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レースフォーマットが変更 第2戦岡山大会プレビュー

2020年9月23日

8月末にツインリンクもてぎで開幕し、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が見事なポール・トゥ・ウィンを達成した今シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権。そこから約1ヶ月のインターバルを経て今週末、9月27日(日)に第2戦が岡山県・岡山国際サーキットを舞台に行われる。現在発生している台風12号の大きな影響を受けることなく好天が期待されているこのレースでは、誰が勝利の美酒を味わうのか?
 
さて、すでに発表されている通りだが、この第2戦に向けては、いくつかの変更点がある。まずはドライバーのエントリーに関してだが、先週末、フランスで行われたル・マン24時間レースに参戦した山下健太(KONDO RACING)、小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、中嶋一貴(VANTELN TEAM TOM’S)、そしてタチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)は、今回欠場。JRPが関係各所と協議を重ねて来たが、「新型コロナウイルス感染症対策に関する政府指針の待機条件等を満たしているとは認められず、今大会への当該選手の参加は適当ではない」という判断が下された。その代役に関しては、カルデロンのシートに塚越広大が座ることが発表されているが、その他に関しては25日(金)に正式発表。新鮮な顔ぶれになりそうという話もあるので乞うご期待だ。また、開幕戦時に出場が叶わなかった他の外国人ドライバーは、この第2戦に向けても入国ができておらず、ユーリ・ビップス(TEAM MUGEN)の代役として引き続き笹原右京が参戦。Buzz Racing with B-Maxは、開幕戦に起用した名取鉄平に代わり、高星明誠を起用することがすでに発表されている。今回出場できないレギュラードライバー陣にとっては、選手権を考えると間違いなくディスアドバンテージにはなるが、今季は有効ポイント制が取られていることから、第3戦以降の巻き返しに期待したい。一方、今回代役を務めるドライバーたち、中でも若手にとっては自分のパフォーマンスをアピールするまたとないチャンス。確かに経験が少ない分、上位を争うのは簡単ではないが、”光る走り”を見せることが今後のチャンスにつながる可能性は大いにあるはずだ。観客の皆さんには、そうした部分にも注目していただきたい。

  • 開幕戦で好走した笹原 右京(TEAM MUGEN)

  • 2017年の全日本F3選手権チャンピオン 高星 明誠(Buzz Racing with B-Max) ©SFL

週末のスケジュールに関しても、開幕戦とは違う部分がある。前回は、5ヶ月ぶりの走行になることもあって、レースウィークの金曜日に合同テストが行われたが、今回そうしたテストはない。26日(土)の午前に1時間の専有走行、午後に1時間のフリー走行とスタート練習が行われた後は、27日(日)午前中にノックアウト予選、午後に決勝レースが行われる。レースフォーマット自体にも変更点がある。これは、先週政府が発表した「イベント人数規制の制限緩和」など社会情勢の変化を踏まえ、本来のレースフォーマットへの復帰に向けての1ステップとして決められたもの。結果、給油の禁止は継続されるものの、タイヤ交換義務が復活することになった。交換のウィンドウはスタート後10周目以降から最終周までだ。これに伴い、レースウィークに供給されるニュータイヤも開幕戦の3セットから、今回は4セットと1セット追加。このタイヤの使い方も、レースウィークでは鍵になってくる。さらに、今回はオーバーテイクシステムの運用方法にも変更点がある。昨年から導入された現在のオーバーテイクシステムは、作動させると同時に当該車両のライトが点滅していたが、今回からは作動後8秒経たなければライトが点滅しない。つまりこれまでのように、先行車両がディフェンスするために、システムを作動するのが遅れることとなる。これによりコース上でのオーバーテイクの増加が期待されている。

そんなスーパーフォーミュラ第2戦でまず見所となるのは、やはりノックアウト予選。今回も、Q1に関しては2グループに分けて行われるが、各グループのセッションは10分のみ。岡山国際サーキットの場合は、当日の路面温度にもよるが、コース全長が短いため10分間でも2アタックは可能だ。つまり、ルーキーたちをはじめ、是が非でもQ1突破を狙うというのであれば、ドライの場合、供給される4セットから2セットをここで使うということがあり得る。もちろん土曜日の走行でセットアップに満足が行かなかったチームやドライバーも、本格的なアタックに入る前に、変更したセットアップを試すべく、最初からコースに入るはずだ。今回は、予選直前のフリー走行がない分、その可能性は高い。つまりコースにクルマが出ている時間が長くなる。最終的なタイムアタックは、セッション終盤になるだろうが、誰がどのようなタイミングで、どんなタイヤを着けて走るのか。また、ウォームアップを何周してからアタックに入るのか。それも含めて見所となってくるはずだ。Q2、Q3については各7分間ということもあり、各ドライバーともにフルアタックは1周。中でもQ2は14台と、予選中最も多くの台数での走行となるため、トラフィックマネージメントの部分が見逃せない。それによってQ3に進出できるか否かが大きく変わってくることになる。そして、Q3はまさに速さ勝負。今年は予選でもPPから3位までにポイントが与えられるため、100分の1秒、1000分の1秒が大きな差となって返ってくる。その真剣勝負の緊張感が、観客側にも伝わることは必至だ。中でも注目なのは、開幕戦を制している平川だろう。岡山は、平川にとって本格的なデビュー前から一番走り込んでいるホームコース。隅々まで知っているからこそ、今回もトップ争いに加わってくるのではないかと予想される。一方、ここで巻き返しを図りたいのが、前回ノーポイントに終わった一昨年の王者・山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)や大量得点が叶わなかったディフェンディング・チャンピオンのニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)。平川のチームメイトである関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)も黙ってはいないだろう。さらには、かつて岡山で敵なしだった石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)や、開幕戦でいきなり表彰台を獲得したサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)などの走りも気になるところだ。

決勝レースでは、やはり最初の見所がスタートとなる。特に、ルーキーたちにとっては、ハンドクラッチでのスタートという経験が少ないため、ここがひとつの試練になるポイント。土曜日の専有走行やフリー走行では、ピット出口でスタート練習を行うドライバーも多いものと思われる。実際のレーススタートでは、誰がいい飛び出しを見せてくれるのか楽しみだ。また、タイヤが冷えているオープニングラップは、順位変動も起こりやすい。この周のアトウッドカーブあるいはヘアピン、さらにはレッドマン&ホッブスと続くタイトなWヘアピン区間などで果敢なオーバーテイクが見られる可能性があるだろう。そして前述のように、今回はオーバーテイクシステムの作動を知らせるライト点滅が今までと違う分、随所でバトルが発生するはず。それも注目のポイントだと言っていい。もちろんタイヤをいつ交換するかという作戦も含め、見所は盛りだくさんだ。

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