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混戦模様のシーズンはいよいよ後半戦へ 第5戦プレビュー
2019年8月9日
7月下旬に梅雨明けしてから、酷暑に見舞われている日本列島。鯨の尾のように張り出した高気圧の影響もあり、場所によっては連日猛暑日が続いていた。しかし、その暑さにも少しずつ変化が起こり始めている。8月に入ると、日本の南海上に次々と台風が発生。8月中旬は、その台風の影響もあり、所によっては激しい雨に見舞われている。また、台風周辺では時折雨が混じるような曇りとなっている場所も。今後も次々に発生する台風の進路によっては、関東地方も天候が崩れる可能性が残されている。
さて、そんな不安定な天候のもと、いよいよ今週末の8月17日(土)〜18日(日)には、栃木県ツインリンクもてぎで、全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦が行われる。お盆時期ということだけでなく、もてぎは内陸部ということで、例年最も暑いコンディションのレースとなるが、今年はどんな戦いが繰り広げられるのか。ここまでの4戦を振り返ると、開幕戦・鈴鹿ではニック・キャシディ、第2戦・オートポリスでは関口雄飛、第3戦・菅生ではディフェンディングチャンピオンの山本尚貴、第4戦・富士では驚速ルーキーのアレックス・パロウと毎回勝者が変わっている。それだけ混戦模様ということもあり、今回もまた新たな勝者が生まれる可能性は十分だ。
前戦富士大会でポール・トゥ・ウィンを飾ったアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)
その優勝への最短距離となるのは、やはり予選でのPP。これはどんなコース、どんなレースにも言えることだが、PPは各ドライバーが常に狙っているポジションだ。ただし、今回その予選で誰が速さを見せるのかは、全くの未知数。今季から導入されたニューシャシーSF19での走行テストは、もてぎでは行われておらず、各チームともに予選前日の専有走行が初めてのテストセッションとなるからだ。この時、持ち込んだセットアップの良し悪しがようやく判明することになる。そこから各チームは予選に向けて合わせ込んで行くことになるだろう。そして、ノックアウト予選では、今回もミディアムタイヤを使用してのQ1がカギとなる。もてぎのコース全長は約4.8kmと決して短くはないが、20台のマシンが一斉にコースに出ていった場合には、やはり各所で渋滞が起きる可能性が高い。その状況の中で12位までに入らなければならないのだから、アタックのタイミングを上手くはかる必要があるだろう。続くQ2、Q3では、ソフトタイヤでのアタックとなるが、夏場ということもあり、昨年はアウトラップからすぐタイムアタックするドライバーと、アウトラップに加えてウォームアップラップを走ってからタイムアタックするドライバーに分かれた。この辺りの違いも、わずかなタイム差となって出てくるかも知れない。誰が何周目、どういうタイミングでアタックするかは予選の見どころのひとつと言っていいだろう。
昨年のもてぎ大会でポール・トゥ・ウィンを飾り、チャンピォン争いに生き残った石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)
一方、決勝もエキサイティングな展開になるのは間違いない。もてぎのコースは、ストップ&ゴーレイアウトということで、かつては非常にオーバーテイクが難しいサーキットと言われていた。だが、タイヤの2スペック制が導入され、オーバーテイクシステムも備える全日本スーパーフォーミュラでは、各チームのタイヤ選択や戦略によって、随所でオーバーテイクシーンが見られる。もてぎはピットロードが短いため、作戦の差が出てくるからだ。昨年のレースでは、各ドライバーのスタート時のタイヤ選択が分かれただけでなく、変則2ピット作戦を採用したことで、大きくポジションを上げたドライバーも現れた。グリッドが下位に沈んだ場合、この変則2ピットは非常に有効。
昨年2ピット作戦が奏功し、予選15位から5位入賞を果たした大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)
ミディアムタイヤでスタートし、わずか1周しただけでピットイン、その後をソフト2セットでつなぐというやり方(途中給油の必要が出てくるため2回目のピットインが必要になる)だが、ピットでのロスタイムを上回る取り分がコース上で得られる。今年も、同じ作戦を採るチームが出てくる可能性は大と言っていいだろう。グリッド最上位のドライバーたちは、ソフトタイヤスタートでできる限り長く引っ張ってからミディアムに交換+給油という王道の作戦を採ってくるだろうが、その後ろで誰がミディアムタイヤスタートを選択するかも見どころのひとつ。ミディアムスタート組は燃費のウィンドウが空いたところで、早めのピットインを選択することになるだろうが、その集団のトップに出るのは誰なのか。また、そこからピットイン前の上位集団とのタイム差がどう推移するのかが、実際の見どころとなる。TVの画面からはなかなか伝わらない部分かも知れないが、ぜひ全日本スーパーフォーミュラのアプリを起動させ、ライブタイミングを見ながら楽しんでいただきたい。