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福住仁嶺が今季2勝目。チームタイトルはcarenex TEAM IMPULが獲得!
2021年10月31日
4月に富士スピードウェイで開幕した今シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権。10月31日(日)には、三重県鈴鹿サーキットで、いよいよその最終戦となるJAF鈴鹿グランプリの決勝レースが行われた。このレースで今季2勝目を挙げたのは、予選3番手からスタートした福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。好スタートを決めてハイペースでラップを刻み、その福住を最後まで追い詰めた平川亮(carenex TEAM IMPUL)が2位。スーパースタートを決め、序盤からアグレッシヴな走りを見せた新チャンピオン、野尻智紀(TEAM MUGEN)が3位表彰台に上がり、有終の美を飾った。また、好ペースを維持して、最後までピットインを遅らせた関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)が4位に入ったことで、チームタイトルはcarenex TEAM IMPULが獲得。TEAM IMPULにとっては、2010年以来、11年ぶり8回目のチームタイトルとなった。さらに、予選7番手から、こちらも好スタートを決めた大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)が5位入賞。阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)が13位、宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が14位とポイント圏外、ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)が8位に終わったため、ルーキー・オブ・ザ・イヤーは大津が獲得している。
ウェットコンディションとなった朝のフリー走行から一転、昼前になると鈴鹿には青空が広がった。曇りという予報だったが、太陽が顔を出している。そんな中、午後1時15分からスタート進行が開始。朝、ドライコンディションでのマシンの状態を確認できていないドライバーたちが8分間のウォームアップ走行を行った。この8分間の走行で1分41秒289というトップタイムを刻んだのは、関口。これにサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)、平川亮(carenex TEAM IMPUL)、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)、松下信治(B-Max Racing Team)、山下健太(KONDO RACING)が続く。ここまでが1分41秒台のタイムを刻んでいる。ただし、この8分間では、スタート練習やレーススタート用のニュータイヤのスクラブなどの作業を行った選手も多く、一概に誰のマシンが仕上がっているかまでは判断できない状況だった。
その後、全車はダミーグリッドへ。気温が21℃、路面温度が25℃まで上昇する中、午後2時にフォーメーションラップがスタートした。この直前から、鈴鹿には路面を濡らすほどではないもののパラパラと雨が降り始め、レースの波乱を予感させた。そんな中、各ドライバーは1周の隊列走行を終えると正規グリッドにロックオン。最後方でグリーンフラッグが振られると、シグナルオールレッドからブラックアウト。30周先のゴールに向けて、一斉にスタートが切られた。
ここで動き出しこそ余り良くなかったものの、トップのポジションを守ったのはPPスタートの松下。予選2番手の大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)もポジションをキープする。その後方では、5番グリッドの野尻がスーパースタートを決め、最もアウト側から3番手まで浮上。1〜2コーナーでは大湯に並びかけるほどの勢いを見せる。スタートをミスしたという福住は一つポジションを落として4番手。7番グリッドからスタートした大津と9番グリッドからスタートした平川はアウト側のラインを取って1コーナーにアプーチすると、それぞれ5番手、6番手にポジションアップを果たした。これに対して、スタート直後の1コーナーでポジションを落としてしまったのは、4番グリッドからスタートした牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。牧野は最もイン側からのアプローチとなったが、1コーナーに入るとラインが厳しくなり、大津、平川の先行を許す形となってしまった。
その後、オープニングラップから、コース上では各所でバトルが勃発。スプーンコーナーではアレジと坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)の争いが見られただけでなく、130Rでは大津がオーバーテイクシステムを作動させ、インから福住の前に出ることに成功した。また、2周目の1コーナーでは野尻がイン側から大湯にオーバーテイクを仕掛ける。しかし、大湯も一歩も引かず。2台はS字まで並走する形になったが、最終的には軽く接触する形となり、アウト側にいた大湯はコースオフ。ポジションを落とすことになった。
この頃になると、西コースの雨量が増え、ウェット宣言が出される。その後、本降りになることはなかったが、各ドライバーともに滑りやすいコンディションの中での走行となった。その中で、3周目の1コーナーでは、福住がアウトから大津を抜き返す。同じ周の130Rでは、平川もアウトから大津をオーバーテイク。大津は5番手まで後退した。その後方では宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)がスプーンでコースオフ。最後方までドロップする場面も見られた。
