9月27日(日)、今季最終戦となるフォーミュラ・ニッポン第8戦の決勝レースがスポーツランドSUGO(宮城県)で行なわれ、No.31ロイック・デュバル(NAKAJIMA RACING)が今季4勝目を挙げた。また、No.10 塚越広大(HFDP RACING)が4位となり、ルーキー・オブ・ザ・イヤー(最優秀新人賞)を獲得した。ドライバーズとチームチャンピオンは前戦オートポリスでデュバルとNAKAJIMA RACINGが決定している。
No.36 アンドレ・ロッテラー この日は、昨日の予選から一転、晩秋を思わせる冷え込みとなった。お昼前になると、空は黒い雲に覆われ、決勝レースがスタートして間もなく霧雨が降り出し、非常に難しいコンディションになった。
レースがスタートしたのは午後2時33分。予選トップ3のマシンはいずれもそれほど好スタートではなかったものの、その中で予選2番手のNo.32小暮卓史(NAKAJIMA RACING)が1コーナーまでにトップに立つ。これに続いたのは、デュバル。さらにNo.1松田次生(LAWSON IMPUL)がアウト側から3番手に浮上しかけたが、松田は1コーナーにイン側からアプローチしていたNo.8石浦宏明(Team LeMans)と2コーナー進入部分で接触し、ハーフスピンして、7番手まで順位を落とした。その結果、3番手に石浦、4番手に塚越、5番手にNo.36アンドレ・ロッテラー、6番手にNo.37大嶋和也(PETRONAS TOM'S)と続く。このオープニングラップの最終コーナーで、まずオーバーテイクボタンをプッシュして、前をうかがったのは塚越。塚越はコントロールラインまでに石浦を攻略。3番手に浮上している。その後は、小暮とデュバルの2台が逃げる展開。その後方では、7周目のストレートで8番手争いを演じていたNo.40リチャード・ライアン(DOCOMO DANDELION)に後方から迫ったチームメイトのNo.41伊沢拓也(DOCOMO DANDELION)が接触し、伊沢はフロントウィングにダメージを追い、ライアンもタイヤにダメージを負って、両者ともに予定外のピットインを余儀なくされた。
No.20 平手晃平
ちょうどこの頃から、SUGOには霧雨が振り出して路面がセミウェットとなり、各車のラップタイムが大きく落ち始める。そのため、トップを走っていた小暮と松田、大嶋が、13周を終えた所でピットイン。レインタイヤに交換すると同時に、給油を行なってコースに戻った。松田と大嶋は、その後チェッカーまで走り続けたが、小暮はレインに交換した後、雨が降り止んだため、再びスリックに交換。さらに、もう1度レインに交換と、計3回のピットストップを行なって、優勝戦線から離脱した。一方、小暮の最初のピットイン後、トップに立ったのはデュバル。その背後には塚越が迫り、両者は超接近戦に。さらにその後方から目を見張るような追い上げを見せたのは、No.2ブノワ・トレルイエ(LAWSON IMPUL)。トレルイエはスタート直後に10番手まで順位を落したが、DOCOMO DANDELIONの2台がピットインした後、12周目の馬の背コーナーで松田、19周目には同じ馬の背でロッテラーをオーバーテイク。さらに22周目のヘアピン立ち上がりで石浦がスピンすると、3番手まで浮上した。その同じ周の馬の背では、トップに立っていたデュバルがブレーキングでコースアウト。塚越がトップに立つ。そこでデュバルは、22周を終了したところで、ピットイン。同じ周に石浦、予選12位から7番手まで上げてきたNo.20 平手晃平(ahead IMPUL)もピットに入った。さらに、28周終了時にロッテラー、30周終了時に塚越がピットイン。
No.10 塚越広大
その結果、トレルイエが一時トップに立つ。これに続いたのは、デュバル、No.7国本京佑(Team LeMans)、ロッテラー、平手、石浦。この時点では、レインタイヤ勢のラップタイムの方が、唯一スリックタイヤを装着しているトレルイエよりも3~4秒速く、デュバルがみるみるトレルイエの背後に迫ってきた。それをトレルイエは何とか凌いでいたが、35周目のSPアウトコーナー立ち上がりで、右側のタイヤを若干縁石に乗り上げて、コントロールを失う。その結果、トレルイエはイン側にコースアウト。コースには戻ったが、デュバルの先行を許した。さらに38周目のヘアピン立ち上がりでは、ロッテラーがトレルイエをオーバーテイクし2番手に浮上する。その後方のドライバーもトレルイエに迫るが、トレルイエはオーバーテイクシステムで巧みに加速し、さらに1コーナーのブレーキングは誰よりも遅く、スリックタイヤとは思えない技を見せ、レインタイヤの後続車に簡単には抜かせなかった。これが今日のレース最大の見所となり、場内を大きく沸かせる。しかし、結果的に雨が弱まることは無く、43周目のSPアウトコーナー立ち上がりで平手、44周目のレインボーコーナーでは塚越、45周目のヘアピン立ち上がりでは石浦が、それぞれトレルイエの前に出ることに成功した。その後、49周目の1コーナーでは4番手に浮上していた塚越がコースアウト。一時は石浦が前に出る。しかし、塚越は57周目の1コーナーでオーバーテイクボタンを使用して、再び石浦の攻略に成功した。トレルイエや塚越だけでなく。このレースでは各ドライバーがスタートダッシュから、要所要所でオーバーテイクシステムを活用。抜きにくいと言われるこのサーキットで多くのパッシングシーン、ドライバーの意志が伝わるバトルシーンを観客に披露していた。
レインに履き替えてからトップを奪った時点で、デュバルはすでに14秒ほどのマージンを持っていた。終盤にはロッテラーがその差を詰めたが、最後まで届かず、デュバルが有終の美を飾る今季4勝目をマーク。2位にはロッテラーが入賞した。3位には、レインに履き替えるタイミングがピシャリとはまった平手。今季初表彰台を獲得した。以下、塚越、石浦、大嶋、松田、国本までが入賞した。
No.8 石浦宏明
No.37 大嶋和也
今回のレースで最大の見せ場を作ったトレルイエは、最終的には9位に終わり、ポイント獲得はならなかった。しかし、小暮が大きく順位を落としたため、ドライバーズランキングでは、トレルイエが2位をキープ。ロッテラーが今日の結果で3位に浮上。小暮は4位に留まった。またチームランキングでは、PETRONAS TOM’Sが2位となり、これまで6年間連続でチームタイトルを獲得してきたIMPULは、今季は3位でシーズンを終えた。
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2位 No.36 アンドレ・ロッテラー/優勝 No.31 ロイック・デュバル, 中嶋 悟監督/3位 No.20 平手晃平
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