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野尻智紀がもてぎを席巻!コースレコードでポール・ポジション獲得
2021年8月28日
立っているだけでも汗ばむような灼熱のコンディションとなった8月28日(土)の栃木県ツインリンクもてぎ。午後からは、緊迫する雰囲気の中、全日本スーパーフォーミュラ選手権のノックアウト予選が行われた。Q1からQ3に渡って行われたこの予選では、ベテランから若手まで、またホンダエンジン勢、トヨタエンジン勢が入り混じり、各所で見応えのあるシーンが演じられたが、その中ですべてのセッションでトップタイムをマーク。最後はコースレコードを書き換えて、PPを獲得したのは野尻智紀(TEAM MUGEN)。2番手には前回のスポーツランドSUGOでPPを獲得した関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)が入り、2戦連続のフロントロウを獲得した。これに続いたのは、松下信治(B-Max Racing Team)。以下、宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、平川亮(carenex TEAM IMPUL)、大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)と続いた。ただし、宮田は前戦終了後にエンジンの積み替えを行ったということで、今回のレースでは10グリッド降格のペナルティーが科せられることになっており、14番手からスタートすることになる。
朝から30℃を超える気温となったツインリンクもてぎだが、午後にはさらに暑くなっていく。スーパーフォーミュラのノックアウト予選Q1が始まった午後2時35分の時点で、気温は36℃、路面温度は43℃まで上昇し、ゆらゆらと陽炎が立っていた。
さて、2グループに分かれて行われたQ1では、まずAグループに組み込まれた9名のドライバーが10分間のセッションに臨んだ。ここでQ2に進出する7台に絞り込まれることになる。このAグループに入っていたのは、山下健太(KONDO RACING)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、小高一斗(KCMG)、大嶋和也(NTT Communications ROOKIE)、大津、平川、ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)、阪口、大湯。セッションが始まると、まずは阪口、牧野、山下、大津、小高がユーズドタイヤでコースイン。マシンの状態を確認するとともに、ブレーキなどの温めを行う。この5人の中で、山下だけはアウトラップ、インラップとほぼ2周を走ってからピットイン。その他のドライバーはアウトラップでピットに戻った。その他のドライバーはユーズドタイヤでコースに出ることはせず、いきなりニュータイヤでのアタックを企てていた。
その後、セッションの残り時間が6分を切ったあたりから、平川、大湯、阪口といった順でコースイン。他のドライバーも次々とニュータイヤでコースに入っていく。ここでは各ドライバーともにアウトラップ、ウォームアップラップ、アタックという走りを見せたが、最初にアタックラップに入ったのは平川。平川はここで1分32秒577というタイムをマークして、一旦トップに立つ。しかし、これに続いてアタックしていた大湯が各セクターで平川のタイムを上回る走り。コントロールラインを切った時には1分32秒342と、トップタイムを書き換えた。続いてアタックしていたドライバーたちは、いずれも大湯のタイムには届かず。平川をわずかに上回った大津が2番手、平川が3番手。以下、阪口、アレジ、山下と続いた。一方、ここで惜しくも敗退となってしまったのは、小高と大嶋だった。
5分間のインターバルを経て、同じく10分間で争われるQ1Bグループの走行が始まったのは、午後2時50分。このBグループには、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、中山雄一(KONDO RACING)、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、塚越広大(ThreeBond DragoCORSE)、野尻、国本雄資(KCMG)、関口、宮田、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)、松下という10人が組み込まれていた。
このBグループでも、セッションが始まると関口、中山、野尻、国本、松下、塚越がユーズドタイヤですぐにコースイン。関口と塚越はアウトラップを走っただけですぐにピットに戻る。その他のドライバーはアウトラップに加えて、インラップも走ってからピットインした。この中で、ユーズドタイヤにも関わらず、すでにA組のアタックラップに肉薄する区間タイムをマークしていたのが、野尻だった。
その後、各車はピットイン。セッションの残り時間が6分を切った辺りから、ニュータイヤでコースに向かうドライバーが現れ始める。アウトラップ、ウォームアップラップ、アタックと、2周タイヤを温める予定だった塚越を先頭に、福住、宮田、山本、中山という順でコースイン。さらに、関口、坪井、国本と続く。これに対して、アウトラップ、アタックという作戦だったのは、野尻と松下。野尻はセッションの残り時間が4分20秒となったあたり、松下は残り時間がわずか2分20秒となったあたりでようやくコースへと入って行った。
