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2018年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦 予選
No.3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)が今季初、自身2度目のPPを獲得。
2018年7月7日
7月7日(土)、日本列島に梅雨前線が停滞し、九州から西日本、中部地方も大変な豪雨に見舞われ、甚大な被害が出ている中、静岡県地方では雨の峠が過ぎ、富士スピードウェイでは全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の予選が行われた。午前中のフリー走行が完全なウェットコンディションからダンプコンディション。そこから天候が回復してサポートレースのF3は完全なドライコンディションとなった。続くスーパーフォーミュラの予選もドライの中で行われるかと思ったが、Q1からウェット宣言が出され、セッション後半には雨がパラつき始める微妙なコンディションに。その後、Q2、Q3も微妙なコンディションが続き、各ドライバーのタイヤ選択が分かれた。結果、難しいコンディションを制して今季初、昨年の第6戦菅生に続いて自身2度目のPPを獲得したのはNo.3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)。ポイントリーダーのNo.16 山本尚貴(TEAM MUGEN)が2番手、昨年の富士戦を制しているディフェンディング・チャンピオンのNo.1 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が3番手と続いている。
19台から14台に絞り込まれる20分間のQ1が始まったのは、午後2時半。この時点では、路面のほとんどが乾いていたものの、競技団からはウェット宣言がなされる。湿度が高く蒸し暑いコンディションとなり、セッション開始時の気温は25℃、路面温度は27℃。その中で、開始3分前から多くのクルマがピットロードに並んだ。装着しているタイヤは、全車ミディアムのスリック。金曜日の専有走行も、土曜日午前中のフリー走行も、ほとんどのドライバーはスリックタイヤを履いていなかったため、まさにぶっつけ本番の予選が始まった。真っ先にコースに入ったのは、石浦。これにチームメイトのNo.2 国本雄資(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、山本、No.15 ダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)、No.7 トム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)、No.37 ジェームス・ロシター(VANTELIN TEAM TOM’S)、No.8 大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、No.20 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)といった順で次々にコースインし、各ドライバーともに最初のアタックへと向かう。ここでまず1分24秒台に入ってきたのは、石浦。これに続いて山本、関口、No.4 山下健太(KONDO RACING)、キャシディらも24秒台に入ってくる。この中で、関口はさらにタイムを伸ばし、1分23秒954と、23秒台に入ってきた。
最初のタイムアタックを終えると、各ドライバーは一旦ピットイン。2セット目のミディアムタイヤを装着し、セッションの残り時間が8分を切ったあたりから、No.17 塚越広大(REAL RACING)を先頭に、No.6 松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、No.64 ナレイン・カーティケヤン(TCS NAKAJIMA RACING)、関口、石浦、ティクトゥム、山下、ロシター、No.50 千代勝正(B-Max Racing team)、国本、一貴、キャシディと次々にコースへと入って行く。ところが、そのアウトラップの最終コーナー立ち上がりでカーティケヤンがスピン。セクター3からメインストレートにかけて雨が降り始めていたためだ。そのため、多くのドライバーは2セット目のタイヤでタイム計測することなく、そのままピットに戻った。一方、ここでコース上にステイし、必死のアタックを続けていたのが、No.5 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。1セット目のアタックで15番手だった野尻は、わずかにコンマ1秒自己ベストタイムを更新できれば、Q2進出が叶うという状況だった。同様にディルマンもステイし、アタックを続行。しかし、路面は次第にスリッピーさを増し、いずれも自己ベストを更新することができなかった。
