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もてぎ2連戦 フリープラクティスは大湯都史樹がトップタイム

2022年8月19日

嵐のような低気圧が去った8月19日(金)。日本列島は、大陸からの乾いた空気を含んだ移動性の高気圧に覆われ、多くの地域がカラッとした好天に恵まれる。少し秋めいてきた陽射しが降り注ぐ中、栃木県モビリティリゾートもてぎでは、午後から全日本スーパーフォーミュラ選手権のフリー走行が90分間に渡って行われた。今回は、土曜、日曜ともに予選と決勝を同日開催する2レース制となっているため、金曜日にフリー走行が設定された形だ。このフリー走行でトップタイムをマークしたのは、大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)。これに、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)、平川亮(carenex TEAM IMPUL)と続いている。

F.P P.1 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)

朝からカラッと晴れ上がったもてぎ。チームは午前中から車検などの作業を開始していたが、午後になるといよいよ走行の時間が迫ってきた。気温が33℃、路面温度47℃というコンディションのもと、午前1時40分にフリー走行のセッションはスタート。ピット出口がオープンすると、関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)、平川亮、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)といった順で続々と全車がコースインし、まずは持ち込んだマシンの状態を確認した。その後、多くのドライバーはピットイン。一方、松下信治(B-Max Racing Team)や大嶋和也(docomo business ROOKIE)、佐藤蓮(TEAM GOH)、大湯、三宅淳詞(TEAM GOH)らは最初から計測に入る。この中で、まず1分33秒888と、33秒台に入ってきたのは三宅。セッション開始から15分という時点では、坪井がこれを上回る1分33秒575をマークしてきた。さらに、その5分後、セッション開始から20分という時点では、もてぎを得意としている平川が1分33秒050をマーク。その数分後には、前回の富士を制した笹原右京(TEAM MUGEN)が一気にタイムアップ。1分32秒820と、32秒台に飛び込んでくる。その間にも、各ドライバーはピットイン、ピットアウトを繰り返しながらマシンセットアップを煮詰めていく。同時にピットロード出口では、多くのドライバーがスタート練習を行った。もてぎはオーバーテイクが難しいコースであるため、いつも以上にスタートが重要となってくるためだ。
その後、90分間のセッションが折り返す頃、トップタイムを書き換えてきたのが野尻智紀(TEAM MUGEN)。野尻はここで1分32秒756までタイムを伸ばしてくる。さらに、セッション開始から54分というところでは、山下健太(KONDO RACING)が野尻を上回る1分32秒529をマーク。ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)や大湯も32秒台に入ってくる。

F.P P.2 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)

 
そして、残り時間が約20分と、セッションが終盤に差し掛かったところで、一気にタイムを上げてきたのが前回の富士でPPを奪った関口。関口はここで1分32秒473までタイムを縮め、この時点でのトップに立った。さらに、その2分後に関口のタイムを上回ってきたのは平川。平川はここで1分31秒986と、真っ先に31秒台に飛び込んでくる。その後、セッションの残り時間が10分を切ったあたりでコースに入り、平川のタイムに迫ったのは笹原。笹原はセクター1、2、4で全体ベストタイムを更新したが、セクター3でわずかにタイムロスして1分32秒012をマーク。31秒台にはわずかに届かなかった。

F.P P.3 平川亮(carenex TEAM IMPUL)

 
セッションの残り時間が5分を切ったあたりからは、多くのドライバーがニュータイヤでコースイン。予選に向けてのアタックシミュレーションに入った。タイヤを温めてアタックに入ったドライバーたちは、チェッカー目前からチェッカー後にかけて、自己ベストタイムを次々に更新。トップタイムも目まぐるしく書き換えられていく。その中で、最後の最後にトップタイムを叩き出したのは、大湯。大湯はここで1分31秒221をマークしている。これに続いたのは、坪井。坪井も1分31秒475までタイムを伸ばした。さらに、平川が1分31秒520までタイムアップして3番手でセッションを締めくくる。以下、関口、国本雄資(KCMG)、大津、牧野、福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)、野尻と続き、ここまでが1分31秒台のタイムをマークしている。一方、このセッションでのタイムが1分33秒274に留まり、21番手となったのは前回の富士で大クラッシュを喫したランキング3位のサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)。今回はモノコックを替えて、仕切り直しの1戦となるが、少々不安の残る滑り出しとなっている。

明日20日(土)、第7戦の予選は午前9時05分からとなるが、今日のフリー走行で好タイムをマークしたドライバーたちが、PPを競うことになるのか。あるいは、思わぬ伏兵が現れるのか、注目だ。

ランキングトップ F.P P.9 野尻智紀(TEAM MUGEN)

