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「各チーム、うまいタイヤの使い方を見つけ始めている」ヨコハマタイヤ 決勝レース総評
2019年5月22日
第2戦は悪天候の影響を受け、ドライ、レインともに不安定なコンディションでの走行を強いられた。さらに、予選も決勝日の朝へとスケジュール変更され、その流れで決勝を迎えることになるなど多くの不確定要素を抱えた戦いとなったが、決戦では関口が見事な戦略と速さで勝利した。その展開はサプライヤーとしてどのように映ったのか、高口紀貴氏にレースの印象を伺った。
「各チーム、うまいタイヤの使い方を見つけ始めている」
今回のレースの展開として、どれだけソフトタイヤでレースを引っ張れるかがレースの焦点になったのではなく、”ウェット待ち”だったように思います。ソフトタイヤでスタートを切ったドライバーは基本的に”雨待ち”で、クルマもウエットセットで…という情報を得ています。雨が降ればすぐにウェット(タイヤ)に交換する。そうすればミディアム(タイヤ)を装着せずに済む、ということです。なので、ソフトで後続を突き放し、雨待ち、という形です。先頭のKONDO RACINGがそうでしたね。一方、関口選手の場合はSUGOの再来でしょうかね。ひとりだけがダントツの速さを見せていた、その答を知りたいくらいです。
タイヤ的にはウエットセットのほうが(タイヤを)使い切れるというか、タイヤの押し付け方がウエットセットのほうが良かったみたいです。車高やキャンバーがウエットセットになると、タイヤの内側だけでなく外側も使っていて、平均的にうまく使うことができたのではないでしょうか。全体的に変な摩耗もなく、上手く使っていたと思われます。中にはいいデータが取れたチームもあるようですよ。まだ開幕から2戦ですが、各チームとも合同テストで失敗していた点を踏まえた上で、うまいタイヤの使い方を見つけ始めているという感じを受けました。というのも、今回はセッションのほとんどをまともに走っておらず、決勝前にいきなりドライになったわけですから。
レースでは、関口選手がソフトから最後ミディアムに換えて行かなきゃいけないという状況の中、ソフトで猛追してきた山本選手にどのくらい付かれるかという見どころがありましたよね。あの状況を見て、「(コース上に)ラバーが乗っていると、ミディアムも速いよね」という声が上がりました。かなり使い込んでタレている(山本の)ソフトと、換えたばかりの(関口の)ミディアムの2台の差がどのくらい詰まるかがポイントだったのでしょうが、「新品のミディアムも十分に速いじゃないか」と言われまして…。去年までは評判の良かったミディアムが、どうしてそういう風に言われてしまうのだろうという感じです(苦笑)。つまり、そういう風に言われるくらい、ソフトが良くなったということですね。なので、”ミディアムが使い物にならない”と言われてしまうのはキビシイです。ただ、どう(ミディアムを)使うのか、という点でのヒントは今回得られたかと思います。
次のSUGOはまた色々な点で”怖い”のですが、それはタイヤ的にではなく、レースとして怖い点が多いだけです。タイヤ的に不安な要素が多いのは、やはり鈴鹿。鈴鹿の次がオートポリスやSUGOが来るくらいでしょうか。SUGOはオートポリスよりは楽ですしね。気温は次第に上がってくるでしょうが、ミディアムとソフトの差が詰まってくるものの、逆転することはないと思います。ちなみに、今回の専有走行時のデータだとミディアムとソフトで2秒ほど差がありました。大きな差です。1秒くらいの差だと思っていたのですが、最大で3秒ほどありました。気温が低かったことがソフトに有利に働いたのでしょう。SUGOではそこまで差はつかないと思います。タイヤの持つ本当の力が出切っていないので、次こそ予選からちゃんと走れる状況になって欲しいですね。