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2018年最終戦 ポールポジションは山本尚貴(TEAM MUGEN)が獲得

2018年10月27日

この時期にしては、温かなコンディションとなった10月27日(土)の三重県鈴鹿サーキット。昨夜降った雨の影響で、セミウェットコンディションとなった朝のフリー走行を経て、午後0時35分から全日本スーパーフォーミュラ選手権最終戦のノックアウト予選が行われた。この予選で完璧な走りを見せて、PPを獲得したのはNo.16山本尚貴(TEAM MUGEN)。これにNo.4山下健太(KONDO RACING)、No.36中嶋一貴(VANTELN TEAM TOM’S)が続いた。タイトル争いをしているドライバーたちに目を移すと、No.3ニック・キャシディ(KONDO RACING)が4番手。鈴鹿では自己最高のグリッドを獲得している。一方、No.1石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)は、アタック中にトラフィックに引っかかったということで、まさかのQ2敗退。11番手から追い上げを目指す。また、自力タイトルは難しいものの、計算上タイトルの可能性を残しているNo.19関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は、金曜日の専有走行でトップだったにも関わらず、予選時のコンディションに上手く合わせきれなかったということで、こちらは17番手でまさかのQ1敗退。チームメイトのNo.20平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)はQ3まで進出し、6番手でセッションを終えている。

 フリー走行後、一気に青空が広がった鈴鹿は、気温もぐんぐん上昇。気温21℃、路面温度25℃というコンディションの下、19台から14台に絞り込まれる20分間のQ1が始まる。セッションが始まると、石浦を先頭に、No.2国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)、山本、No.37ジェームス・ロシター(VANTELIN TEAM TOM’S)、No.15福住仁嶺(TEAM MUGEN)、No.36中嶋一貴(VANTELN TEAM TOM’S)、No.7トム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、No.8大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、関口、平川、No.18小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、No.5野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)といった順でコースイン。朝のフリー走行がウェットタイヤもしくはユーズドのソフトタイヤでの走行となったため、全ドライバーともに、このセッションではミディアムのニュータイヤを2セット投入した。各車、コースに出ると、タイヤを2周温めて、最初のタイムアタックへ。最初にアタックに行くかと思われた石浦は、もう1周ウォームアップへ。続いてアタックに入った国本は、ここで1分39秒586をマーク。続いてアタックしていた山本は、国本を上回る1分38秒591を叩き出す。また一貴も国本を上回る1分39秒545をマークしてきた。ところが、ちょうどこの頃、セッションは赤旗によって中断されることに。これはアタックに入っていた野尻のクルマにエンジントラブルが発生し、オイルをシケインとピットロードに撒いてしまったため。漏れたオイルに引火し、野尻のクルマからは一時火災も発生した。
 コース上のオイル処理が終わり、セッションが再開されたのは、午後0時55分。残り時間、14分05秒ということで、多くのドライバーはユーズドタイヤでコースへ。また、次に赤旗が出ることを嫌い、ここで早くも2セット目のニュータイヤを投入したチームもあった。ユーズドタイヤを履いてアタックしたドライバーたちは、それを終えると一旦ピットイン。2セット目のニュータイヤを装着して、残り時間が6分となったあたりからコースへと向かった。残り1分となったあたりからは、各ドライバーが続々自己ベストを更新。1セット目でトップタイムをマークしていた山本は、自身のタイムをコンマ1秒縮める1分38秒477をマーク。チェッカー目前で、これに続く1分38秒575をNo.17塚越広大(REAL RACING)がマークしてくる。さらに、No.64ナレイン・カーティケヤン(TCS NAKAJIMA RACING)が3番手に滑り込み、ホンダエンジン勢がトップ3を独占する形に。これに、一貴、No.6松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、国本、可夢偉、No.3ニック・キャシディ(KONDO RACING)、福住、平川と続いた。一方、このQ1で敗退となってしまったのは、No.7トム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、No.65伊沢拓也(TCS NAKAJIMA RACING)、関口、No.50千代勝正(B-Max Racing team)。さらに、車両火災が発生してしまった野尻が最下位となっている。
 10分余りのインターバルを経て、当初の予定より15分遅れで7分間のQ2が始まったのは、午後1時20分。ここでは14台から8台に絞り込まれる。ソフトのニュータイヤでいきなりアタックに行くということで、セッションが始まると各車ピットでタイヤを装着した状態でタイミングを待った。その中で、真っ先に動いたのは、No.6松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。松下は、残り時間が5分20秒となったところで、コスに入った。これに続いて、山下、国本、平川、石浦、可夢偉、キャシディ、カーティケヤン、塚越、ロシター、一貴といった順でコースイン。そこから残り時間が3分20秒となったあたりまで待って、山本、福住、大嶋がコースへと向かった。この中で、国本や平川、塚越らはウォームアップを終えるとすぐにタイムアタックへ。これに対し、松下やキャシディ、山下らは2周タイヤを温めてからアタックに入っている。そして、セッションが残り1分を切ったあたりから、各ドライバーがタイムを刻んだ。最初にアタックした国本は1分38秒597をマークして、その時点でのトップに。だが、続いてアタックしていた平川、塚越、一貴が、トップタイムを次々に書き換えて行く。さらに、チェッカーが提示されると、山本が一貴のタイムをわずかに上回り、トップに躍り出た。この後にアタックしていたドライバーは、山本のタイムを上回ることができなかった。結果、山本はQ1に続いてトップでQ2を通過。一貴、塚越、山下、平川、可夢偉、キャシディ、カーティケヤンがこれに続く。一方、ここで敗退となってしまったのは、国本、松下、石浦、大嶋、福住、ロシターだった。

