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2018年 全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦 決勝
No.3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)が嬉しい初優勝!
2018年7月8日
7月8日(日)、いまだ岐阜や西日本地方は豪雨に見舞われていたものの、静岡県地方は5日ぶりに太陽が顔を覗かせ、青空に恵まれた。午前中は、多少雨粒が落ちてきたものの、午後2時15分から行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の決勝は、完全なドライコンディション。レース中も次第に暑くなり、コース上でも熱いバトルが各所で繰り広げられた。その結果、PPからスタートしてポジションを守り切り、参戦2年目にして嬉しい初優勝を果たしたのはNo.3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)。これに続いたのは、予選3番手からスタートし、キャシディとマッチレースを展開したNo.1 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)。さらに、予選8番手から大きくポジションを上げたNo.2 国本雄資(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が3位。石浦と国本も、今季初表彰台を獲得している。
気温30℃、路面温度37℃というコンディションの下、午後2時15分にフォーメーションラップがスタート。この時点で、予選トップ4のキャシディ、No.16 山本尚貴(TEAM MUGEN)、石浦、No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)はソフトタイヤを選択。以下、No.17 塚越広大(REAL RACING)はミディアム、No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)はソフト、No.20 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と国本、No.37 ジェームス・ロシター(VANTELIN TEAM TOM’S)はミディアム、No.6 松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)はソフト、No.65 伊沢拓也(TCS NAKAJIMA RACING)とNo.4 山下健太(KONDO RACING)はミディアム、No.8 大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)はソフトをチョイス。さらに、No.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、No.5 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、No.50 千代勝正(B-Max Racing team)、No.7 トム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、No.64 ナレイン・カーティケヤン(TCS NAKAJIMA RACING)の5台はミディアム、最後尾スタートのNo.15 ダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)はソフトをチョイスし、1周の隊列走行へと向かった。
そして、1周の隊列走行を終え、全車が正規グリッドに着くと、シグナルオールレッドからブラックアウト。55周先のゴールに向けて、一斉に動き出した。ここでまずまずのスタートを決めたのは、PPのキャシディ。キャシディはイン側にいる山本を牽制すべく、動き出すとイン側へとラインを変える。そのアウト側に並びかけたのが石浦。さらにイン側の3列目から、関口がロケットスタートを決めるとラインをアウト側に振り、石浦に迫った。真ん中に挟まれるような形となった石浦は、1コーナーの入り口で接触を避けるために若干引くような形。最もイン側からのアプローチとなったキャシディがトップをキープ。それに石浦、関口、一貴と続き、山本は5番手まで後退することになった。だが、山本はオープニングラップのヘアピン進入で、一貴をオーバーテイク。4番手にポジションを戻してくる。これに続いたミディアムタイヤ組の一番前にいたのは、国本。国本は好スタートを決めて6番手まで浮上していたが、100Rの入り口で、同じミディアムを選んでいだ塚越と軽く接触。その間に、10番手からやはり好スタートを決めていた、ソフトタイヤの松下に先行を許した。その後、2周目には平川が1コーナーで塚越をかわして、ミディアム組の2番手に浮上する。塚越は、その後もなかなかペースが上がらず、同じ2周目には伊沢にも先行を許した。また、その後方では、大嶋がロシターを13コーナーでオーバーテイク。ティクトゥムも最終コーナーで千代をかわすなど、ソフトタイヤ装着組がミディアムタイヤ装着組をかわして行くシーンも見られた。その後も、ソフトタイヤ装着組のペースが良く、大嶋は4周目の1コーナーで塚越をパスすると、同じ周のレクサスコーナーで伊沢をパス。さらに7周目の1コーナーで平川をかわして早くもポイント圏内まで上がってきた。
