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若手のスピードか、ベテランの強さか、第3戦プレビュー
2022年4月17日
昨年の鈴鹿大会スタートシーン
冬に逆戻りするような寒い日もあった4月上旬。だが、全日本スーパーフォーミュラ選手権の第1回大会は連日の好天に恵まれ、温かな陽射しのもとで開幕2連戦が行われた。ルーキーや若手ドライバー勢の予選での勢いあるスピード、ベテラン勢のレースでの強さ、そして随所で繰り広げられたバトル。名場面が満載だったこの2連戦は、ファンにとっても見応えのある大会となった。
それからわずか2週間。4月23日(土)〜24日(日)には、再びスーパーフォーミュラの轟音がサーキットに戻ってくる。次の舞台となるのは、今年生誕60周年を迎えた三重県鈴鹿サーキット。国内のモータースポーツ史を紐解くと、まさにフォーミュラカーの聖地というべき場所だ。
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開幕戦を制した平川亮
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第2戦は野尻智紀が優勝
その第3戦鈴鹿は、富士での第1回大会とは異なり、1レース制。土曜日にノックアウト予選、日曜日に決勝が行われる。両日ともに午前中はフリー走行が設けられており、各セッションが予選・決勝に向けての大切な準備となる。
その中で、まず注目なのは、予選で誰が速さを見せるのか。今回の大会では、ユーズド、新品に関わらず、前戦から持ち越した3セットのタイヤに加え、新たに供給される新品のスリックタイヤが3セット。ドライコンディションであれば、新品タイヤのうち1セットは、土曜日のフリー走行最後に多くのドライバーがタイムアタックシミュレーションのために使用すると見られる。まずはそのタイムをチェックしておこう。そこから予選までにどうクルマのセットアップを煮詰めていくのか。そこが各チームとドライバーの腕の見せ所だ。
第1戦2戦の予選で速さを見せた笹原右京(TEAM MUGEN)
ノックアウト予選は、今年からQ1、Q2で争われている。Q1は2グループに分けられ、各セッション10分間。Q2には各グループから6台が進出し、わずか7分間のセッションでPP争いが演じられる。Q1に関しては、今回Aグループが10台、Bグループが11台と、Bグループの方がQ2進出は若干難しくなる。とは言っても、いずれのグループも1/100秒差、1/1000秒差が結果を分けることになるだろう。また、どのドライバーにとっても、鈴鹿は走り込んでいるサーキットだが、ベテランになっても「鈴鹿で1周を完璧にまとめるのは難しい」という声が聞かれる。まさに、クルマとドライバー、タイヤの状況、タイミングとすべてが一体にならなければ、なかなかPPは獲得できないのだ。ちなみに、今年の合同テストで総合トップタイムをマークしていたのは、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)。これに野尻智紀(TEAM MUGEN)、大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)、関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)、さらには牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と続いていた。本番のレースウィークでは、コンディションが大きく違ってくるため、一概にこの結果を参考にすることはできないが、例年DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは鈴鹿を得意としている。また、野尻も昨年第2戦はフロントロウから優勝と、やはり鈴鹿には好感触を持っているはずだ。今年、野尻のチームメイトとなった笹原右京(TEAM MUGEN)も侮れない存在。開幕大会では予選の速さを結果に繋げることができなかったが、鈴鹿では昨年代役出場ながら初表彰台を獲得している。一方、開幕大会で復活の兆しを見せてきているのが、KONDO RACINGの2台。テストでも浮上の様子を見せていただけに、本番でも目が離せない。もちろん、テストで絶好調だった坪井が開幕戦での不本意な状況からどう巻き返してくるのかも見所だ。さらには、開幕大会で速さを見せたルーキーの佐藤蓮(TEAM GOH)と三宅淳詞(TEAM GOH)も気になる存在。いずれも鈴鹿育ちということで、今回の予選ではどんな走りを見せてくれるのか、期待したい。
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ルーキーながら勝負強さを見せる三宅淳詞(TEAM GOH)
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予選でも速さを見せた佐藤蓮(TEAM GOH)
決勝レースは、31周。ドライであれば、タイヤ交換が義務付けられる。交換のウィンドウは先頭車両が10周回目(9周終了後10周目に入った周回)の第1セーフティーカーラインを超えた時から、先頭車両が最終周回に入る前まで。ここで各チームの作戦は大きく分かれてくるだろう。スタート後、トラフィックに引っかかっている場合や、後方グリッドから追い上げる場合には、早目のピットインを選択するケースが多い。タイヤ交換後にコース上の空いた所で走り、まだピットインしていないライバルとのタイム差を削り取っていく作戦だ。一方、その裏をかいて、最後まで引っ張るパターンも。その場合は、前方のドライバーたちがピットに入ることで、目の前がクリアになっていく。そのクリアなスペースで走ることによってマージンを稼げるのだ。満タンでのクルマのセットアップの状況、タイヤのデグラデーションの状況によってもピットインのタイミングは変わってくるが、そのあたりの作戦面とピットに入っていないクルマと入ったクルマのタイム差などにも注目してみると面白いだろう。その結果、勝利の美酒に酔うのは誰なのか。スタート直後の攻防からチェッカーまで、目が離せない展開になることは間違いない。
現在、ランキングでは開幕大会の2レースで38ポイントを荒稼ぎしたディフェンディング・チャンピオンの野尻がトップ。同じく優勝&2位と最高の滑り出しを見せた平川亮(carenex TEAM IMPUL)が36ポイントでランキング2位。これに参戦2年目、富士で初表彰台を獲得したの宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が19ポイント、関口が13ポイント、フェネストラズが11ポイントで続いているが、鈴鹿でそこに割って入ってくるドライバーはいるのか。今回もポール・トゥ・ウィンを決めれば23ポイントを稼げるだけに、早目に大量得点して、ランキングでも浮上したいドライバーは多数。各ドライバーの熱い気持ちがこもった走りを感じていただきたい。
昨年の鈴鹿大会P.1野尻、P.2平川の両雄