20分のセッションを終えて、Q1をトップ通過したのは、関口。山本、山下、平川、松下、石浦、国本、No.65 伊沢拓也(TCS NAKAJIMA RACING)、キャシディ、No.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)らがこれに続く。逆にQ1でノックアウトとなってしまったのは、野尻、千代、ディルマン、カーティケヤン、ティクトゥムだった。
10分間のインターバルを経て、14台から8台に絞り込まれる7分間のQ2が始まったのは、午後3時。この時も、雨がパラつく微妙なコンディションだったが、走り始めのタイヤチョイスは大きく分かれた。大嶋、平川、松下、塚越、山下、キャシディ、可夢偉がソフトのスリックタイヤでコースインしたのに対して、国本、山本、一貴、ロシター、伊沢、関口、石浦はレインタイヤでコースイン。関口を除くレインタイヤ組は、アウトラップを終えると、ピットに入り、スリックタイヤに交換する。想像していたよりも路面が乾いていたためだ。この時、山本だけは「すでに温まっているタイヤの方がリスクが少ない」ということで、Q1で使用したミディアムを装着。他のドライバーはソフトのニュータイヤを装着した。さらに、それよりも1周遅れてピットに入ったのが関口。関口はここでソフトのニュータイヤに交換すると、セッションの残り時間がわずかに3分となったところでコースに戻っている。一方、最初からスリックを履いた中では、まず塚越が1分24秒893と24秒台に突入。続いて、伊沢が1分24秒695をマークして、一時首位浮上。だが、平川が一気に1分23秒328と23秒台に入り、キャシディもこれに続いた。さらには、チェッカーと同時に多くのドライバーが自己ベストを更新。関口、山本、国本、石浦と、続々タイムアップを果たしてくる。その中で、1分23秒641というトップタイムをマークしたのは、国本。同じくチェッカー周にタイムを縮めた平川が2番手。以下、キャシディ、石浦、塚越、一貴、山本、関口までがQ2を突破。逆に、ここで敗退となったのは、ロシター、松下、伊沢、山下、大嶋、可夢偉だった。可夢偉は、セッション初めのコースインが最も遅く、本来であればチェッカー目前にコントロールラインを通り、最終アタックをする予定だったが、その前の周のヘアピン立ち上がりでエスケープまで大きくコースアウトしてタイムロス。その影響でアタック前にチェッカーを受けてしまった。さらに、コースアウトした周に出したベストラップタイムも、走路外走行ということで予選終了後に削除されている。
このQ2終了から、10分のインターバルを経て、いよいよPPを決定づける7分間のQ3が始まったのは、午後3時17分。この時も、同様に微妙なコンディションとなるが、ほとんどのドライバーはソフトのニュータイヤを装着して、すぐにコースイン。一貴だけがユーズドのレインタイヤを装着し、同様にすぐコースへと入った。ちょうどこのタイミングで、セクター3には雨が降り始める。見る見るセクター3はウェットコンディションとなり、一貴以外のドライバーはアウトラップを終えるとピットイン。タイヤを交換してコースに戻った。その間に、一貴は1分38秒840というトップタイムをマーク。雨が強くなってきたような気配もあったため、このまま一貴がPPをかっさらうのかと思われた。だが、実際には、一貴のタイヤがアタック1周で悲鳴を上げ、その後はタイムアップならず。これに対して、一旦ピットインしてレインタイヤを履いた選手たちがチェッカーと同時にタイムを上げてくる。その中で、計測1周目にも関わらずトップタイムを書き換えたのは、石浦。ディフェンディング・チャンピオンとして、さすがの力を見せた。だが、タイミング的に2周計測できたドライバーは、さらに大きくタイムアップ。その中で、キャシディが1分38秒098を叩き出し、今季初のPPを獲得している。これに続いてアタックしていた山本は、1分38秒289で惜しくも2番手。だが、ランキングトップに立っている山本にとっては、貴重なフロントロウとも言える。以下、石浦、一貴、塚越、関口、平川、国本というトップ8。明日の決勝は、ドライコンディションになると見られているが、この中から抜け出すのは誰なのか。どのドライバーも、2スペックそれぞれのスリックタイヤで、決勝セットを初めて試すのが明日の朝ということで、データ量は豊富ではない。その分、非常に興味深いレースが展開されることになりそうだ。