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野尻智紀が貫禄の走りでP.P獲得
2022年4月10日
P.Pを獲得した野尻智紀(TEAM MUGEN)
白熱の開幕戦から一夜明けた4月10日(日)の静岡県富士スピードウェイ。前日に引き続き、朝から陽射しが燦々と降り注ぐ中、全日本スーパーフォーミュラ選手権は早くも第2戦を迎えている。その決勝を前に、午前10時25分からは、ノックアウト予選が行われた。このノックアウト予選で見事なタイムアタックを見せ、今季初PPを獲得したのはディフェンディングチャンピオンの野尻智紀(TEAM MUGEN)。昨日の予選で4番手に留まった宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が2番手につけ、今季初のフロントロウを獲得している。3番手には、開幕戦のポールシッターとなった笹原右京(TEAM MUGEN)が滑り込んだ。
昨日吹いていた強い風が収まり、メインストレートに弱い向かい風が吹いた富士。頭上には青空が広がり、太陽の光がすべてを明るく照らし出した。この日は春というよりは初夏の気候になると予想されており、ノックアウト予選が始まった午前10時25分の段階で、気温は21℃、路面温度は30℃まで上昇。開幕戦の決勝レースと同じようなコンディションとなった。
Q1はAグループとBグループに分かれて、各10分間のセッション。昨日は、事前のくじ引きによってグループ分けがなされていたが、今日の予選は、昨日の開幕戦の結果によるランキング順。そのため、各グループともに、若干顔ぶれが変わった。また、昨日はAグループが10台、Bグループが11台だったが、今日はAグループが11台、B グループが10台となっている。
午前10時25分にAグループのセッションが開始されると、まずは関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)、大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、野尻、大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)、宮田といった順ですぐに全車がコースイン。この中で、関口、大津、野尻の3台は、フロントタイヤにニュータイヤを装着していた。アタック前に、フロントのスクラブを行うためだ。その他のドライバーは4輪ともにユーズドタイヤでマシンの状態を確認。各ドライバーともアウトラップを走るとピットに戻り、ニュータイヤに交換している。
そして、残り時間が7分となったところで、野尻、三宅淳詞(TEAM GOH)、山下健太(KONDO RACING)、国本雄資(KCMG)、大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)といった順で、各ドライバーは再びコースイン。多くはアウトラップから2周のウォームアップを経て、アタックラップに入る予定となっていた。これに対して、コースインのタイミングを遅らせたのが坪井。坪井は残り時間が5分半となるまで待ってからコースに入る。アウトラップと1周のウォームアップでアタックに向かうためだ。その坪井が、残り時間2分余りとなったところで真っ先にアタックラップに入る。これに続いてアタックに入ったのは野尻、山下、三宅らだった。1周を終えて戻った坪井は1分21秒987と、いきなり21秒台に突入。しかし、続いてアタックしていた野尻が1分21秒899と坪井を上回ってくる。山下は1分22秒100と、21秒にはわずかに届かず。その直後、一気にトップタイムを書き換えてきたのは、ルーキーの三宅だった。三宅はここで1分21秒796を叩き出すと、その翌周もアタックを続行した。チェッカー目前、この三宅に続いたのは宮田。宮田はここで1分21秒843をマークしてくる。一方、アタックを続行していた三宅は、チェッカーを受けると同時に、さらにタイムアップ。1分21秒618を叩き出し、周囲の度肝を抜いた。しかし。セッション後、三宅の最後のベストタイムは抹消。トラックリミット違反と判定されたためだ。それでも、三宅はトップでQ1を通過。これに宮田、野尻、坪井、山下、大津が続いている。対して、Q2に駒を進められなかったのは、福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)、関口、トラックリミット違反を取られた松下信治(B-Max Racing Team)、大湯、国本雄資(KCMG)だった。
Q1A組をトップで通過した三宅淳詞(TEAM GOH)
