Headline News
野尻の連覇か、サッシャ、平川の大逆転なるか。2022年最終大会プレビュー
2022年10月10日
8月20日(土)〜21日(日)にモビリティリゾートもてぎで行われた第7&8戦から、約2ヶ月という長いインターバルに入った全日本スーパーフォーミュラ選手権。そのインターバルが終了し、いよいよ最終大会となる第21回 JAF鈴鹿グランプリが10月29日(土)〜30日(日)にかけて、三重県鈴鹿サーキットを舞台に開催される。前回もてぎと同様、今回の鈴鹿は2レースの大会。しかも、チャンピオン決定の場となることから、激戦は必至だ。野尻智紀(TEAM MUGEN)が2年連続タイトルを決めるのか。はたまたサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)や平川亮(carenex TEAM IMPUL)の奇跡的な大逆転はあるのか。最初のセッションから目が離せない展開となるだろう。
今季、ここまでのシーズンを振り返ると、抜群の安定感を見せてきたのは、現在ランキングトップの野尻。優勝こそ第2戦富士の1回のみだが、それ以外のレースでも、2位が2回、3位が3回と、8戦中6回表彰台を獲得している。ノーポイントに終わったレースは一度もない。また、第2戦から第5戦にかけては、4戦連続でPPを獲得するなど、予選ポイントも荒稼ぎし、現在の獲得ポイントは113点。唯一100点オーバーの得点を叩き出している。
Rank 1 113pt 野尻智紀(TEAM MUGEN)
これを追うのがフェネストラズ。フェネストラズは、今季開幕戦富士で3位表彰台に上がり、第4戦オートポリスでは2位、そして第5戦SUGOでは初優勝と、順調にポイントを重ねてきた。しかし、第2戦富士ではブレーキに問題を抱えてリタイヤ。第6戦富士でもアクシデントによってリタイヤと、ノーポイントのレースが2回ある。また第8戦もてぎでは、戦略が裏目にでる形で大量得点ならず、ここまでの獲得ポイントは81点。
Rank 2 81pt サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)
ランキング3番手につけている平川は、開幕戦富士と第4戦オートポリスで優勝。今季唯一2勝を挙げているが、第6戦富士ではスタート直後の多重クラッシュに巻き込まれる形でリタイヤ。第7戦・もてぎでは、雨の中でバイザーの曇りによって視界を奪われてスピンアウトし、やはりリタイヤを喫した。それ以外のレースでも、予選では苦しむ場面が多かったが、レースでは力強く巻き返してきたのが印象的。第8戦もてぎでは、チームメイトの関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)と丁々発止のバトルを演じただけでなく、2位表彰台を獲得した。その結果、ここまでの獲得ポイントは79点。フェネストラズとは2ポイント差となっている。
Rank 3 79pt 平川亮(carenex TEAM IMPUL)
しかし、フェネストラズにしても平川にしても、現段階で野尻との差は30ポイント以上。その差を跳ね返すためには、まず鈴鹿の1レース目となるシリーズ第9戦で、大きく野尻との差を詰める必要が出てくる。そのためにも、予選から大きなポイントが欲しいところ。鈴鹿はホンダのホームコースであり、今季の第3戦では野尻がPPを獲得しているが、トヨタエンジンユーザーの2人がどんなアタックを見せるのか。
その仕上がり具合を見るためにも、また予選に備えるという意味でも、今回は金曜日に設定されている専有走行が非常に重要になる。まずはこのセッションで、誰が速さを見せるのかに注目だ。ただし、専有走行が行われるのは、午後1時40分から午後3時10分と、1日の中でも最も暖かくなる時間帯。土曜日の予選が行われるのは、午前9時からと、コンディションには大きな違いがあると思われる。もちろん天候自体も、晴れなのか、曇りなのか、雨なのかと日によって違ってくる可能性もある。そこにどう素早く対応するかというチーム力も問われるはずだ。いずれにせよ、誰がどのグリッドを獲得するかは、第9戦でも大きな鍵となるだろう。
決勝レースに関しては、まずスタートからオープニングラップにかけてが大きな見所。季節的に晩秋に差し掛かっていることもあり、タイヤのウォームアップには夏場よりも時間がかかる。そのため、スタート直後は、まだ温まりきっていないタイヤでの攻防が各所で見られるはずだ。また、今回もドライであればタイヤ交換が義務付けられる。交換のウィンドウは先頭車両が10周回目の第1セーフティーカーラインを通過してから、最終周回に入るまで。31周(もしくは75分)で争われるレースとなるが、どのタイミングでピットに入るかは、各チーム、各ドライバーによって変わってくる。チームはレース展開を見ながら、各ドライバーに対してピットインのタイミングを刻々と計算しているが、誰が最適の作戦を選ぶのか。さらに、今回も各ドライバーは計200秒間、オーバーテイクシステムを使用することができる。それをどのように活用していくのかという部分も、レースの見所となる。
第3戦鈴鹿大会のスタートシーン
その結果、もしフェネストラズあるいは平川が大量得点し、野尻とのポイント差を23ポイント以内に縮めれば、最終の第10戦にタイトルの望みを繋げることになる。しかし、追う立場の2人にとって、現段階でも自力タイトルは不可能な状況。実際には、両ドライバーともに、タイトルを意識せず、第9戦からただ全力で優勝を目指すレースするものと思われる。あとは野尻の結果次第ということだ。一方、フェネストラズや平川の大量得点が叶わなければ、ここで野尻のタイトルが決定。そうなれば、最終戦はある意味、タイトル争い関係なしのガチンコ勝負となるはずだ。また、この最終戦は、来年に続く1戦でもあるだけに、ここまで納得のいく結果を出せていないドライバーにとっては、何としてでも見せ場を作りたいレース。過去には、意外なドライバーが優勝したことも多い。そういう意味でも、日曜日の最終戦は見所の多い1戦となるはずだ。
さらに、ドライバーズチャンピオン争いだけでなく、この最終大会では、チームタイトルも熱い。前回、第8戦もてぎではcarenex TEAM IMPULが1-2フィニッシュを飾り、TEAM MUGENとのギャップを大きく縮めてきた。TEAM MUGENにとっては初のチームタイトルが、TEAM IMPULにとっては2連覇がかかる大一番となる。さらに、佐藤蓮(TEAM GOH)と三宅淳詞(TEAM GOH)の同チーム内でのルーキー・オブ・ザ・イヤーの行方も気になるところ。とにかく盛り沢山となる鈴鹿の最終大会は必見だ。