの座を取り返した。その後方には一貴がいたが、一貴は後半に入ってペースが上がらず、デ・オリベイラに迫ることはできなかった。
そこからの20周あまりは、昨年の王者であるロッテラーと2010年王者のデ・オリベイラの、息詰まるマッチレースとなる。特に、終盤に入ると、ロッテラーのブレーキバランスがリア寄りとなり、苦戦。デ・オリベイラとの差が1秒を切ってくる。しかし、ロッテラーはブレーキバランスを前寄りに持って行くことで、何とかこの苦境を切り抜けた。そして、最後までポジションを守って、今季初優勝。ポール・トゥ・ウィンを達成した。これに続いたのは、最後までロッテラーを追いつめたデ・オリベイラ。そこから大きく引き離されはしたが、3位に中嶋一貴が入賞し、ランキングトップの座を守っている。またPETRONAS TEAM TOM'Sは、昨年に引き続き、開幕戦からの連勝を決めて見せた。
No.2 中嶋一貴
No.40 伊沢拓也
2位 No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ / 優勝 No.1 アンドレ・ロッテラー / 3位 No.2 中嶋一貴 / 優勝チーム 舘 信秀監督