5分間のインターバルを経て、BグループのQ1が始まったのは、午前10時40分。このセッションでも開始直後から、平川亮(carenex TEAM IMPUL)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)といった順で多くのドライバーがコースイン。最初からニュータイヤを装着した笹原だけが、開始から1分待ってコースに入る。その他のドライバーたちは、ユーズドタイヤで走り出してマシンの状態を確認してから、ピットロードでニュータイヤに履き替えている。そして、牧野、山本、平川、サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)といった順で再びコースイン。小林可夢偉(KCMG)は残り時間が6分半となったところで、コースに入っていった。
そこから各ドライバーは思い思いにタイヤのウォームアップを行っていたが、残り時間が2分50秒となったあたりでQライトを点滅させながら真っ先にアタックラップに入ったのは可夢偉。これに笹原が続いた。可夢偉は最初のアタックで1分22秒432をマーク。さらにアタックを続行すると、1分22秒279までタイムを縮めてくる。一方、可夢偉に続いてアタックに入った笹原はいきなり1分21秒898と21秒台に突入してきた。これに続いてアタックしていた牧野は1分22秒541、山本は1分22秒667、平川は1分22秒207といずれも21秒台に突入せず。各ドライバーはそのまま翌周もアタックを続行した。その頃、一気にトップタイムを書き換えてきたのは、彼らに続いてアタックしていたフェネストラズ。フェネストラズはここで1分21秒729を叩き出してくる。また、ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)も1分22秒001をマークして、3番手に浮上してきた。チェッカーの周には、何人かのドライバーが自己ベストを更新。牧野が1分22秒374までタイムアップし、6番手に浮上してくる。ところが、最後の最後にアタックを行なっていた佐藤蓮(TEAM GOH)が1分22秒317をマークして6番手に浮上。牧野はノックアウトされてしまうことになった。結果、BグループのQ1をトップ通過したのはフェネストラズ。笹原、アレジ、平川、可夢偉、佐藤までがQ2に駒を進めている。これに対して、Q1で敗退となってしまったのは、牧野、阪口、山本、大嶋和也(docomo business ROOKIE)だった。
10分間のインターバルを経て、いよいよPPを決する7分間のQ2が始まったのは、午前11時。この頃には、気温が22℃、路面温度が31℃とさらに温かなコンディションとなる。コースがオープンされると、真っ先に動き出したのは笹原。これに三宅、フェネストラズ、山下、大津、可夢偉と続く。開始から1分というところで、佐藤、宮田、平川、アレジもコースイン。これに対して、野尻は開始から約1分40秒、坪井は約2分待ってコースへ。このセッションでは各ドライバーともに、最初から4輪にニュータイヤを装着してアタックに向かった。
そして、残り時間が2分を切ったところで、まずアタックラップに入ったのは、野尻。ところが、野尻はコカ・コーラコーナーでトラックリミットを越えたため、ここで一旦スローダウン。次の周に仕切り直すことになる。続いてアタックに入ったのは、笹原。笹原はここで1分21秒731と、21秒台に入ったきた。これに続いたのは、1分21秒934をマークした三宅。坪井は1分22秒178と大きくタイムを伸ばすことができなかった。さらに、山下が1分21秒763、フェネストラズが1分21秒857とKONDO RACINGの2台が21秒台に突入してくる。可夢偉もここで1分21秒842と、今日初めて21秒台に入ってきた。さらに、続く佐藤も1分21秒754をマークした。そして、チェッカーと同時にトップタイムを書き換えたのが宮田。宮田は1分21秒717を叩き出し、一気に計時モニターの一番上に踊り出る。ところが、最後の最後に、この宮田のタイムをひっくり返したのが、仕切り直しのアタックを行なった野尻。野尻はここで1分21秒522と圧巻のタイムを叩き出すと、今季初のPPを獲得した。2番手には宮田、3番手には笹原。以下、佐藤、山下、可夢偉、フェネストラズ、平川、三宅、アレジ、坪井、大津と続いている。
予選2番手 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)
予選3番手 笹原右京(TEAM MUGEN)
午後の第2戦・決勝ではどんなレースが展開されるのか。野尻が今季初のPPからぶっちぎるのか、宮田が初の優勝を飾るのか。あるいは、開幕戦が悔しい結果となった笹原が勝利の美酒に酔うのだろうか。開幕戦を制した平川と3位入賞したフェネストラズもグリッド4列目にいるだけに、大きくポジションを上げてくる可能性はある。さらに、久々の上位グリッドとなった山下や可夢偉、ルーキーの佐藤や三宅の走りにも大注目だ。