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平川 亮が2戦連続ポール獲得 宮田 莉朋が殊勲の2番手
2020年9月27日
残暑厳しいツインリンクもてぎで行われた開幕戦から約1ヶ月。全日本スーパーフォーミュラ選手権は、岡山国際サーキットに舞台を移して行われる。秋の気配が色濃くなってきた9月27日(日)、予選・決勝がワンデーで行われるこの第2戦。ル・マン24時間レースに参戦したドライバーたちは今回検疫期間が短すぎることから欠場となり、それぞれ代役を立てての1戦となる。それに先立つ前日の26日には午前に専有走行、午後にフリー走行が行われ、牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)がトップタイムをマーク。中嶋一貴に代わってスポット参戦する宮田莉朋(VANTELN TEAM TOM’S)が4番手に入るなど、若いドライバーたちが元気の良い走りを展開していた。27日午前中に行われたノックアウト予選でも、ルーキーたちは目を見張るような大活躍。だが、最後にPPを奪ったのは開幕戦をポール・トゥ・ウィンで制して、現在ポイントリーダーの平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)だった。宮田はQ1、Q2でトップを奪ったものの、Q3では平川に及ばず2番手。それでもスポット参戦のルーキーとしては大健闘だ。そして、開幕戦でデビュー表彰台を獲得したサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)がフリー走行での不調から見事に立て直しをみせて3番手に入り、それぞれポイントを獲得している。
日中はまだ汗ばむぐらいの気温まで上がるものの、朝夕になると、肌寒い涼しさとなる岡山国際サーキット。前日のフリー走行時には一時雨が降るなど不安定な天候だったが、日曜日は朝から好天に恵まれた。メインストレートに強い向かい風が吹く中、午前中にはノックアウト予選が実施される。Q1は2グループに分けての走行。今回は、前大会終了時点でのドライバーズランキングを考慮し主催者が決定した結果、Aグループにニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)、フェネストラズ、山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、小林可夢偉の代役を務める中山雄一(carrozzeria Team KCMG)、大嶋和也(ROOKIE Racing)、笹原右京(TEAM MUGEN)、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)の9名。Bグループには山下健太の代役を務める阪口晴南(KONDO RACING)、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、タチアナ・カルデロンの代役を務める塚越広大(ThreeBond Drago CORSE)、野尻智紀(TEAM MUGEN)、国本雄資(carrozzeria Team KCMG)、平川、宮田、石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、今回も来日が叶わなかったセルジオ・セッテ・カマラの代役を務める高星明誠(Buzz Racing with B-Max)、牧野の10名。それぞれのグループで、7名ずつがQ2へと駒を進めることになる。
気温26℃、路面温度32℃というコンディションのもと、AグループのQ1が始まったのは、午前10時40分。前日とは大きくコンディションが変化する中、各ドライバーはいきなりニュータイヤを装着してのタイムアタックとなる。岡山はコース全長が短く、幅も狭いだけに、どのようなタイミングでコースインするかというのも一つのポイント。自分の思い通りにタイヤを温めるためには、他のクルマがいない場所を選んで走りたいからだ。そこでセッションが始まると各車はピット前にクルマを出し、動き出しのタイミングを測っていた。そして、開始から約3分半というところで真っ先に動き出したのは大嶋。しかし、これを見て、よりピットロード出口に近いガレージだった大湯が動く。そのため、大湯、大嶋の順でコースイン。これに続いて、笹原も早めにコースインした。残り時間が6分になると、他のドライバーたちも続々コースイン。キャシディ、中山、関口、フェネストラズ、坪井といった順でコースに入っていった。そして、各ドライバーともに2周タイヤを温めると、残り時間が約1分半というところからタイムアタックへ。最初にアタックに入った大湯が1分13秒359というタイムをマークしてくる。続いてアタックしていた大嶋、笹原はこのタイムに届かず。だが、4番目にアタックしたキャシディは1分13秒120を叩き出し、トップタイムを書き換えた。その後、中山、山本、フェネストラズ、坪井がアタックを行なっていたが、キャシディのタイムには届かなかった。結果、Aグループでトップを奪ったのはキャシディ。これに坪井、フェネストラズ、大湯といった若手が続く。さらに、中山、福住、笹原と続き、ここまでがQ2進出を決定。残念ながらタイムを伸ばせなかった関口と大嶋の2人がここで敗退することとなった。
Q1で敗退した関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