そして、4周目に入ると、トップの松下にドライブスルーペナルティーが科される。理由はジャンプスタート。松下は正規グリッドに着いた後、レッドシグナルが点灯中にわずかながらタイヤが動いてしまっていた。5周を終えたところで、松下はペナルティー消化のためにピットロードに滑り込んだが、コースに戻った時には、最下位までドロップしてしまった。
代わってトップに立ったのは野尻、これに福住、平川、大津、牧野、フェネストラズ、大湯、山下が続く。この中で、次第に緊迫し始めたのはトップ争い。6周を終えた時点で1秒367あったタイムギャップを福住がジワジワと削り、9周を終えたところでは0秒622。その周、福住は西コースでオーバーテイクシステムを作動させ、シケインでは野尻の真後ろまで迫った。
その翌周からはピットが動く。10周を終えたところで、まずピットに飛び込んだのは、牧野、山下、大湯、アレジ、坪井、松下。この中で、牧野のクルーは左リヤタイヤの交換に手間取り、15秒4という作業時間を要してしまう。その間に、山下が牧野の前に出る。また大湯もここでアレジの逆転を許す形となった。
その翌周には、トップ争いを演じていた福住がピットイン。大津、フェネストラズ、阪口、宮田、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、小高一斗(KCMG)、タチアナ・カルデロン(ThreeBond DragoCORSE)もピットに入った。
そして、その翌周、12周を終えたところでトップの野尻がピットイン。しかしこの直前、野尻に対してはレース結果に5秒加算というペナルティーが科せられることに。大湯との接触が危険なドライブ行為と判定されたためだ。タイヤ交換を終えた野尻は福住の前でコースに戻ることに成功。しかし、アウトラップでオーバーテイクシステムを使いながらタイムを稼いできた福住は、逆バンクで野尻を捉える。一方、野尻と福住がピットに入ったことで前が開けた平川は、13周目に1分41秒037という、その時点でのファステストラッブをマーク。その翌周、14周を終えたところでピットに滑り込んだ。クルーは7秒1という素早い作業を見せ、平川は福住の目の前でコースに復帰。しかし、アウトラップの2コーナーでは、福住が難なく平川をかわして行った。その平川の背後には野尻も迫る。しかし、お互いにオーバーテイクシステムを使いながらの攻防。ここは平川がポジションを守り切った。
この時、見た目上のトップを走っていたのは関口。関口は前が開けたこともあり、1分41秒台後半から42秒台のタイムを刻んでいく。その他、国本雄資(KCMG)や大嶋和也(NTT Communications ROOKIE)も、他のドライバーとはピットタイミングをずらしたが、大嶋は15周を終えたところで、国本は19周を終えたところでピットイン。関口だけがピットに入らず走行を続けた。20周を終えたところで、関口と実質4番手を走っていた大津のタイム差は33秒195。大津がペースアップに苦しむ中、関口はその差をさらに広げ、25周を終えたところでは36秒776、26周を終えたところでは37秒329までギャップを稼いだ。
そして、関口は27周を終えたところでピットイン。クルーは平川の時よりさらに早い6秒7という作業を見せ、関口は大津の前でコースに戻ることに成功する。大津はちょうどオーバーテイクシステムが使えないタイミング。その周のヘアピン立ち上がりからようやくオーバーテイクシステムを稼働させ、シケインでは関口にアウトから並びかけようとする。しかし、関口はイン側のラインをガッチリ抑え、大津に逆転のチャンスを与えなかった。
最終盤に入った29周目には、トップ争いも緊迫。シケインから平川がオーバーテイクシステムを作動させて福住に迫る。一方の福住は、ここではオーバーテイクシステムを温存。しかし、最終ラップのスプーン入り口からは、残っていたオーバーテイクシステムをフル稼働させて、平川を突き放した。
結果、30周のレースを終えてトップチェッカーを受けたのは、福住。第2戦、同じ鈴鹿でポールからトップを守ったものの、タイヤバーストでリタイヤに終わった福住にとっては、リベンジの鈴鹿初優勝。今季菅生に続く2勝目となり、ドライバーズランキングも2位で1年を締めくくった。続く2位には平川。3位には野尻が入賞。関口は4位に入ったことで、ドライバーズランキング3位となっている。以下、大津、山下、フェネストラズ、アレジ、山本、牧野までが入賞。牧野は19周目のシケインでアレジとのバトルを展開したが、2台は軽く接触。これを危険なドライブ行為と判定されたため、牧野には5秒加算のペナルティーが科されていた。そのため、チェッカーを先に受けたのは牧野だったが、山本が繰り上がる形となっている。
今回、平川が2位、関口が4位と揃って上位フィニッシュを果たしたため、チームタイトルはDOCOMO TEAM DANDELION RACINGに2ポイント差をつけたcarenex TEAM IMPULが獲得。5位入賞を果たした大津がルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。
スタートからゴールまで見所の多かった1戦。スタンドから見守った1万人余りの観客からは、ドライバーやチームに大きな拍手が送られた。来年は一体どんな名場面が見られるのか。大きな期待感とともに、今年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は幕を閉じることとなった。
決勝1位 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)