 さらに10分間のインターバルを経て、いよいよPPを決定づける7分間のQ3が始まったのは、午後1時37分。このセッションでも、各車ソフトのニュータイヤを装着してコースインのタイミングを待つ。その中で、残り時間が4分30秒となったところで、真っ先に動いたの2周目のアタックを計画していた山下。続いて残り4分というところで、同じく2周目アタックを予定する僚友のキャシディもコースイン。これに続いて、カーティケヤン、平川、可夢偉がコースへと向かった。さらに、残り時間が3分10秒となったところで山本がピットを後にし、これに塚越、一貴と続いている。そして、残り時間が1分を切ったあたりから、各車がアタックへ。まずは平川が1分38秒535でトップに立ったが、山本が1分37秒909と、これを大きく上回ってくる。その後にアタックしたドライバーは、このタイムには届かなかった。山本に続いたのは、2周目アタックを敢行した山下。山下にとっては、今季初のフロントロウ獲得となる。3番手には一貴が付け、今季自己最高グリッドを獲得した。以下、キャシディ、塚越、平川、可夢偉と続き、アタック中にミスがあったため、そこでビットに戻ったカーティケヤンが8番手。PPを奪った山本は、1ポイントを加算し、キャシディとのポイント差を4ポイントまで縮めた。
 明日、10月28日(日)も好天が予想されているが、一体レースはどんな展開になるのか? 最後まで息が抜けない、緊迫したタイトル争いが見られそうだ。

