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2021年 第2戦 野尻智紀が開幕から2連勝で鈴鹿を制す

2021年4月25日

朝のフリー走行が終わった後、メインストレートに強い追い風が吹き始め、爽やかな青空が広がった4月25日(日)の三重県鈴鹿サーキット。午後2時30分からは、全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦の決勝レースが行われた。30周という短いレースながら、途中セーフティーカーが導入されるなど、波乱もあった今回の1戦。序盤にPPからトップを守っていた福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がタイヤバーストで姿を消したあとは、予選2番手からスタートした野尻智紀(TEAM MUGEN)がトップに浮上する。野尻はそのままポジションを守って、トップチェッカー。2008年の松田次生以来となる開幕2連勝を果たした。2位には、スタートでポジションを上げた平川亮(carenex TEAM IMPUL)。平川にとっては、今季初表彰台となった。3位には笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入賞。笹原は今季代役参戦ながら、自身初の表彰台を獲得し、存在感をアピールした。

強い風が雲を押し流したおかげで、青空が広がった鈴鹿。気温23℃、路面温度31℃というコンディションのもと、午後2時30分にフォーメーションラップがスタートした。ここで痛恨のエンジンストールに見舞われたのは、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)。阪口は、エンジンを再始動して隊列に加わったが、最後尾グリッドからスタートすることとなってしまった。
19台の1周の隊列走行を終え、正規グリッドに着くと、後方でグリーンフラッグが振られ、シグナルオールレッドからブラックアウト。その瞬間、各ドライバーが30周先のゴールに向けて一気に加速する。ここで好スタートを切ったのは、PPの福住。2番手グリッドの野尻がこれに続く。予選3番手の大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)はクラッチミート後にストール気味となり失速。後方集団に飲み込まれる形となって一気に14番手までドロップし、そこからの追い上げを図ることとなった。大湯に代わって3番手に浮上したのは、平川。笹原も4番手に浮上する。また、予選6番手の宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、予選8番手のジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)がスタートでポジションダウン。これに対して、開幕戦に続き好スタートを切った関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)が5番手、大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)が6番手に浮上してくる。
 
スタートでトップを守った福住は、オープニングラップから1分40秒台のタイムをマークし、野尻を突き放しにかかる。その後方では、4番手争いの笹原と関口が2周目のシケインから3周目の1コーナーにかけて接近戦。シケインでは関口が一旦前に出たが、笹原が1コーナーでポジション取り戻すというバトルが展開された。また、5周目の1コーナーでは大湯と松下信治(B-Max Racing Team)によるホイール・トゥ・ホイールのバトルが勃発。2台は軽く接触したが、大湯はオーバーテイクシステムを使いながら、松下の攻略に成功した。


 
一方の首位攻防戦はジワジワと差が広がり、5周を終えたところで福住が野尻に対して2秒473のリードを築く。そこから福住はさらにマージンを稼ぎ、8周を終えたところでは3秒033というリードを築いていた。ところが、9周目のスプーンコーナーで福住のマシンに異変が発生。バックストレートで右リヤタイヤがバーストし、福住はスローダウン。ピットに戻る途中にサスペンションにもダメージを負い、そのままリタイヤとなってしまう。代わってトップに立ったのは野尻。そこからは2番手に浮上した平川が、ジワジワと差を詰め始めた。そして、野尻が10周を終えたところで、ピットは一気に慌ただしくなる。ここでピットに入ったのは、関口、大津、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、山下健太(KONDO RACING)、松下、阪口、大嶋和也(NTT Communications ROOKIE)、タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)。大嶋は再スタートの際にエンジンストールして遅れる形となったが、それ以外にはポジションの入れ替わりはなく、各ドライバーがコースに戻っていった。
この動きを見て、翌周ピットに入ったのは、3番手を走行していた笹原。国本雄資(KCMG)、中山雄一(KONDO RACING)も同じく11周を終えたところでピットに入る。笹原は、関口の前でコースに戻ることに成功し、ポジションを守った形だ。

