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絞られるタイトル争い。生き残るのは誰だ 第6戦プレビュー
2019年9月24日
8月中旬に、灼熱のツインリンクもてぎで行われた第5戦から約1ヶ月半。長いインターバルを経て、いよいよ全日本スーパーフォーミュラ第6戦が岡山国際サーキットに舞台を移して行われる。シーズンも残り2戦ということで、そろそろチャンピオンシップの行方も気になり始めるのがこの大会。タイトル獲得候補者が、ここでかなり絞り込まれることとなる。現在、28ポイントでランキングトップにつけているのはニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)。キャシディは開幕戦で優勝しただけでなく、ここまで唯一全戦でポイントを獲得。夏場に入ってから、富士、もてぎでも3位表彰台を獲得し、今季も力強さを見せている。これに1ポイント差で続いているのは、ディフェンディング・チャンピオンの山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。序盤3戦は、菅生でのポール・トゥ・ウィンも含め、連続して表彰台に上がっていたが、夏場に入ってから2戦連続でノーポイントとなっている。
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Rnk.1 (28Pts.) ニック・キャシディ VANTELIN TEAM TOM’S
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Rnk.2 (27Pts.) 山本 尚貴 DOCOMO TEAM DANDELION RACING
この2人に続き、20ポイントで現在ランキング3位につけているのが、驚速ルーキーのアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)。毎戦のようにPP争いに加わるスピードを見せているだけでなく、第4戦・富士ではようやく初優勝し、一気にタイトル争いに名乗りを上げてきた。パロウと1ポイント差のシリーズ4位につけているのは、小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)。このところ、チームとともに常に上位を争っているが、最高位は2位。まずはタイトル以上に1勝が欲しいところかも知れない。いずれにしても、岡山を終えた時点で、彼らのポイントがどうなっているかというのが、今回最も気になる所だ。また今季は第2戦で関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、第5戦で平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)とインパル勢も2勝をマークしており、毎戦優勝者が違う大混戦。今回も新たな勝者が生まれる可能性は十分ある。一体、誰が最後に笑うのか。
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Rnk.3 (20Pts.) アレックス・パロウ TCS NAKAJIMA RACING
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Rnk.4 (19Pts.) 小林 可夢偉 carrozzeria Team KCMG
昨年の岡山大会は、関口の優勝で幕を閉じたが、決勝レースは雨。度重なるセーフティーカーピリオドがあり、そのリスタートでの関口と可夢偉のドッグファイトが非常に印象的な1戦だった。だが、レース距離がフルディスタンスの75%に達していなかったことから、各ドライバーに与えられた選手権ポイントもハーフ。その点、今年はまずフルポイントが各者に授与されるよう、あまりの荒天にはならないで欲しいところだ。今年の9月、西日本は例年よりも気温が高い状態が続くと予報が出されているが、一体どのような天候となるのか。早くも8月に始まった台風シーズンがまだ続いているだけに、そのあたりは予断を許さない。開催時期が昨年よりも3週間ほど遅い今年の大会だが、それも本番の天候に影響するはずだ。現在のところ、この週末の岡山は天候が崩れる方向で、雨交じりになることも予想される。だが、その場合も、どれぐらいの量が降るのか、途中止む時間帯があるのかどうか。チーム関係者もドライバーも、そのあたりは慎重な見極めが必要になってくるだろう。
そして、好天となっても、雨となっても、岡山で重要になってくるのは予選。全日本スーパーフォーミュラ選手権が行われるサーキットの中でも、岡山国際サーキットはコンパクトなコース。全長が3.703kmと短く、コース幅も広くない。決勝レース中のオーバーテイクが容易とは言えないだけに、グリッドポジションが結果を大きく左右する。そのグリッドを決めるノックアウト予選は、毎年Q1のトラフィック・マネージメントがキモとなっていた。20台が一斉に走るため、どうしても渋滞が発生してしまっていたのだ。そこで今回の予選は、第3戦・菅生と同じく、Q1を2グループに分けて行うことが決定。10台ずつの走行ということになる。ただし、通常20分間行われているQ1の時間は半分になり、まさにドライバーにとっては一発勝負だ。20分間あれば、セッション前半と後半で、セットアップの微調整やタイヤの内圧調整など、変えることができる部分もある。ドライバーも1回目のアタックから、ドライビングをさらに合わせ込むことが可能だ。だが、今回はそれができない。まさに全てが一度に揃わなければ、Q1突破は難しくなる。ちなみに、同じ予選方式が採られた菅生では、多くのトヨタエンジンユーザーがQ1で敗退。Q3に残ったのは可夢偉だけと、ホンダエンジン勢が圧倒的なパフォーマンスを見せた。例年、岡山のレースでは予選・決勝ともにトヨタ勢が強さを発揮するのだが、今回の岡山では予選方式が変わったことで、また違った結果になるのか。”ホンダの予選一発は速い”とも言われているだけに、これまで岡山を不得意としてきたホンダユーザーのドライバーたちの奮闘に期待だ。中でも、予選で注目なのは、パロウ。富士、もてぎと、ここ2戦パロウは連続でPPを獲得している。彼にとって、岡山は全日本F3のデビュー戦でいきなりWポールを獲得した相性のいいサーキット。今回もPP争いに加わってくるはずだ。また、ベテラン勢では石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)の走りに注目。今季、ここまでは本来の速さ、強さを見せ切れていない石浦だが、岡山は初優勝した思い出のサーキットであり、ほぼ毎年のように好成績を挙げている。前戦・もてぎあたりから上り調子なだけに、そろそろ結果が欲しい所だろう。もちろん、ランキング上位につけているキャシディや山本、可夢偉らの走りにも注目。初めて岡山を走るSF19のスピードがどれほどのものか、まずは予選でのフルアタックの迫力を感じていただきたい。ドライコンディションになった場合は、コースレコード更新も期待される。
決勝レースでは、まずスタートで誰が前に出るか。そこが最大の見所。雨であればタイヤ交換義務はない分、ドライバー同士がコース上で勝負することとなり、昨年のようにオーバーテイクシーンの数々が見られるかも知れない。また、ドライのレースであれば、スタート時のタイヤチョイスや各チームの戦略が分かれるのは必至。今季、ここまでのレースでは、オープニングラップですぐにピットに入り、そこから巻き返しを図るドライバーが数多くみられた。グリッドが後方でも、この作戦を使えばタイムロスが最も小さくなるためだ。だが、今回はトップの車両が10周回を終了してからでなければ他の車両もピットに入れないという制約がある。また、岡山でキーポイントとなるのは、セーフティーカー。エスケープゾーンが狭い岡山の場合、1台コースアウト車両があれば、セーフティーカーが導入される可能性が高い。その場合、セーフティーカー導入前にピットに入っていたかどうかが明暗を分けることも。だが、もしセーフティーカー導入がなければ、セオリー通りの作戦が正解となる場合もある。それだけ難しい選択を各者が強いられる。いずれにせよ、様々な条件の中で誰が最適の作戦を採るのか。そのあたりを頭に入れつつ、見守っていただきたい。