5月17日、この4月に新装された鈴鹿サーキットで行われた全日本選手権フォーミュラ・ニッポンは第2戦の決勝レース。スタート直前になって雨が降り、ウェットコンディションの中で行なわれた。どのドライバーもグリッド上でセットアップを変更するなど難しい状況でのスタート。そんな中、予選3位のNo.31 ロイック・デュバル(NAKAJIMA RACING)が今季初優勝を果たした。4位には2年目のNo.20 平手晃平(ahead TEAM IMPUL)が入賞。さらにルーキーのNo.10 塚越広大(HFDP RACING)が5位入賞を果たし、初のポイントを獲得している。
No.2 ブノワ・トレルイエ
午後2時半、決勝のフォーメーションラップがスタート。シグナルがレッドからブラックアウトすると正式スタートが切られた。ここで好スタートを切ったのは、ポールポジションのNo.2 ブノワ・トレルイエ(LAWSON TEAM IMPUL)。予選2番手のNo.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)は、イン側の滑りやすい路面でホイールスピンし、加速が鈍る。この間に、ロッテラーをかわして2番手に上がったのはデュバル。ロッテラーが3番手、さらに予選7番手からロケットスタートを決めたルーキーの塚越、平手、No.1 松田次生(LAWSON IMPUL)と続く。一方、エンジンストールしてしまったのがNo.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)と立川祐路(CERUMO/INGING)。この2台は押しがけで再スタートし、最後尾から追い上げた。
No.31 ロイック・デュバル
レース序盤はコース上の水の量も多く、トップのトレルイエがリードを築いていく展開。その後方では、4周目の1コーナーで5番手を走っていた平手がコースオフ、真後ろに迫っていた松田がひとつポジションを上げる。しかし、松田は7周目の1コーナー立ち上がりでスピン。グラベルに捕まり、早くもリタイヤすることになってしまった。
その後、43周のレースが3分の1を過ぎるあたりから白熱し始めたのは、トップ争い。一時は4秒近くあった差をデュバルが詰め始める。対するトレルイエは燃料が軽くなり始めてからオーバーステアに苦しみ、なかなかペースを上げられない。そのため、16周を終えたところではデュバルがコンマ5秒差まで迫ってくる。そこから2台は10周あまりに渡って接近戦を展開。観客の目を釘付けにした。しかし、ラップタイムペースにすると1周1秒余りも速かったのはデュバル。そのため何度もトレルイエに揺さぶりをかけていたが、ついに28周目のヘアピン立ち上がりからスプーン入り口にかけて、デュバルはアウト側から並びかけ、オーバーテイクを成功させた。トップに立ったデュバルはここから猛プッシュ。トレルイエとの差を開いていった。
No.36 アンドレ・ロッテラー
ちょうどこの頃から、ほとんどのドライバーはピットインするが、作戦はバラバラ。給油のみを行なったドライバーとタイヤ交換まで行なったドライバーに別れる。3番手を走行中の28周終了時にピットに入ったロッテラーは給油のみ、同じ周に入ったNo.40 リチャード・ライアン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と、翌周に入ったトレルイエは給油&タイヤ交換。31周を終えてピットに入ったデュバル、No.41 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、33周を終えてピットに入った平手は給油のみでコースに戻っている。ここで平手は塚越の前に出ることに成功した。
No.20 平手晃平
終盤は順位も落ち着き、接近戦となったポジションはなし。トップのデュバル、2番手のトレルイエ、3番手のロッテラーともに単独走行となった。中でもデュバルのペースは速く、ただひとり1分58秒台のタイムを連発。そのままチェッカーまでひた走り、今季初優勝を遂げた。
シリーズ・ランキングでは、今回2位に入賞しただけでなく、ポールポジションの1ポイントを加算したトレルイエが19ポイントでトップ。これで次戦ツインリンクもてぎも赤いオーバーテイクランプを使用する。今日勝ったデュバルが15ポイントで2位。以下、3位に平手、4位に伊沢、5位に塚越と続いている。
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2位 No.2 ブノワ・トレルイエ/優勝 No.31 ロイック・デュバル・中島監督 /3位 No.36 アンドレ・ロッテラー
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