そして、間もなくトップが動く。平川のタイヤがピットロードに用意されたのを見て、野尻は同時ピットインを狙い、13周を終えたところでピットイン。しかし、carenex TEAM IMPULのクルーは平川のピットインを遅らせた。TEAM MUGENは7秒という素早い作業でチームは野尻を送り出す。そのアウトラップで、野尻は猛プッシュを開始。対する平川は、野尻がピットに入ったのを見て、インラップでやはり猛プッシュ。14周を終えてピットに滑り込むと、野尻と同様、7秒1という素早い作業を終えて、コースに戻った。この時、メインストレートでは、野尻がオーバーテイクシステムを使いながら、平川の前に出る。しかし、野尻のタイヤはまだ温まり切っておらず、マシンがボトミング。1コーナーでオーバーランし、肝を冷やす場面もあった。しかし、野尻はきっちりポジションキープしている。

その翌周、16周目には、大きなアクシデントが発生する。福住と同じく、130Rに入ったところで国本の右リヤタイヤがバースト。国本はクルクルとスピンしながら、スポンジバリアに激突し、マシンがひっくり返る形となった。幸い国本にケガはなかったが、これによりコース上にはセーフティーカーが導入される。
タイヤ交換を引っ張る作戦に出て、まだピットに入っておらず、この時見た目上のトップに立っていたのは宮田。2番手にはチームメイトのアレジがつけていた。セーフティーカーが導入されると、チームは2台を同時に呼び戻し、タイヤ交換。だが、最初に立てていた作戦は完全に裏目に出る形となり、宮田は6番手、アレジは11番手で隊列に戻ることとなってしまった。
 
国本のマシンの回収が終わり、レースがリスタートしたのは19周終了時点。ここからは残り11周のスプリントとなり、各所でオーバーテイクシステムを使ってのバトルが発生。 7番手争いの中で、山本が一旦は坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)をオーバーテイク。しかし、翌21周目のシケインからは坪井がオーバーテイクシステムを作動させ続け、S字の一つ目でポジションを取り返すことに成功した。また、25周目には10位争いのアレジと山下が接近。こちらもオーバーテイクシステムを使いながらのバトルとなったが、2台は1コーナーからS字まで真横に並ぶ形となり、最終的にはアレジがポジションを上げることに成功した。その同じ周のシケインでは、阪口がオーバーテイクシステムを使って、山下の前に出る。さらに、山下の前に出たアレジが27周目の1コーナーでは大湯の攻略にも成功した。
これに対して、トップ争いは膠着。リスタート直後こそ野尻と平川の差は開いていったが、残り5周というところからは、平川がジワジワと差を詰め、1秒3〜4というところまで迫った。しかし、野尻は動じることなく、そのまま走り切り、開幕戦に続くトップチェッカー。2連勝を果たし、ポイントでも頭一つ抜きん出る形となった。これに続き、今季初表彰台を獲得したのは平川。今回も全体的にホンダエンジンユーザー勢の方がストレートスピードが速く、トヨタエンジンユーザーの平川はそこが弱点となったが、後方から追ってくる笹原を上手く突き放していく頭脳プレーを見せただけでなく、最後は野尻にも迫る力強さを見せた。そして3位には笹原。笹原にとっては、嬉しい初表彰台。オープニングラップの攻防の中でブレーキをロックし、レース前半はタイヤのフラットスポットから来るバイブレーションに苦しんだというが、ようやく結果を出した。以下、関口、大津、宮田、坪井、最終ラップの最終コーナーで坪井に迫った山本、アレジ、大湯までが入賞している。

次戦の舞台は、大分県オートポリス。野尻にとっては、昨年も優勝している相性のいいサーキットだが、このまま3連勝となるのか。はたまた今回悔しい思いをした福住や平川、大湯が勝利をもぎ取るのか。またしても目が離せない展開が期待される。

決勝 2位
平川 亮(carenex TEAM IMPUL)

決勝 3位
笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

決勝 4位
関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)

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