7月12日、鈴鹿サーキット(三重県)で行われた全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第5戦の決勝レースは、開幕戦以来の完全ドライコンディションとなった。梅雨明け間近ということで、気温/路面温度だけでなく湿度も高い、ドライバーには非常に厳しいコンディション。その中で43周の決勝レースが行なわれ、No.31 ロイック・デュバル(NAKAJIMA RACING)が今季3勝目をマークして、ポイントリーダーとなっている。
フォーメーションラップがスタートしたのは、午後2時30分。この時点で、気温は30℃、路面温度44℃と、立っているだけでも汗ばむようなコンディションとなった。1周の隊列走行を終え、13台のマシンが全車正規グリッドに付くと、シグナルオールレッドからブラックアウト。ここでホールショットを奪ったのは、予選2番手のNo.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)。ポールポジションのデュバルは、シグナルと動き出しのタイミングが合わず、2番手に後退してしまう。これに続いたのは、6番手から最もイン側のラインを爆走して一気に浮上してきたNo.2 ブノワ・トレルイエ(LAWSON IMPUL)。以下、予選3番手のNo.10 塚越広大(HFDP RACING)、予選4番手のNo.1 松田次生(LAWSON IMPUL)、予選11番手のNo.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S)と続いた。しかし、今回はスタートでフライングと判定されたドライバーが多数。松田、塚越、No.41 伊沢拓也(DOCOMO DANDELION)、No.40 リチャード・ライアン(DOCOMO DANDELION)、ロッテラーが相次いでドライブスルーペナルティーを科せられることになった。
No.32 小暮卓史
トップ3のオーダーには変わりなし。しかし、4番手以下は大きく入れ代わり、No.8 石浦宏明(Team LeMans)、No.20 平手晃平(Ahead IMPUL)、No.48 立川祐路(CERUMO/INGING)、No.7 国本京佑(Team LeMans)、No.37 大嶋和也(PETRONAS TOM'S)となる。これ以降に、ペナルティーを受けた松田、ロッテラー、塚越、伊沢、ライアンが続くこととなった。
No.2 ブノワ・トレルイエ
トップ集団は、予想通りNAKAJIMA RACINGの2台が、逃げる展開。小暮とデュバルは、序盤から3番手のトレルイエ以下を1周あたり1秒ずつ引き離し、大きなマージンを作ることとなる。またトレルイエも石浦をジワジワ引き離してマージンを稼いでいった。その後、15周を過ぎたあたりからは、首位争いにも変化が。デュバルのタイムが大きく落ちはじめ、タイムの落ち幅が少ない小暮が次第に抜け出していく。この頃から、ルーティンのピット作業を行なうチームもちらほら出現。トップ集団では23周を終えたところで、2番手のデュバルがピットへ。さらに、25周を終えたところでは、トレルイエと石浦がピットイン。26周を終えると、トップを快走していた小暮もピットに入っている。だが、全車がピットインを終えても小暮、デュバル、トレルイエ、石浦、平手までのオーダーは変わらない。
No.8 石浦宏明
ところが、32周目、突然ハプニングが発生。2番手のデュバルに10秒以上の差をつけてトップを快走していた小暮が、突如スローダウン。ギヤが4速から動かなくなり、ラップタイムも一気に7〜8秒ほど落ちる。その結果、34周目のバックストレートでトップが交代。デュバルが一気に首位に立った。その後方からはトレルイエが猛プッシュ。自己ベストを叩き出しながら、小暮との差を詰めていく。一時30秒近くまで開いていた差は、みるみる縮まり、37周を終えたところでは6秒1。だが、突然小暮のマシンが復調し、逆転には至らなかった。
結局、運にも味方される形で、デュバルが前戦に続き2連勝。ランキングでもトップに立ち、トレルイエからリーダーズレッド(ランキングトップが使う赤いオーバーテイクランプ)を奪った。2位には小暮が入り、NAKAJIMA RACINGは今季初の1−2フィニッシュ。トレルイエが3位表彰台を獲得した。一方、その後方では、ファイナルラップに大きなアクシデントが発生。6番手争いをしていた国本と松田が130R手前で接触し、2台は揃ってコースアウトしてしまう。幸い両ドライバーに大きなケガはなかったものの、松田は左手人差し指を負傷。明日以降、詳しい検査を受けることになっている。この両者の接触、コースアウトで、ポジションが繰り上がったのは、立川、ロッテラー、伊沢。ここまでがポイントを獲得することになった。
No.20 平手晃平
No.48 立川祐路
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2位 No.32 小暮卓史/優勝 No.31 ロイック・デュバル・中嶋監督 /3位 No.2 ブノワ・トレルイエ
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