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チャンピオン決定の瞬間を見逃すな! 2020年最終戦プレビュー
2020年12月14日
新型コロナウィルスのパンデミックによる影響を受け、予定よりも約5ヶ月遅れの8月末に開幕した今季の全日本スーパーフォーミュラ選手権。そこから3ヶ月半の中にギュッと詰め込まれる形で、シーズンは進んできた。そして、いよいよ今週末、12月20日(日)には最終戦となる第7戦の予選・決勝が行われ、今年のチャンピオンが決定することになる。前回大会を終え、55ポイントと同点でポイントリーダーの位置にいるのは、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。それを野尻智紀(TEAM MUGEN)とニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)が追う形となっているが、最終戦でタイトル獲得を果たすのは誰になるのか。平川あるいは野尻が獲れば、国内トップフォーミュラ初戴冠。キャシディが獲れば、2年連続2度目。山本が獲れば、2年ぶり3度目となる。ここまでに開催された6レースでは、6人のウィナーが誕生し、今年も混戦となっている本シリーズ。タイトルを争う4人のドライバーも、それぞれすでに1勝をマークしているが、その中の誰かが2勝目を挙げるのだろうか? あるいは7人目の勝者が生まれるのか。そのあたりも見逃せない。
55ポイント Rank.1 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
最終戦の舞台となるのは、静岡県富士スピードウェイ。富士では例年、夏場にレースが行われてきており、12月も下旬に入ってからスーパーフォーミュラのシリーズ戦が開催されるというのは初めてのことだ。12月前半までは、季節外れの温かさとなる日も多かったが、レースウィークの初めからは強い寒気が南下。レース当日は、その寒さも少し緩むのではないかと見られているが、それでも朝夕は気温が5℃を下回り本格的な寒さとなりそうだ。そのため、前回のが鈴鹿に続いて、今回もタイヤウォーマーの使用が認められることになった。電気式やタイヤを1本ずつ温めるブランケット式の物は禁じられるが、鈴鹿で各チームが使用したテント式の物が今回もパドックには並べられる。ただし、このタイヤウォーマーの使い方に関しては、鈴鹿でも多くのチームがデータのなさから苦労を強いられた部分。熱風がタイヤを直接加熱するような形になると、逆にタイヤを傷めてしまうことにもなりかねず、適正な管理が求められることになる。もともと富士はタイヤに厳しいコースとして知られており、その点もタイヤ管理に関する難しさとなるだろう。
55ポイント Rank.2 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
だが、タイヤウォーマーがあることで、特に予選は興味深い展開が予想される。アウトラップ+アタックラップというドライバーがほとんどで、1回のタイムアタックにかかる時間が短くなる一方、11月に行われたオートポリス戦からはQ2、Q3のセッション時間が10分間に延長された。その中で、各チーム、各ドライバーごとに作戦が分かれる可能性が高いからだ。Q1、Q2、Q3とどこで2セット、ニュータイヤを投入するのか。前回、鈴鹿の場合は、Q1に2セットを投入するドライバーも多かったが、そこを1セットで通過し、Q2あるいはQ3で2セット投入するドライバーも見られた。どのような作戦を採るのかは、前日19日(土)のフリー走行での仕上がり具合によって変わってくるはずだ。しかも、富士の場合、予選で1秒間に10数台がひしめき合う結果となるのが恒例。今年は予選トップ3にもポイントが与えられ、PPを獲得すると、それだけで3ポイントを得られることから、かなり激しいPP争いが見られるはずだ。夏場の富士のレースではトヨタ/TRDエンジンが上位をしめることも多いが、冬場となる今回はどのような結果になるのか。寒風を切り裂いて走る国内トップフォーミュラカーの迫力をまずは味わっていただきたい。
47ポイント Rank.3 野尻智紀(TEAM MUGEN)
そこから数時間をおいての決勝レースでは、今回もタイヤ交換が義務付けられる。これまでの大会と同様、タイヤ交換のウィンドウは、先頭車両が10周回目の第1セーフティーカーラインを通過した時点から、先頭車両が最終周回に入るまでの間。レース距離は40周ということで、どの時点でタイヤ交換をするかというのも、当然勝敗を分けるポイントとなってくる。これまで富士の場合には、セーフティーカーが導入されるレースがそれほど多くはなかった。だが、ここ数戦を見ると、アクシデントやトラブルでストップする車両を回収するためのセーフティーカー導入が多くなっている。寒い時期ということで全体的なスピードが上がり、その分、マシン各部に負担がかかってくるため、今回の富士でもトラブル車両が出る可能性は否定できない。つまりセーフティーカー導入のリスクもあるわけだ。10周回に入るまでのセーフティーカーに関しては、各車走行を続ける以外にないが、タイヤ交換のウィンドウが開いてからのセーフティーカー導入ということになると、多くのマシンがピットになだれ込んでくることになる。ここでの作業の出来もレース結果に直結してくるはずだ。特に、富士はピットロードのロスタイムが大きい分、ピットインのタイミングやピット作業自体が重要となってくる。ただし、今年各シリーズで見られたが、ピットインした直後にセーフティーカーが導入され、それが優勝につながるというケースも考えられる。これに関しては、運としか言いようがないので、事前予測は難しいが、運も勝負のうち。誰が最大のラッキーを引き寄せられるかというのも、レースの流れの中で見えてくるかも知れない。もちろん、最終戦ということもあり、勝ちたい気持ちは全員が強く持っている。1年の締めくくりをいい形で終え、来年につなげるためだが、ストレートエンドやダンロップコーナーなどでオーバーテイクが可能な富士だけに、その気持ちが走りにも現れるはず。随所で激しいバトルが見られるのは間違いない。最後にはどんなドラマが待っているのか。真冬の寒さの中で繰り広げられる熱いドラマをご体感いただきたい。