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ヨコハマタイヤ 決勝レース総評 第5戦 オートポリス
2017年9月12日
今シーズン2度目となる2スペックタイヤでの決戦となった第5戦オートポリス。秋晴れの中、気温27度、路面温度33度というコンディションでスタートが切られ、上位6台のうち、まずソフトタイヤを着けた予選5番手のNo.15 ピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)が好スタートを決め、前大会に続いての勝利を収めた。一方、2、3位に続いたSUNOCO TEAM LEMANSのNo. 7 フェリックス・ローゼンクヴィストとNo. 8 大嶋和也はレース序盤にミディアムタイヤからソフトタイヤへと早々にスイッチ。50周近くを難なく走破するパフォーマンスを見せた。ヨコハマタイヤの渡辺晋氏には、この驚きの展開がどのように映ったのだろうか。
渡辺 晋氏 「テストとは全然違う結果になりました」
今日のレースですが、ソフトタイヤについてはテストとは全然違う結果になりましたね。テストのときは6周くらいでタイムが大きく落ちる結果でしたが、今日の朝の(フリー走行)状況で実は全然違っていたんです。ソフトタイヤにはゴムかすがいっぱいついていました。さらにミディアムタイヤにも、後半に履いたら同じように(ゴムが)ついていたんです。多分、路面にべったりソフトのゴムが塗り固められたんじゃないでしょうかね。実際、セッション後のタイヤの状態を見ると、かなり個人差がありました。表面がきれいなドライバーとボコボコとコブのような状態でタイヤにゴムかすがついているドライバーがいましたね。トムスさん、インパルさんなどはゴムかすがあまりついていなかったように見受けました。
レース中、戦略的に2ピットを選択したのは50号車(小暮卓史)ですね。インパルさんの2台(関口雄飛、ヤン・マーデンボロー)やドコモの1台(伊沢拓也)はレース展開的に換えざるを得ない状態だったかもしれません。一方で、ル・マンの2台は4周(7号車)、6周(8号車)終わりでピットインし、ソフトタイヤでずっと走っていたわけですが、ほぼワンレースに近い距離ですからね。多分、摩耗せずにゴムかすで走っていたような感じだったかと思うんです。
今回、レース中に20周前後でピットインした(車両が装着していたソフト)タイヤをチェックしたところ、タイヤのエッジ部分のゴムがスーッと無くなっていました。そんなこともあり、30周を走るんであればタイヤが終わってしまうだろうと思ったんですが…。なのでル・マンの2台は走り方で持たせることができたんでしょうかね。レース直後なので今の段階ではわかりません。今日の結果からしても、2スペックタイヤでのオートポリスの攻略法がこれで固定するかというと、まだまだ未知数だと思います。こんなに路面の状況が変化するサーキットって珍しいと改めて感じました。
一方、ガスリーの勝利に対しては、まさに王道という印象です。やることを粛々とやって勝ちましたからね。今回は、レースウィーク中にドライバーから「予選のソフトタイヤはやっぱり速かった」という声や、「意外とソフトタイヤって持つんですね」という声が聞かれました。摩耗があっても意外と走れるという感じだったのだと思います。あと、ソフトタイヤのタイムがどのあたりまで落ちていくのか、そこがポイントでもありました。なので、ひたすら落ち続けるのかそれともある程度落ちたら安定化するのか、そういう点を気にしているチームも多かったですね。実際のレースでは、後半で使用されたソフトタイヤとミディアムタイヤの両方とも同じタイムで走っていて…。これはおかしいな、と(苦笑)。おそらく路面のゴムかすの影響で(ソフトとミディアムとで)大きな変化がなかったのではないでしょうか。これもオートポリスならではの現象だと思います。レースの内容的にももてぎとオートポリスでは大きく違う展開だったため、この先、2スペックのまま色んなサーキットで装着して(レースを)やってみたいという気持ちにもなりました。