「(ランキング2位の平川選手とは29ポイント差がありますが)最初に言いたいのは、「今週末だけで何点取れるか知っていますか?」と。そこがまずファンの皆さんによく理解をしてもらいたいところです。それを考えると(平川選手との差は)大量でも何でもないですし、簡単にひっくり返されるポイント差だとは思います。あと、ここにいる選手たち、中でも特にチャンピオンシップを争っている選手たちですが、平川選手もサッシャ選手も皆さんご存知の通り、逆境になればなるほど力を発揮する選手たちだと思うので、楽観視は全くしていませんという感じです。(2年連続タイトルは)そりゃもちろん獲りたいと思っていますよ。ですけど、まだまだ戦いが終わったわけでも何でもないですからね。
あとは今シーズンのタイヤに対して、また僕たちのセットアップに対して、このもてぎがどういう振る舞いをするかっていう所。今、フリー走行を走り終わったので、「ああ、こういう感じなのね」と。課題がたくさん残ったフリーではあったんですが、そこが走る前は分からなかったんですよ。これまでの印象的として、今シーズンの僕はずっと調子が良かったですし、今回も調子がいいんじゃないかと思われているかも知れませんけど、「そんな感じは全くないですよ」っていう。調子が悪いとは言わないですけど、調子がいい確証はどこにもない。そこは、もっと知って頂きたい所かなと思います。
一番速いクルマっていうのは、アンダーもオーバーも出なくて、ハンドルを切ったら切っただけ曲がるし、ブレーキも踏んだら踏んだだけ止まる。そういったクルマが理想的ですけど、今だとアンダーもオーバーも両方出るという一番ややこしい状況にあるかなという感じがあって、まだまだポテンシャルを上げていかないと今週戦えないと思います。そのあたりをしっかりと今から詰めていくという所ですね。ユーズドの段階でまだまだ全然だなという感じもありましたし、一瞬(計時モニターの)上には行きましたけど、このフィーリングでトップっていうことは間違いなく”ないな”と思っていました。自分の乗っているフィーリングに対する順位という意味では、フリー走行は順当な結果だったという感じです。
(タイトルは)もてぎで決められるなら、早目に楽になった方がメンタルヘルス的にはだいぶいいと思います。とは言え、そんなに楽なものではないですし、楽だったらチャンピオンシップとして面白く無くなっちゃうんじゃないかと思うんで、難しいですよね。僕がお客さんの立場だったら、「最後の鈴鹿まで、もつれてくれ」って思うし、ドライバーからすると「もう決めたいな」っていう所もあるし、複雑なところはありますけど。とにかくいつも通り変わらず、自分たちの力を出し切るっていう所に集中して。まずはチャンピオンシップどうこうは置いておいて、そこに集中して戦うべきなんじゃないかなと思いますね。あとは、こういう時だからこそ、チーム全体として、やるべき所はひとつひとつ丁寧に、一つ一つ何気ない作業でもこなしていくっていう所。そういう所をちゃんとやっていけば、必ず見落としがなく、いい週末を送れると思うので、その辺を意識しながらやっていきたいなと思います」

ランキング2位 F.P P.3 平川亮(carenex TEAM IMPUL)

「正直、余りチャンピオン争いは意識していません。ポイント差がポイント差なので、余り意識するポジションでもないですし、自分の課題としては、ここで2連勝するっていうことだけ。もちろん46点獲れればいいですけどね。2連勝は自分たちが目指している所ですし、結果的にそうなればいいかなと思います。今年、どちらかというと自分たちは予選が苦しくて、「もうちょっと前に行けるのにな」っていうレースが多いので、どちらかというと、予選でしっかりポイントを獲れる位置に行きたい。もてぎは特に予選位置が大事なので。最終的に、それで46点稼げれば、すごくいいですよね。その結果として鈴鹿にチャンスを持ち込めればいいなと思います。
フリー走行では、基本的には予選に向けてのセットアップを試したりとかしていましたし、クルマはどんどん良くなって行きました。本当は、富士でもう少しいい所を発揮できるかなっていう感じはあったんですけど、予選は雨でしたし、レースは走れなかったので、確認しきれませんでした。ただ、もてぎに来て、感触的には悪くないですし、今年の今までの感じではないというか。昨年とか一昨年とか、予選が速かった時に感覚はちょっと戻ってきているので、今日はすごく良かったかなと思います。
フリー走行では、2回ニュータイヤを履いて、31秒9から最後は31秒5までタイムを上げました。最後は気温が下がってきて、そうするとバランスも変わってきましたね。明日の予選はもっと涼しいか、寒いぐらいじゃないかと思うので、そこに合わせないといけないなという感じはしていますね。どちらかというと、セッション始めの暑い時にクルマが結構合っていて、路面温度が冷えてくるとちょっと合わないなっていう感じでした。相対的にタイムが少し遅れてくるというか。他の選手が伸ばしてくる中、そこの伸び代が少し足りなかった。ただ、自分としてもどこが足りなかったかということは分かっているので、明日はそこを合わせないとダメですね。
野尻選手に関しては、フリー走行の最後に余り伸びてこなかったので、見ていてちょっと”あれ?”っていう感じはしました。でも、明日の予選に向けては合わせてくるはずなので、そこは余裕をぶっこいちゃいけないなっていう感じはしています」

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