8月9日、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第6戦の決勝レースは、スタートダッシュで飛びだした、No.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S)が優勝。ランキングトップのNo.31 ロイック・デュバル(NAKAJIMA RACING)は2位、そしてNo.8 石浦宏明(Team LeMans)がラスト2周でトラブルに見舞われたため、デュバルを追うランキング2位のNo.2 ブノワ・トレルイエ(LAWSON IMPUL)がラッキーな3位を得た。
フォーメーションラップがスタートしたのは、午後2時半。気温28度、路面温度32度というコンディションの中、13台のスタートがタイヤを温めながら隊列走行。グリッドにつくと、レッドシグナル点灯からブラックアウトし、一斉に1コーナーを目指す。トップに立ったのは、ポールポジションのNo.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)。続いて予選5番手からロケットスタートを決めたロッテラー。予選3番手のNo.8 石浦宏明(Team LeMans)、デュバル、予選7番手のNo.2ブノワ・トレルイエ(LAWSON IMPUL)、No.10塚越広大(HFDP RACING)と続く。その後、5コーナーでデュバルが石浦を抜き返し、2番手に復帰。また塚越はS字でトレルイエに並びかけるが軽く接触して、若干コースアウトする。これで塚越はポジションを落とした。その結果、1周目を終えてのオーダーは、小暮、ロッテラー、デュバル、石浦、トレルイエ、No.37大嶋和也(PETRONAS TOM'S)、No.1松田次生(LAWSON IMPUL)、塚越となっている。トップの小暮はわずか1周で2番手に2秒以上の差をつけ、独走状態となるかに思えた。ところが、小暮はレッドシグナル点灯中にクルマが動いてしまったことで、ジャンプスタートのペナルティーに。これで最後尾まで後退してしまう。
No.31 ロイック・デュバル
これでトップに立ったのは、ロッテラー。それをデュバルが僅差で追う。次第にこの2台が抜け出し、石浦は単独走行に。その後方では、トレルイエの背後に大嶋、松田が僅差で迫るが、順位の入れ代わりはなくこう着状態となった。それを打開するべく、まず動いたのは大嶋。大嶋は19周を終える所でピットイン。給油が長く、30秒あまりのストップを行なってコースに戻る。その翌周には、No.41伊沢拓也(DOCOMO DANDELION)、さらにその翌周には松田とNo.7国本京佑(Team LeMans)がピットイン。松田はここで大嶋の前に出ることに成功した。さらに、24周を終えるところでトレルイエがピットイン。松田の前でコースに戻っている。
その4周後に僅差のまま周回を重ねていたロッテラーとデュバルが同時ピットイン。ここが今日のレースではハイライトとなり、どちらが先にピット作業を終えるのか注目された。ここで給油時間が短かったのは、何とロッテラー。デュバルはロッテラーよりも約4秒ストップ時間が長く、逆転はかなわなかった。コースに戻ったデュバルはピットイン前の塚越に引っ掛かる形となり、トップ2台の差は一気に7秒以上に開いた。
No.2 ブノワ・トレルイエ
このレースは後方から追い上げでオーバーテイクシステム(OTS)を使用し、仕掛けられた側もOTSを使い加速するというシーンが頻発。シーズン終盤となり、各選手がOTSの使い方を心得てきたこともあるだろう。
レースが終盤となると、次々とトラブルが発生。まず36周目の5コーナーでNo.40リチャード・ライアン(DOCOMO DANDELION)がブレーキトラブルのためコースアウト。40周目には、9番手の国本にパドルシフトのトラブルが起こり、ピットに戻るとそのままレースを終えた。6番手の大嶋は、エンジンが吹けなくなりV字コーナーでストップしてしまう。10番手の塚越も残り4周でピットに戻ると、そのままリタイアした。
No.8 石浦宏明
一方、トップ争いはロッテラーがデュバルにつけ入る隙を与えず、今季初優勝。ロッテラーは07年の第6戦富士以来、約2年ぶり優勝だった。デュバルは2位。その後方は残り2周となったところで異変が起こる。3位を走行していた石浦に2速からギヤが動かなくなるトラブルが襲う。これで最終周のS字でトレルイエが石浦を抜き、表彰台を獲得した。石浦は必死の走行で、何とか4位でゴールした。
次回、第7戦は8月29、30日、大分県のオートポリスが舞台。そこではシリーズ終盤の激しい争いが行われることになるだろう。
No.1 松田次生
No.32 小暮卓史
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2位 No.31 ロイック・デュバル/優勝 No.36 アンドレ・ロッテラー/3位 No.2 ブノワ・トレルイエ/舘 信秀 優勝チーム監督
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