5月31日、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第3戦の決勝レースは、雨が降ったり止んだりの微妙なコンディションの中、No.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)が優勝。そして、ツインリンクもてぎのある栃木県出身のルーキー、No.10塚越広大(HFDP RACING)が一時トップを走る健闘で4位となり、地元ファンを喜ばせた。
No.2 ブノワ・トレルイエ
レースはスタート前から波乱が続出。スターティンググリッドでNo.7国本京佑(Team LeMans)のマシンに電気系トラブルが発生し、出走できず。さらに、フォーメーションラップ中に、No.41 伊沢拓也(DOCOMO DANDELION)がまさかのスピン。早くも2台が脱落した。
No.8 石浦宏明
決勝スタートでポールポジションの小暮は好スタートでトップに立つ。予選2位のNo.31ロイック・デュバル(NAKAJIMA RACING)は、2コーナーで予選3番手の塚越に抜かれ、さらにNo.36アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM’S)と軽く接触してスピン。ここでリタイヤとなった。トップ争いは小暮と塚越が展開。スタート時の燃料が軽かった塚越がS字から小暮に並びかけ、V字コーナーでアウトから抜き、トップに立った。この後、小暮は90度コーナーでオーバーランし、3番手に落ちる。この頃から雨の量が増え、9周目に入ると、どのドライバーも格段にラップタイムが落ちる。そして、各車が給油とレインタイヤへの交換にピットへ入る。この後、トップをキープしたのは23秒5という長いピットストップを終えた塚越。しかし、アウトラップの90度コーナーでコースオフし、ロッテラーが背後に迫る。さらに、小暮、ピット作業で先行した石浦、平手、トレルイエ、立川、松田、ライアンと続く。この中で動きがあったのは、6番手争い。3コーナーからオーバーテイクボタンを使用した立川が、5コーナーでトレルイエをかわした。その後、立川と平手のバトルとなるが、16周目のV字コーナー手前でこの2台が接触し、共にコースアウト。トレルイエが5番手に浮上した。
No.10 塚越広大
ちょうどこの頃、トップ争いも白熱。レインタイヤでなかなかペースを上げられない塚越が、17周目の5コーナーで単独コースオフ。ロッテラーと小暮が先行した。小暮はさらにロッテラーも抜き、トップを奪い返した。後方ではトレルイエが石浦、さらに塚越を抜き、3番手に浮上した。
この頃には、雨が再び止み、路面は乾き始める。そのため、24周終了目前に塚越がピットイン。スリックへと履き替えてコースに戻った。その翌周には石浦と松田、さらにその翌周には小暮、ロッテラー、トレルイエがピットに入り、やはりスリックタイヤに交換した。これでトップは小暮。以下、上位は塚越、ロッテラー、トレルイエ、石浦となる。その直後、30周目の2コーナー立ち上がりで、立川がガードレールにクラッシュし、コースの中央にストップ。そのため、セーフティーカーが導入された。立川のマシンの回収が終わり、リスタートは33周終了時。しかし、この頃から再び気まぐれな雨が降り始める。ここで滑りやすい路面に足を取られてしまったのが、3位走行中のロッテラー。ロッテラーは、36周目の90度コーナーでコースオフ。大きく順位を落とすことになった。
その2周後、38周終了直前で、小暮、トレルイエ、石浦、ライアン、ロッテラーがピットイン。再びタイヤをレインに交換する。しかし、ただ1台、ピットに入らなかったのが塚越。これで塚越が再びトップに立った。この時、2番手の小暮とは約27秒差。そして雨は強まる。小暮のラップタイムは1周あたり1秒半から3秒ほど塚越を上回っていた。その差は見る間に縮まり、残り4周でコンマ6秒あまり。もう塚越はなすすべなく、V字で小暮が再度トップを奪い返した。最終ラップ、塚越はさらにトレルイエに、そして石浦にも抜かれた。
その結果、小暮は2007年第8戦もてぎ以来、1年半ぶりとなる歓喜の勝利を手にした。2位はトレルイエ、3位に石浦となった。もてぎを最も沸かせた塚越は4位と、デビュー戦から3戦連続の入賞を果たした。
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2位 No.2 ブノワ・トレルイエ/優勝 No.32 小暮卓史・中嶋監督 /3位 No.8 石浦宏明
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