この中で、最初にアタックに入ったのは、野尻。野尻はAグループでトップタイムをマークしていた大湯の区間タイムをことごとく上回る驚速ぶりを見せる。コントロールラインを切った時には、1分31秒336と、31秒台に突入してきた。続いてアタックに入っていた塚越、福住、宮田、関口、坪井、国本はいずれも1分32秒台中盤のタイム。野尻からは1秒以上も遅れをとった。最後にアタックを敢行し、2番手まで浮上した松下も1分32秒410と、野尻には大きく水をあけられる結果となった。結果、野尻は圧倒的な速さでQ1をトップ通過。松下が2番手。以下、坪井、塚越、宮田、関口、福住までがQ2に駒を進めている。一方、ここで敗退となったのは、国本、山本、中山の3人だった。
10分間のインターバルを経て、Q2が始まったのは午後3時10分。前戦SUGOと同様に、今回もQ2までは2グループに分かれての争いとなる。セッションの時間は7分。7台からQ3に向けて4台に絞り込まれることになる。
そして、Aグループのセッションが始まると、牧野と大津がフロントにニュータイヤ、リヤにユーズドタイヤを装着して、すぐにコースイン。フロントタイヤをスクラブするためにコースに入った。アウトラップを走ると、2台はピットインしている。それとほぼ同時、セッションの残り時間が5分を切ると、平川、阪口、アレジ、山下がニュータイヤでコースイン。Q1と同様、アウトラップ、ウォームアップ、アタックという作戦を採った。一方、アウトラップからすぐアタックに入る作戦に変更した大湯と牧野は残り時間が3分を切ったところで、大津は残り時間が2分余りとなったところでコースイン。牧野と大津はスクラブしたフロントタイヤとニューのリヤタイヤという組み合わせでコースに入った。
その中で、最初にアタックに入ったのは大湯。大湯は、Q1での各セクターの自己ベストを上回る走りで1分31秒837をマーク。31秒台に入ってきた。これに続いてアタックに入った平川はわずかに届かず1分32秒003で2番手。続いて牧野が1分32秒599、阪口が1分32秒406、山下が1分32秒415と次々自己ベストタイムをマークしてくる。そして、最後にアタックした大津が1分32秒061までタイムアップ。大湯と平川に続く3番手に浮上した。4番手には阪口。山下は1000分の9秒というほんのわずかな差でノックアウトされてしまうことに。またアレジも阪口とは100分の6秒余りの差でノックアウト。牧野もここでの敗退が決まった。
そこから5分のインターバルを経て、BグループのQ2が始まったのは午後3時22分。ここではセッションが始まるとすぐ福住と野尻がコースイン。アウトラップでピットに戻る。そこから間もなく、2周タイヤを温めてアタックに入る予定だった坪井、関口がコースイン。Q1とは作戦を変更した松下、さらに宮田、塚越もこれに続いた。一方、アウトラップを終えてすぐアタックに入る作戦を採った福住と野尻は、残り時間が3分20秒ほどのところでコースに入っていく。
この中で、最初にアタックに入ったのは福住。福住はここでQ1の自己ベストを約コンマ8秒上回る1分31秒895をマークしたが、続いてアタックしていた野尻は、コースレコードに迫る1分31秒110までタイムアップ。一気にトップに立った。2人に続いてアタックしていたドライバーたちも、多くは31秒台に突入。しかし、野尻のタイムには及ばなかった。結果、Q2でも野尻はトップ通過を果たしているが、これに続いて2番手につけたのは、Q1から1秒以上自己ベストを縮めて、1分31秒532をマークした関口。Q2から作戦変更した松下が3番手、さらには宮田が4番手と、ここまでがQ2を突破している。一方、福住と坪井、まともにアタックできなかった塚越の3人はQ3に駒を進めることができなかった。
そして10分間のインターバルを経て、いよいよPPを決するQ3が始まったのは午後3時39分。この頃になると、もてぎの上空は雲に覆われ、気温が35℃、路面温度が43℃と若干涼しくなり始めていた。
ここでもセッションが始まると大湯、野尻、大津がすぐにコースイン。大湯と野尻はユーズドだったが、大津はフロントだけニュータイヤを装着し、スクラブを行なった。一方、2周タイヤを温めてからアタックする予定だった他のドライバーたちは、残り時間が5分となったあたりからニュータイヤでコースに入る。宮田を先頭に、平川、関口、阪口、松下という順で間合いを計りながら各ドライバーはコースに入ると、タイヤを慎重に温めていった。そして、残り時間が3分を切ると、アウトラップからすぐアタックに向かう野尻、大湯、大津もコースイン。この8人の中で、最初にアタックに入ったのは、野尻だった。野尻はここでも各セクターで全体ベストを次々にマーク。1分31秒073というコースレコードタイムを叩き出してトップに立つ。続く大湯はQ2の自己ベストをコンマ4秒ほど縮めて1分31秒402、宮田もQ2のタイムをコンマ4秒縮めて1分31秒395をマーク。しかし、続いてアタックしていた関口が、セクター1で野尻のタイムを上回る勢いを見せた。その後、アタック中にタイヤの状況が厳しくなり、90度コーナーのブレーキングではタイムロスもあったという関口だが、1周回って戻ってきた時には1分31秒318と、野尻に続く2番手に浮上してくる。さらに、最後にアタックに入った松下が1分31秒371と、宮田、大湯を上回って3番手に浮上した。結果、宮田は4番手、大湯は5番手。これに対して、思うようにタイムを伸ばせなかった平川が6番手、大津が7番手、阪口が8番手という結果。野尻は朝のフリー走行から全てのセッションでトップタイムを叩き出し、自身7回目、今シーズン2回目のPPを獲得している。その結果、ポイントリーダーの野尻は、3ポイントを加算。さらに、ライバルたちとのポイント差を広げた形となった。
明日の決勝では、PPスタートの野尻が今季3勝目を果たして、初タイトルに王手をかけるのか。あるいは、過去にもてぎを制した経験のあり、このところ抜群のスタートを連発している関口がトップを奪い返すのか。2列目に並ぶことになる松下と大湯、イキのいい若手が躍動するのか。スタートから目が離せない展開となりそうだ。