さて、スタートから約10周というところで、ピットは早くも動き始める。まず9周を終え、燃費のウィンドウがギリギリ開いたところでピットに飛び込んできたのは、伊沢、可夢偉、ディルマンの3台。その翌周には、平川、野尻、カーティケヤン。さらにその翌周には国本、塚越、ロシター、山下の4台がピットに入り、いずれもソフトタイヤへの交換と給油を終えてコースに戻った。この時点で、コース上を走っているクルマは、全車がソフトタイヤを履いている状況となる。
この時、膠着していたのはトップ争いのキャシディと石浦。1秒から1.3秒という僅差の中で、2人は周回を重ねて行く。だが、その前に、ピット作業を終えたドライバーたちが出てきてしまったため、タービュランスの影響で、2人はラップタイムを落とすことになってしまった。その頃、3番手の関口以下、山本や一貴は思うようにタイムを上げられず、トップの2台からは引き離されることに。それに代わってトップと変わらないか、あるいはトップを上回るペースで走り始めたのが、ソフトに換えた国本だった。20周を終えたところで、トップと国本の差は1分03秒。だが、キャシディと石浦がトラフィックに引っ掛かっている間に、その差は縮まり30周を終えたところで、国本との差は59秒となった。
こうした中、上位勢の中でも、ピットが動き始める。まず24周を終えたところで3番手を走行していた関口がピットイン。だが、ミディアムタイヤへの交換と給油を終えた関口がコースに戻った時には、国本と平川が先行。関口はポジションを落とす結果になった。その2周後、27周目の1コーナーでは、一貴がペースの上がらない山本をオーバーテイク。山本は、その周を終えるとピットに向かう。ここでミディアムタイヤへの交換と給油を終えた山本は、関口の後ろでコースに戻った。さらに、30周を終えたところで、見た目上の5番手まで浮上していたティクトゥムがピットイン。ミディアムタイヤへの交換と給油を終えたティクトゥムは、キャシディと石浦の目の前でコースに戻った。その影響でキャシディと石浦の差がグッと縮まり、石浦はオーバーテイクボタンを使いながら、ダンロップコーナーでキャシディ攻略を試みた。だが、ここでキャシディはギリギリ踏み止まる。
そして、35周を終えたところで、キャシディはピットイン。チームはミディアムタイヤへの交換と給油を12秒9と素早い作業で済ませ、キャシディは国本の前でコースに戻ることに成功する。一方の石浦は、キャシディがピットに入り、前が開けたところで猛プッシュ。ピット作業での逆転を狙った。しかし、ミディアムタイヤに履き替えてからのキャシディのタイムは、石浦とほぼ同等か、コンマ1~2秒速い。石浦はキャシディがピットに入ってから5周引っ張り、40周を終えたところでピットに入ったが、作業を終えてからの動き出しに少し時間が掛かったこともあり、逆転は叶わなかった。
その後、見た目上のトップに立った一貴は42周を終えたところで、また大嶋は44周を終えたところでようやくピットイン。一貴は関口の前、大嶋は関口の後ろでコースに戻る。これで全車がピット作業を終え、順位はキャシディ、石浦、国本、平川、一貴、関口、大嶋、山本となっていた。ここからの終盤で、激しいポジション争いを演じたのは、大嶋と関口。大嶋は再三、関口の背後につき、攻略の機会を狙った。特に49周目の1コーナーでは大嶋が関口に並びかけたものの、コカ・コーラコーナーまでほぼ並走となり、関口がポジションを死守。その後も僅差のバトルが続いたが、最後まで順位の入れ代わりはなかった。さらに、その後方でも、可夢偉と塚越、ロシターと山下らのバトルが勃発。ロシターはコカ・コーラコーナーでイン側からオーバーテイクを仕掛けた山下と接触し、山下はコースアウト。ロシターが山下を飛ばす形となったため、レース後に危険行為と判定され、結果に60秒加算とペナルティーポイント1点を科されている。
一方、ピットイン前までテール・トゥ・ノーズの息詰まる戦いとなったトップ争いだったが、ピットイン後はキャシディのペースが若干勝っており、最後は4秒以上の差に。キャシディはそのまま逃げ切って、嬉しい初優勝を果たした。2位の石浦、3位の国本は、今季初表彰台を獲得。以下、平川、一貴、関口、大嶋、山本までがポイントを獲得した。
今回のレースで、PPの1ポイントも加えて、キャシディは11点の大量得点。逆に1ポイントに留まった山本との差を大きく縮め、選手権ポイントでわずか1ポイント差にまで迫った。さらに石浦も13ポイントまで伸ばし、山本と9ポイント差に。ここからの後半戦に向けて、タイトル争いも激化しそうな勢いだ。