いよいよ来週末、4月4日(土/予選)、5日(日/決勝)に迫った2009年全日本選手権フォーミュラ・ニッポンの開幕戦(富士スピードウェイ・静岡県)。開幕戦ポスターでも“CHANGE”と宣言している通り、今シーズンは変化の多い1年となりそう。レース自体についても、ドライバーやマシンについても、見どころが増えることになる。
新鋭ドライバーの活躍に注目
no.7 国本京佑 まず出場ドライバーについてだが、今季は国内外で活躍してきた若手ドライバーが3人、ルーキーとしてシリーズにフル参戦を果たす。
TOYOTAエンジンユーザーとしては、Team LeMansから国本京佑(No.7)、PETRONAS TEAM TOM'Sから大嶋和也(No.37)。Hondaエンジンユーザーとしては、HFDP RACINGから塚越広大(No.10)がフォーミュラ・ニッポンへデビューする。
この3人は、いずれも自動車メーカーの若手育成プロジェクトで発掘されたドライバー。大嶋は一昨年、全日本F3王者となった後、昨年はユーロF3で1年間戦った。Honda期待の星・塚越も、全日本F3を経て、昨年はユーロF3へ。大嶋と同じチームでしのぎを削ってきた。また、国本は昨年全日本F3にデビュー。シリーズタイトル獲得はならなかったが、11月のマカオGPでは日本人として2人目の勝者となり、一躍その名を知られるようになった。
この3人に加え、昨年デビューした平手晃平、伊沢拓也ら、生きの良い若手が増えたことで、ドライバーの平均年齢は28.2歳から26.1歳に一気に低下。彼らが2連覇中のチャンピオン松田次生(No.1 LAWSON TEAM IMPUL)をはじめとするベテランや中堅を相手に、どんな戦いを見せるのかが注目される。
オーバーテイクシステムが駆け引きを変える!?
そして今季は3年に一度のニューシャシー導入時期ということで、マシンもチェンジ。これまで使用されていた英・ローラ社製のFN06から、米・スウィフト社製のFN09へとスイッチされることになった。
FN09は、従来以上に巨大なダウンフォースを発生するベンチュリー構造を採用。全長、全幅ともに延長されており、FN06よりもひと回り大きい。
またエンジンも従来の3リッター・V8から3.4リッター・V8になり、パワーも600馬力超まで増している。供給メーカーのTOYOTA、Hondaも昨年以上にFNエンジンへ力を入れており、走行時の迫力、各ユーザー間の意地も今まで以上といえるだろう。
さらに、今回このマシンに採用されたユニークなシステムが、オーバーテイクシステムだ。ステアリングに搭載されたオーバーテイクボタンを押すと20秒間、エンジン回転数が通常リミットの10300回転よりも400回転上がる。それによりオーバーテイクのチャンスも今まで以上に増加することになる。
ドライバーがレース中、各5回使うことのできるこのボタンは、誰が何回使ったか、いつ使っているかということがドライバーの後方に装着されたオーバーテイクランプにより観客からも視認できるように工夫されており、勝負の駆け引きが今まで以上に分かりやすくなるだろう。
チームは準備不足!? 開幕戦の波乱は必至か
今季、事前テストは、2回ともあまり天候に恵まれなかった。富士では雪で1セッションしか走行できず、もてぎでも2日目は雨。つまり、開幕に向けて、完全に準備が整っているチームはないということになる。しかし、そこも見どころのひとつ。今の段階では、まったく誰に勝利の女神が微笑むか、分からないからだ。
そんな波乱必至の開幕戦。ぜひ富士スピードウェイに足を運び、その目で見届けていただきたい。。