10分間のインターバルを経て、BグループのQ1が始まったのは午前11時。こちらのセッションでは、開始と同時に高星、野尻、塚越がコースイン。高星は最初からニュータイヤを装着してのアタックに入ったが、野尻、塚越はユーズドタイヤでマシンの状態を確認すると、そのままピットに戻った。最初のアタックを行なった高星はまず1分14秒244というタイムをマークすると、一旦ピットに向かう。他のドライバーたちは残り時間が6分を切ったあたりからコースイン。牧野、宮田、野尻、平川、石浦、阪口、福住といった順でニュータイヤを装着してピットを後にした。そして、残り時間が1分40秒ほどとなったところで、牧野からタイムアタックへ。まずは1分13秒654というタイムでトップに立つが、間もなくそれを大きく上回ってきたのが宮田。宮田はAグループのキャシディに迫る1分13秒131を叩き出してトップに立った。続いてアタックしていたドライバーたちは、宮田のタイムにはわずかに及ばず。野尻が1分13秒218で2番手、阪口が1分13秒230で3番手に滑り込んでくる。以下、石浦、牧野、塚越。アタック1周目にミスしたという平川が、そのままアタックを続行し、2周目には1分13秒761でギリギリQ1を突破した。一方、福住、国本、高星はここで敗退することとなった。
10分間のインターバルを経て、14台から8台に絞り込まれる7分間のQ2が始まったのは、午前11時20分。Q2はコースに出るマシンの台数が一番多く、ある意味最も厳しいセッションとなる。終盤は路面コンディションがみるみる良くなっていくため、できるだけライバルより遅くアタックに入りたいところだが、ウォームアップ中にトラフィックに引っかかることも避けたい。ポジション取りがQ1以上に重要なポイントとなってくる。そんな中、開始から1分というところで真っ先に動いたのはQ1のAグループでトップタイムをマークしたキャシディ。これに続いて、山本、大湯、塚越、坪井、野尻、中山といった順で次々にコースイン。Q1で2周タイヤのウォームアップを行なったものの「タイヤのピークグリップの低下を感じた」という平川は、他のドライバーよりも遅く、残り時間が4分10秒ほどとなったところでコースイン。ウォームアップを1周減らしてのアタックを敢行した。
ウォームアップ中には各所でトラフィックが発生。タイヤの温め方によってポジションの入れ替わりもあった。そのため最初にアタックに入ったのは塚越。ウォームアップを1周減らした平川、さらに山本、キャシディ、大湯の順でフライングラップに入る。塚越は1分13秒644とスポット参戦なだけになかなかタイムを伸ばせず。続いてアタックしていた平川はチェッカーと同時に1分13秒052と塚越のタイヤを大きく上回った。続いてアタックしていた山本は1分12秒994と真っ先に1分12秒台に突入。キャシディは1分13秒148と自身のQ1のタイムにもわずかに届かなかった。大湯は1分13秒004と山本に迫るが、トップタイム書き換えはならず。その後、坪井、フェネストラズが山本のタイムを上回ってくる。しかし、それらのレギュラー陣を抑え、Q2で最終的にトップタイムを叩き出したのは宮田。宮田は1分12秒646をマークしている。2番手にフェネストラズ、3番手に坪井。以下、山本、大湯、牧野、平川、石浦までの8人がQ3進出を決めている。一方、ここで敗退となったのは、野尻、キャシディ、阪口、中山、笹原、塚越だ。
Q2で敗退したニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)
さらに10分間のインターバルを経て、PPを決定する7分間のQ3が始まったのは午前11時37分。ここではセッション開始から約1分というところで、牧野、宮田、平川、石浦、フェネストラズ、大湯の順でコースイン。さらに山本、最後に坪井がコースへと入っていった。ここでもウォームアップ中にポジションの入れ替わりなどあったが、各車残り時間が1分20秒となったあたりからタイムアタックへと向かった。最初にアタックに入ったのは牧野。牧野は1分13秒426とQ2で自身がマークしたタイムからコンマ4秒ほど遅いタイムでコントロールラインを通過。宮田もQ2で自身がマークした1分12秒台には入れられなかった。これに対して、最後に完璧なアタックを決めたのが平川。平川はQ2、Q3と細かくマシンセットアップを調整していたが、Q3でフルポテンシャルを発揮し、1分12秒773を叩き出す。同じ頃、坪井がパイパーコーナーでクラッシュ。坪井は最後にアタックに入っていたため、他のドライバーは特に大きな影響を受けずにコントロールラインを切っている。そして、チェッカーと同時に3番手に入ってきたのがフェネストラズ。「タイヤのグリップを使い切って、セクター3が余り良くなかった」というフェネストラズは、宮田に100分の7秒ほど及ばなかった。
結果、Q3でただ一人、12秒台に入れた平川が2戦連続のPPを獲得。3ポイントを追加してポイントのリードを広げている。スポット参戦&デビュー戦の宮田は殊勲のフロントロウ。フリー走行から大きくセットアップを変更したというフェネストラズが3番手と今回も上位につけた。以下、4番手に牧野、5番手に大湯、6番手に石浦。山本が7番手、クラッシュしてしまった坪井が8番手となっている。
タイヤ交換が義務付けられている午後の決勝では、誰が最後に笑うのか。秋の好天のもと、手に汗握る51周の戦いが間もなく幕を開けることになる。
P.Pを獲得した平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)