予選1位
No.16 山本尚貴(TEAM MUGEN)
「明日は思い切り行って絶対勝ちたいし、絶対にチャンピオンを獲りたい」

「緊張した予選でした。金曜日の走り始めから、順調にうまく行っていたと思います。ただ(専有走行の)結果が9番手で終わったりしてたので、本当に最後に自分の調子が上がるのかなという不安にかられましたが、大事なのは予選でポールポジションを獲ることだと自分の中で踏み止まりました。チームでも踏み留めるようなコメントや環境を作ってくれたので、この予選でポールポジションを獲ることができましたと思います。
 なおかつ、ミディアムタイヤ(Q2、Q3)、ソフトタイヤ(Q1)ともにこの鈴鹿で一番で終われたわけですが、SF14での最後の予選でポールポジションを獲ることができたことに対して非常にうれしく思います。どのドライバーもそうですが、大事なのは明日の決勝だと思うので、明日は思い切り行って絶対勝ちたいし、絶対にチャンピオンを獲りたいし、そういう思いを誰よりも持ってレースに臨みたいなと思っています。
(計測1周目からアタックしたが)2周目にアタックしたほうがよりいいコンディションで行けると思うのですが、ネガティブな要素として、タイヤが後半熱ダレしてしまうというのを懸念しているドライバーやチームもいます。あと大事なのは、1周目にアタックするドライバーと2周目にアタックするドライバーのどっちが多いか。自分が1周目に絶対タイムを出せると思っても、2周目に行くドライバーが多ければ、出る(コースインする)タイミングも違うし、(タイヤを)温めるタイミングや場所も変わります。それであれば、金曜日(専有走行)だったり、事前の雰囲気でなんとなく何周目に行くクルマが多いかに合わせたほうがリスクは少ないと思います。それで(アタックのタイミングを)決めました。
 ここ(鈴鹿)に来るまで、誰が何点獲って誰が何位に落ちれば自分がタイトルを獲れるかを見ませんでした。予選終わったあとに彼らの順番を見ましたが、特に意識はしていません。ライバルは直接チャンピオン争いをしているふたりだけじゃないので、誰がいようがいまいが関係ないです」

予選2位
No. 4 山下健太(KONDO RACING)
「山本選手について行って、抜けるくらいのレースができたらいいな」

「今シーズンはこれまでまったくいいところがなかったんですが、最終戦の鈴鹿で予選2位に来れて本当にうれしいです。今週末は(金曜の)専有走行から調子が良くなくて、特にミディアムタイヤのペースがすごく遅くて、Q1を通過できるかどうかという話をチームとしていました。でも、ソフトタイヤではパフォーマンスが上がるので、なんとかQ1を突破して路面が上がってくれば、もしかしたらいいところに行けるんじゃないかと思っていましたが、まさか2番まで来れるとは思ってませんでした。
 ミディアムタイヤでどのようにすればペースが上がるかがわからなかったので、Q1の1回目を走った感じから微調整だけしました。あとは自分がなんとか頑張る!と思って行きました。それだけです。Q1の2回目のアタックもあまり良くなくて、ギリギリ通ったという感じです。その後(のアタックでも)もこんなに速いとは思わなかったですね。
 アタックのタイミングは、計測1周目か2周目か、結構迷っていました。昨日の専有走行の最後にソフトを履いたとき、計測2周目でタイムを出しに行ってて、その時の感触がそんなに悪くなかったのとタイヤの内圧やタイヤの温め方のデータが獲れていたので、まずQ2はそれで行こうと思っていました。Q3は1周目に行こうと思っていたのですが、Q2の感触が悪くなかったのでそのまま計測2周目で行くことにしました。
 いつもは予選から決勝レースになるとポジションを下げてしまうので、せっかく2番を獲ったので(決勝は)このままか山本選手について行って、抜けるくらいのレースができたらいいなと思います。もちろん自分のレースとして勝ちたい気持ちはあるんですけど、(チームメイトの)ニック(・キャシディ)のチャンピオン(獲得の可能性)が懸かっているので、もし自分がニックを(前に)行かせないといけない状況になったら行かせると思いますが、とりあえずは自分のレースをします。最終戦だし、まだいいレースができていないのでそれがしたいというだけです」

予選3位
No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)
「いい意味でチャンピオン争いをかきまわしたい」

「(タイトルの権利等)何も懸かっていないので、久々に緊張しない予選だったんですけど(苦笑)、意外にクルマの状況というかタイムが良くてQ2でトップが見えるところまで行けたので、Q3は正直(トップを)狙っていたんですが、うまくまとまらなかった部分もあり、ちょっと悔しい結果でもありました。予選でのアタックのタイミングは、基本的に山本選手と一緒ですね。”コピー&ペースト”でお願いします(笑)。
 レースは(グリッドが)2列目ですし、今年の中では一番いい予選だったので、前向きにとらえつつ明日のレースはいい意味でチャンピオン争いをかきまわしたいなと思っています」

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