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2022年シリーズ天王山、もてぎ2連戦プレビュー

2022年8月13日

昨年のもてぎ大会スタートシーン

セーフティーカーが2回導入され、誰も予想しなかったような意外な展開となった全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦富士スピードウェイ。結果、表彰台のてっぺんに立ったのは、笹原右京(TEAM MUGEN)。同じ富士スピードウェイでの開幕大会では、予選PPを取るなど速さを見せたものの、2レースともにスタートでの発進が上手くいかず涙を飲んだ。その笹原が、今季5人目のウィナーとして、歓喜の涙に酔いしれた。

その富士戦から1ヶ月余り。8月20日(土)〜21日(日)には、いよいよ今シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権にとって、天王山とも言えるモビリティリゾートもてぎでの大会を迎える。今大会は、もてぎ初の2連戦。土曜日、日曜日ともに予選・決勝が行われることになっている。夏休み期間中ということもあり、現地を訪れるファンの方々にとっても、たっぷり楽しめる2日間となるはずだ。

このもてぎ戦で最も注目されるのは、やはりタイトル争いの行方。実際には、まだシリーズ全10戦中6戦を終えたところではあるが、計算上は今季のチャンピオンが決定する可能性があるからだ。ランキングでトップをひた走っているのは、昨年初戴冠を果たした野尻智紀(TEAM MUGEN)。今季も野尻は開幕戦から安定したパフォーマンスを発揮し、第2戦では優勝。その他のレースでも、第4戦オートポリスで4位となった以外は、すべてのレースで表彰台を獲得している。特に、今季の予選での速さは凄まじく、第2戦から第5戦までは4戦連続でのPPを獲得。前戦富士でも予選3番手につけ、予選ポイントだけでも13ポイントを重ねている。ここまでの合計ポイントは93ポイントだ。

その野尻に次ぐランキング2番手につけているのは、平川亮(carenex TEAM IMPUL)。平川は開幕戦で今季初優勝をしただけでなく、第4戦オートポリスでは数々のオーバーテイクを見せて大逆転で優勝。ここまで唯一2勝をマークしている。しかし、第5戦SUGOでQ1序盤の赤旗に翻弄される形となっただけでなく、第6戦富士でも雨の影響を受けて予選で沈む。SUGOの決勝では挽回してポイントを獲得したものの、富士ではスタート直後の1コーナーでアクシデントに巻き込まれ、リタイヤ。このノーポイントが大きく響き、現在平川は64ポイント。野尻に対して29ポイントのビハインドとなっている。

さらに、ランキング3番手につけているのはサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)。フェネストラズは、第5戦SUGOでスーパーフォーミュラ初優勝を挙げただけでなく、開幕戦、第4戦でも表彰台を獲得。しかし、第2戦富士でブレーキに問題を抱えてリタイヤ。さらに、前戦富士では、レース序盤に大クラッシュ。エンジンから後方がちぎれるほど大きなアクシデントに巻き込まれた。幸い、本人の身体は無事だったが、これによりノーポイント。シーズンが進むに連れて調子を上げてきていたが、ここまで57ポイントに留まっている。野尻との差は36ポイントまで開いた。

平川、フェネストラズともに、今回のもてぎ大会を終えたところで野尻に対して46ポイント以上の差をつけられてしまえば、タイトルの目は消えてしまうだけに、ここは正念場と言える。中でも平川はもてぎを大の得意としており、予選からその走りには注目。本人も2連続ポール・トゥ・ウィンを目標に掲げている。一方のフェネストラズは、先週富士で行われたスーパーGT第5戦で優勝し、完全復活を印象付けた。こちらも予選からどんな走りを見せるか、期待したいところ。もてぎはスーパーフォーミュラが行われるサーキットの中でも、オーバーテイクがかなり難しく、より予選が重要となってくるからだ。
 
その予選は、今回もノックアウト方式。Q1、Q2を通じて争われる。Q1は2グループに分けて行われ、上位6台がQ2に進出。Q2では12台がPPを争うことになる。ここで好成績を出すためには、やはりコースインのタイミングが重要。もてぎはストップ&ゴーのレイアウトということもあり、トラフィックの影響をかなり大きく受けるからだ。19日(金)午後のフリー走行では、各ドライバーが予選でのマシンのセットアップを仕上げていくことになるが、まずはここで誰が速さを見せるのか。実際の予選が行われるのは両日ともに午前9時過ぎと、フリー走行とは大きくコンディションが変わってくるため、あくまでも参考ということにはなるだろうが、走り始めの状況はどのドライバーにとっても重要だ。そして、実際の予選は朝からぶっつけ本番。まだ涼しい時間帯ということで、タイヤの温めに何周かけるか、チームやドライバーによって変わってくる可能性もある。アウトラップを終えてすぐアタックに行くか、あるいはアウトラップの後にウォームアップラップを挟んでからアタックに行くか。それによってもコースインのタイミングは変わり、トラフィックから受ける影響も変わってくる。予選ではこの辺りが順位にも繋がってくるだろう。
 
そして、決勝では、まずスタートが見どころ。1周のフォーメーションラップではまだタイヤが完全に温まり切っていないため、1コーナーから 5コーナー辺りまでは各ドライバーがオーバーテイクシステムを使いながら、激しい攻防を見せてくれるはずだ。昨年、夏のもてぎでは、この攻防の中でアクシデントが発生し、いきなり複数台が姿を消したが、今回はどうなるのか。できればアクシデントなく、クリーンながらも迫力あるバトルを見せてもらいたいものだ。また、ドライであれば今回もタイヤの4本交換が義務付けられる。交換のウィンドウは、先頭車両が10周回目の第1セーフティーカーラインを超えたところから、最終周回に入るまで。もてぎは前述のようにオーバーテイクが容易ではないだけに、このピットインのタイミングも重要だ。トラフィックの中でペースを上げられなければ、早めにピットに入る作戦が有効となるが、これに対して前が開けていれば引っ張ってからピットインする作戦もある。誰がどのタイミングでピットに入るかは要注目。また、最近短縮が著しい各チームのピット作業時間、さらには各ドライバーのピットイン後のアウトラップのペースと、注目点が多く、最初から最後まで目が離せない展開となるはずだ。その結果、野尻が他を突き放すのか。平川やフェネストラズが巻き返してくるのか。あるいは今シーズン6人目、7人目のウィナーが誕生するのか。
 
最後に気になるのは、やはり天候。お盆休みが終わり、8月も下旬に入ると、そろそろ台風シーズンがやってくる。また北関東地方では、真夏でも連日のように夕立や雷雨がどこかで降っているという状況。現在の予報では、レースウィークに入ってから曇りや雨が続く模様で、不安定なコンディションとなる可能性もある。もちろん、本番が近づくに連れて予報とは真逆になり、残暑厳しい2日間になる可能性も。いずれにしても、チームやドライバーたちは、刻々と変わっていくコンディションに対応を迫られることになるが、その中で最後に笑うのは誰なのか。非常に興味深い大会となりそうだ。

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