2012 Formula NIPPON
No.40 伊沢拓也
9月23日(日)、スポーツランドSUGO(宮城県)で2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第6戦の決勝レースが行われた。雨の降る中で行われた難しいレースだったが、ポールポジションのNo.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が、トップを譲ることなく、自身初のフォーミュラ・ニッポン優勝を成し遂げた。2位には伊沢の僚友、No.41 塚越広大が入り、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは今季2度目のワン・ツーフィニッシュ。3位にはNo.8 ロイック・デュバルが入った。No.2 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)は5位となり、ランキングトップを堅持。フォーミュラ・ニッポン初参戦の現役インディカー・ドライバーのNo.15 佐藤琢磨(TEAM 無限)は9位でフィニッシュした。
セーフティーカーを先導にレースがスタート
予選日と一転、生憎の雨となった9月23日(日)のスポーツランドSUGO。いつもより1時間遅い午後3時にフォーメーションラップスタートが切られる予定だった、フォーミュラ・ニッポン第6戦。だが、各車がダミーグリッドに着く頃に、雨脚が強くなったため、レースはセーフティーカースタートとなった。
気温18℃、路面温度21℃と肌寒いコンディションの中、18台のマシンはセーフティーカーに先導され、グリッドを離れる。そして、ちょうど4周を終えたところから、実質的にレースが開始された。
一気にリードを奪ったのは、ポールポジションのNo.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と予選2位の僚友No.41 塚越広大。3番手につけるNo.20 松田次生(TEAM IMPUL)は、スタート直後から無線に問題を抱えており、セーフティーカーが抜けるタイミングが分からず、加速が遅れてしまい、前の2台を逃がしてしまう。その後方では、No.16 山本尚貴(TEAM 無限)が、No.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)に追突する波乱も起こっているが、上位に順位変動はなくレースは進んで行った。
激しいバトルとなったNo.7 大嶋和也とNo.8 ロイック・デュバル
軍配はデュバルに。
序盤から激しいバトルとなったのは、6番手争い。No.7 大嶋和也(Team LeMans)のテールにNo.8 ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO)が食いつき、幾度もオーバーテイクのチャンスを狙う。そして、11周目の2コーナー、デュバルはアウトから並びかけると、続く3コーナーでインを取り、大嶋攻略に成功した。
同様に、序盤はトップ争いも激しく、塚越は伊沢の背後に迫ったが、14周目のハイポイントでは止りきれずコースアウト。再び差を詰めた20周目のS字立ち上がりでも軽くコースアウトするなど、なかなかオーバーテイクをすることはできなかった。大嶋をオーバーテイクし、前を行くNo.2 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)に迫って行ったデュバルも、17周目の馬の背コーナーではブレーキングで止り切れず、真っ直ぐ行ってしまうなど、コースはこの頃、非常に水が多い状況でもあった。しかし、20周を過ぎたあたりからは、各車のギャップも2〜5秒に開き、どのドライバーもほぼ単独走行に入ったため、コース上でのハプニングは起こらず、展開も落ち着いた。
上位のマシンがピットに入り始めたのは、68周のレースが折り返した頃から。まず37周を終えたところで5番手走行中のデュバルがピットイン。わずか12周を終えたところでピット作業を終えていたNo.1 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)の前でコースに復帰する。デュバルの翌周には、4番手を走行中だった一貴がピットへ。一貴の給油時間は、デュバルよりも2秒あまり短かったが、デュバルはここで一貴の前に出ることに成功した。さらに、40周を終えたところで3番手を走行中の松田がピットイン。しかし、給油リグがなかなか給油口にささらず、大きくタイムロス。ピットストップに15秒あまりを費やしただけでなく、リグから漏れたガソリンがサイドポンツーンにかかり、松田が走り出した途端、軽い火災が発生。この火は、走行中すぐに自然消火したが、ヒヤッとする場面でもあった。。
チームメイトと接触するもランキングトップを守ったNo.2 中嶋一貴
その後、45周を終えたところで大嶋とNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)がピット作業を行っている。トップの2台は、それよりもさらに引っ張り、2番手を走っていた塚越が、50周を終えたところでピットイン。その翌周、いよいよトップの伊沢もピットに入る。残りは17周。このまま2台が簡単に逃げ切るかと思われた。
ところが、58周目の最終コーナー。クルマに異変を感じていた松田がピットに向かおうとした直前、松田の右リヤタイヤが突然マシンから脱落。松田はスピンを喫し、コースサイドの芝生の上に止ってしまう。このマシンを回収するために、コース上にはセーフティーカーが導入された。これで各マシンの差は一気に詰まり、再スタート後は激しいポジション争いが行われるかと思われた。
そして、残り5周というところで、いよいよレースは再スタートとなったが、その直前のSPアウトコーナー立ち上がりでNo.62 嵯峨宏紀(TOCHIGI Le Beausset Motorsport)がスピン。周回遅れの嵯峨は、セーフティーカーランの時に、たまたま塚越とデュバルの前、伊沢の後ろにいたが、これによって伊沢は再び逃げのモードに入ることができた。一方、2番手争いでは、デュバルが加速に遅れ、塚越攻略はならず。結局、そこからの5周でトップ3にポジションの入れ代わりはなかった。
スポット参戦のNo.15 佐藤琢磨はポイント圏内を走行するも
不運なアクシデントで9位完走となった その後方では、一貴を大嶋がオーバーテイク。ロッテラーは、それに続こうと試みたが、3コーナーで一貴のインに入ろうとしたところで一貴の左後方から接触してしまう。これにより、ロッテラーはスピンしてコースアウト。ポジションを大きく落としてしまった。フロントウィングを破損した状態でロッテラーは最後まで走り続けたが、10位完走。ポイント獲得はならなかった。
結局68周のレースを終えて、優勝を果たしたのはポールポジションから一度もトップの座を明け渡さなかった伊沢。参戦5年目にして、自身初のフォーミュラ・ニッポン優勝だった。2位には塚越が入り、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGが第3戦オートポリスに続き、ワン・ツーフィニッシュを果たした。3位にはデュバルが入賞。以下、大嶋、一貴、デ・オリベイラ、No.10 金石年弘(HP REAL RACING)、No.38 平手晃平(Projectμ/cerumo・INGING)までが入賞している。
5位に入った中嶋一貴は4ポイントを追加して38ポイント。ドライバーズランキングの頂点を堅持した。一方、昨年度チャンピオンのロッテラーはノーポイントで終わり、ランキング3位に後退。2位に入賞の塚越はランキング2位に浮上した。2レース制の最終戦鈴鹿(11/3,4)で2回のポール、2勝できれば18ポイントが追加できる。最終戦にチャンピオンの可能性を残したのは、ランキング7位の大嶋までの7人となった。
2位 No.41 塚越広大 / 優勝チーム 村岡潔監督/ 優勝 No.40 伊沢拓也 / 3位 No.8 ロイック・デュバル