No.40 塚越広大
11月17日(土)、今季最後のビッグレース「JAFグランプリ SUPER GT & Formula NIPPON “富士スプリントカップ 2012”」の公式予選が、富士スピードウェイ(静岡県)で行われ、No.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が、ポールポジションを獲得し、EBRRO賞を手にした。この大会では最高速のトップ3にも川崎フロンターレ賞が贈られるが、最高速トップだったNo.2 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)は、タイムアタック中にコースアウトしてしまった。
No.1 アンドレ・ロッテラー 昨日の秋晴れから一転、晩秋の冷たい雨が降る1日となった11月17日。富士スピードウェイでは、事前の予定を10分早めて午前10時05分からフォーミュラ・ニッポンの予選が行われた。今回の予選は、シリーズ中のノックアウト方式とは違い、1台ずつがアタックするスペシャルステージ方式で行われる。
午前10時05分に、気温9℃、路面温度9℃というコンディションの下、小雨の中で始まった予選は、今季のランキング下位からの走行となる。まずコースに入ったのは、No.18 折目遼(SGC by KCMG)。2周のウォームアップを終えて、アタックに入った折目のタイムは1分48秒887に留まる。だが、これに続いて走行したNo.62 嵯峨宏紀(TOCHIGI Le Beausset Motorsports)は、暴れるマシンを押さえつけるような果敢なドライビングを見せ、1分43秒707まで大きくタイムアップ。これがまずは各ドライバーにとってのターゲットタイムとなる。
3番手で走行したNo.31 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)は、コンマ4秒ほど嵯峨に届かず。続いて4番目にコースに入ったNo.15 佐藤琢磨(TEAM 無限)は、嵯峨のタイムを1秒半余り上回る、1分42秒129を叩き出す。しかし、5番手に走行したNo.3 安田裕信(KONDO RACING)は、アタックラップのダンロップコーナーでオーバーラン。ノータイムに終わり、最下位となった。そして、6番目にコースに入った国本が素晴らしい走りを見せる。ウォームアップ1周目から、果敢にタイヤを温める動きを見せた国本は、アタックラップに入ると各セクターで琢磨のタイムを上回り、FTRS(トヨタの育成プログラム)育ちらしくセクター3もキレイにまとめた。その結果、ここで1分40秒927までタイムを伸ばし、トップに立っている。
ちょうどこの頃から、雨脚が強まり、その後に走ったドライバーたちは、ハイドロプレーニングに苦しむことに。No.10 金石年弘(HP RWAL RACING)、No.16 山本尚貴(TEAM 無限)、No.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)までは、どのコーナーでも4輪ドリフト状態で、全くタイムを伸ばすことができなかった。この状況が続けば、国本初ポールポジションという可能性もうかがわせる展開だった。
No.39 国本雄資
しかし、10番目にコースに入ったNo.38 平手晃平(Project μ/ceromo・INGING)は奮闘。それまでの3人が1分44秒台のタイムしかマークできなかったのに対し、平手は1分42秒439までタイムを伸ばしてくる。これに続いて走行したNo.20 松田次生(TEAM IMPUL)、No.7 大嶋和也(Team LeMans)らが再び1分44秒台だったことを考えれば、平手の頑張りは際立っていた。
ちょうどこの頃から、再びコンディションが好転。雨脚が弱まり、最後は止むという展開になった。そこで終盤は、激しいタイムアタック合戦に。13番目に走ったNo.8 ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO)は1分43秒178に留まったが、続いてコースに入ったNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)は、一気に1分41秒801を叩き出し、国本までコンマ9秒というところまでタイムを伸ばしてきた。
そして、いよいよ国本のタイムを上回ってきたのは、No.1 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)。ロッテラーは、セクター2でほんの少しミスしたというものの、その他はキレイにまとめて1分40秒577を叩き出す。これで暫定トップに立った。これに続いて走行したNo.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、セクター2まではロッテラーと互角のタイム。しかし、セクター3では各コーナーでマシンがスライドし、国本のタイムにコンマ3秒及ばなかった。
これに続いてコースに入ったNo.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、この予選スタイルで定番になってる自ら選ぶアタックミュージックに美空ひばりの“お祭りマンボ”をBGMにアタックに入る。各コーナーをスムースにクリア。伊沢よりもダウンフォースをつけていったのことも幸いしたのか、マシンを滑らせることなくセクター3をまとめて、ロッテラーのタイムをコンマ2秒近く上回り、トップに立つ。こうなると期待が高まるのは、最後にコースに入ったNo.2 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)がどんなタイムを出すのかということ。ウォームアップ2周目のセクター2、セクター3で、塚越を上回るタイムをマークしていた一貴がアタックに入ると、その挙動に視線が集まる。1コーナー手前のスピードトラップでは、その一貴が時速281.177㎞とトップをマーク! だが、その直後のブレーキングで、一貴は若干オーバーラン。ここでは何とか4輪がコースオフするという状況を回避したが、続くコカ・コーラ コーナーへのアプローチでは、攻め過ぎてスピンアウト。ノータイムに終わってしまった。その結果、ポールポジションを獲得したのは、塚越。以下、ロッテラー、国本、伊沢、オリベイラ、さらには琢磨と続いている。
最高速では一貴がトップ。2、3位は279.854km/hのロッテラー、274.460km/hの伊沢となった。
18日の決勝レースは、再びドライコンディションの中で行われるものと見られる。どんな展開となるのか? フロントロウの2台だけでなく、3番手の国本、自己最高6番グリッドの琢磨のスタートには注目。また最後列スタートとなる一貴がどこまで追い上げるのかもレースの見どころだ。
No.41 塚越広大 / No.2 中嶋一貴