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第2戦Preview 勝利の方程式は王道か奇襲か!?今年も予選と決勝が2度楽しめる2日間
2017年5月22日
季節外れの肌寒さが残る気候から一転、5月下旬に入ってから真夏のような暑さとなった日本列島。その暑さの中、いよいよ今週末には全日本スーパーフォーミュラ選手権 第2戦が、岡山県岡山国際サーキットで開催される。今年はオフシーズンの間に、岡山でのテストはなく、レギュラードライバーたちにとっては昨年秋以来の走行。もちろんルーキーの中には、岡山未経験のドライバーもいるという状況だ。また、このオフ、岡山は路面の全面改修を行っており、新たな路面でのスーパーフォーミュラ初走行ともなる。そのため、金曜日には通常よりも1時間長い2時間の練習走行が予定されている。まずはここで持ち込んだクルマのセットアップの良し悪しが判明するはず。また、ニュースペックタイヤと新しい路面、レースウィークのコンディションに対する合わせ込み作業が行われるが、誰が好タイムを刻むのか。予選・決勝を占う上でも、重要なセッションとなる。現地観戦を予定されている方は、金曜日のタイムも参考にするとより週末を楽しめるはずだ。
次に、今回のレースの特徴となるのは、2レース制ということ。昨年、九州地方を襲った震災の影響でオートポリス戦が中止となったが、岡山はその代替戦を開催し、2レース制を採用したが、今シーズンの大会も2レース制となっている。土曜日曜両日ともに予選・決勝が見られるということで、観客の皆さんにとっては“一粒で二度おいしい”、お得な週末となる。一方、ドライバーやチーム関係者にとっては非常に忙しいだけでなく、プレッシャーが掛かり続ける週末。特に、ドライバーたちはメンタル面も含めて、現場での自分のリズムを上手く作ることが大切になるはずだ。
さて、気になるのはそのレースフォーマット。まず土曜日は、午前8時45分から45分間のフリー走行が行われるが、そこからわずか1時間のインターバルを経て、20分間の計時予選が行われることになっている。その後、約4時間のインターバルを経て、午後3時半から30周(111.09㎞)のスプリントで争われるレース1が開催される。このレース1では、ピットインの義務付けはない。日曜日は、朝のフリー走行がなく、午前9時20分からノックアウト方式の予選。今回は他大会で行われているQ3までではなく、20分間のQ1と10分間のQ2でグリッドが決定される方式だ。そして、午後2時25分からは、51周(188.85㎞)で行われるレース2。このレース2では、ドライコンディションの場合、4本のタイヤ交換が義務付けられることになる。
その中で、土曜日に注目していただきたいのは、まずフリー走行から予選にかけての各チームの動き。金曜日の走行で手応えを掴めず、大きくセットアップ変更などしたチームにとっては、この45分間がある意味勝負の時間帯となるが、そこで上手く行かなかった場合には、予選は非常に厳しくなるだろう。一方、いい感触は得ているが、予選に向けてあと一歩詰めたいという場合にもインターバルの時間を考えると短い時間での判断と作業が必要だ。また、この朝のフリー走行では、通常セッションの最後にニュータイヤで予選アタックのシミュレーションも行われるが、全員がそれを行うかどうかにも注目。レースウィーク中に供給されるニュータイヤは4セット。今回の場合、セオリー通りの使い方を考えると、フリー走行の最後に1セット、土曜日の計時予選で1セット、ノックアウト予選のQ1で1セット、Q2で1セットということになる。だが、金曜からの感触がPPを狙える仕上がりではないというドライバーの中には、20分間の計時予選でひとつでも前のポジションを狙うために、フリー走行ではニュータイヤを使用せず、計時予選に2セット投入してくる選手もいるかも知れない。特に、岡山の場合、コース全長が短く、19台のマシンが一斉に走ると多くのドライバーがトラフィックの影響を受ける。またエスケープが余り広くないこともあり、多くのドライバーがアタックに入っているセッション終盤に赤旗が出やすいというのも特徴だ。その分、セッション前半にも一度アタックをしておくことで、予想以上の好ポジションで予選を終えられる可能性はゼロではない。中には、そうしたギャンブル的な作戦に打って出るチームもあるかも知れない。
午後から行われるスプリントのレース1は、前述のようにピットインがないため、ドライバー同士の純粋な戦い。その最大のポイントはスタートから序盤1~2周の攻防となる。1コーナーまでの距離がそれほど長くなく、コース幅も比較的狭い岡山では、スタートで大きくポジションを上げるというのは至難の技でもあるが、各ドライバーにとっては最も重要なオーバーテイクのチャンスだ。また、タイヤが冷えているオープニングラップは、各ドライバーのアトウッドカーブでの走りに注目。ここで上手くクリップに付けなかった場合には、続くバックストレートでのスピードの伸びが鈍り、後方から迫るドライバーにヘアピンでかわされるという事態が発生するからだ。もしヘアピンでイン側を守り切っても、真横に並ばれている場合には、続く左のリボルバーコーナーでインを取られる形となり、そこでもオーバーテイクシーンが生まれるかも知れない。そのあたりの攻防を楽しんでいただきたい。
翌日曜日は、ノックアウト予選がQ2までで争われるが、20分間のQ1で一気に9台が脱落することになる。普通に考えると、Q1前半はユーズドタイヤでマシンの状態を確認し、セッション終盤にニュータイヤを投入することになるのだが、この時も19台がほぼ一斉に走行するため、多くのドライバーがトラフィックの影響を受ける可能性がある。各車、非常に僅差の中で戦っているスーパーフォーミュラの場合、コンマ1秒、あるいは100分の1秒でQ2進出を逃すこともあるだけに、トラフィックマネージメントは非常に重要なファクター。誰がどういうタイミングで、いかにトラフィックを避けながらアタックするのか。Q1では、そこが大きなキーポイントとなる。続くQ2も、通常よりは3分長い10分間のセッションとなるが、同時に10台が走行するとなると、トラフィック問題は避けられない。セッション終了の何分前から各ドライバーがニュータイヤでの動きを見せるのか。他のドライバーと違うタイミングを取るドライバーがいるのかなど、見所の多いセッションとなるだろう。そして、日曜日のレース2に関しては、ドライの場合、スタートもさることながら、ピットインのタイミングが最も気になるポイント。昨年の場合、オープニングラップを終えたところで、予選6番手からスタートした国本雄資がピット作業を行うという奇襲作戦に出て自身初優勝を果たしたが、今年もそうした展開は起こるのか。PPスタートのドライバーが王道の作戦を取って、勝利をもぎ取るのか。各ドライバーのラップペースなどを見ながら、チェッカー時の結果を予想するとより楽しめるはずだ。
チーム、ドライバーとして岡山で注目なのは、まずP.MU/CERUMO・INGING。過去のシーズンを振り返っても、石浦宏明、国本の2人は岡山で結果を残してきており、今回も軸になってくるはずだ。これに今季開幕前から好調ぶりを見せているVANTELIN TEAM TOM’Sの中嶋一貴がどう絡んでくるか。また、今年の開幕戦で手応えを掴んだ様子だったTEAM MUGENの山本尚貴が、これまで満足の行く結果を出せていない岡山でどのような走りを見せるのかも気になる。もちろん、そのチームメイトであり、岡山初走行のピエール・ガスリーにも注目だ。その他、昨年の岡山で好調だったREAL RACINGの塚越広大、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの伊沢拓也&野尻智紀らも巻き返してくるはず。ポイントこそ逃したものの、開幕戦ではさすがの走りを見せたKCMGの小林可夢偉も、2015年にはここ岡山で表彰台に上がっており、気になる存在と言っていいだろう。さらには、昨年、シーズンを席巻したITOCHU ENEX TEAM IMPULの関口雄飛、そのチームメイトであるヤン・マーデンボローの奮闘にも期待したいところだ。