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第6戦予選はニック・キャシディが今季初ポール獲得
2020年12月6日
土曜日に引き続き、冬晴れの好天に恵まれた12月6日(日)の三重県鈴鹿サーキット。午前9時15分からは、全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦のノックアウト予選が行われた。この予選で、前日に山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がマークしたコースレコードをさらに更新し、今季初のPPを獲得したのはディフェンディング・チャンピオンのニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)。2番手にはルーキーの大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)がつけ、初のフロントロウを獲得した。3番手に入ってきたのは、昨日のレースでクラッシュに見舞われた笹原右京(TEAM MUGEN)。笹原はエンジン交換をしているため、10グリッドの降格が決まっているものの、予選のタイムアタックでは気を吐いて見せた。昨日、ポール・トゥ・ウィンを果たしている山本は、4番手に終わり、予選でのポイント獲得はならなかった。
前日に引き続き、朝から晴れ間が広がった鈴鹿サーキット。第5戦では、クラッシュ車両が多発し、多くのチームが深夜あるいは徹夜で修復作業に追われたが、その甲斐あって、全車が無事走行可能な状態となり、予選の時を迎えた。ノックアウト予選が始まったのは、午前9時15分。昨日は最終コーナー方向から1コーナー方向にかなり強い風が吹いていたが、今日はほぼ無風。ただし、気温13℃、路面温度15℃と、前日よりは若干冷え込んでいた。10分間で争われるQ1のAグループでは、セッション開始と同時に、中嶋一貴(VANTELN TEAM TOM’S)、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)、坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、大嶋和也(ROOKIE Racing)、国本雄資(carrozzeria Team KCMG)、シャルル・ミレッシ(Buzz Racing with B-Max)が最初からニュータイヤを装着してコースイン。最初のタイムアタックに向かう。アウトラップを終えて、最初にアタックに入った一貴は1分35秒990をマーク。フェネストラズがそれを上回る1分35秒983、坪井がさらにタイムを伸ばし、1分35秒946と、まずは35秒台に入ってきた。昨日の予選に出走できなかった平川は、ここでは余りタイムを伸ばせず1分36秒116となっている。これらのドライバーたちは、最初のアタックを終えると、ピットに戻り、2セット目のニュータイヤを装着した。その後、セッションの残り時間が3分40秒を切ると、Q1でのアタックを1回に止める作戦を取っていた野尻智紀(TEAM MUGEN)、牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)らも動き始める。2セット目を装着したドライバーたちも、ほぼ同時にコースに入った。
ここでまずアタックに入ったのは、ミレッシ。ピットアウト後にアウトラップの野尻をかわしていったミレッシは、ここで1分35秒844と、前半の坪井のタイムを更新してきた。一方、それに続いてアタックしていた野尻と牧野は、各セクターでタイムが伸びてこない。コントロールラインを切った時には、野尻が1分36秒172、牧野が1分36秒148といずれも35秒台に入れることができなかった。一方、2セット投入したドライバーたちの中では、フェネストラズが1分35秒560までタイムアップし、トップに躍り出る。結局、誰もこのタイムを破れず、フェネストラズはQ1をトップで通過。2セット目でタイムを伸ばした平川、国本、坪井、福住、ミレッシと続き、一貴が7番手。前日Q3に進出を果たしている牧野と野尻、そして大嶋がQ1で敗退することとなった。
10分間のインターバルを経て、同じく10分間で争われるBグループのQ1が始まったのは、午前9時35分。このセッションでは、開始と同時に、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、笹原、石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、松下信治(Buzz Racing with B-Max)、タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)、小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、山下健太(KONDO RACING)がコースイン。可夢偉はマシンの状態を確認するとピットに戻ったが、他のドライバーたちは最初のアタックに向かった。これに対して、キャシディ、山本、大湯はピットで待機。1セットでQ1を戦う作戦だ。
そして、2セット組がちょうど最初のアタックに入っている間に、1セット組の中でキャシディが動く。セッションの残り時間が7分を切ったところでキャシディはコースインしていった。
2セット組では、まず関口が1分35秒908をマーク。笹原が1分35秒978、石浦が1分35秒928と35秒だいに突入してくる。そのアタックを終えると、彼らは一旦ピットに戻った。この頃、フルプッシュに入ったキャシディは、各セクターでそれまでの全体ベストタイムを更新。1分35秒598というタイムをマークしてくる。
それとほぼ同じ頃になると、山本や可夢偉らを始め、他のドライバーたちもニュータイヤでコースイン。残り3分を切って大湯、残り2分余りとなったところで松下が最後にコースへと入った。
ここでチェッカー目前に、1分35秒296とトップタイムを書き換えてきたのは山本。しかし、大湯が各セクターで全体ベストを更新。コントロールラインを切った時には、1分34秒924と、唯一34秒台に突入し、トップタイムを書き換える。その他のドライバーは大湯、山本のタイムには及ばず。笹原が3番手、可夢偉が4番手。さらに、関口、石浦もキャシディのタイムを上回り、5番手、6番手に滑り込む。キャシディはギリギリ7番手でQ1を通過。これに対して、松下、山下、カルデロンはQ1敗退となった。
そこから10分間のインターバルを経て、14台から8台に絞り込まれるQ2が始まったのは、午前9時55分。このセッションも同じく10分間で争われたが、開始と同時に、福住、キャシディ、関口、笹原、石浦、フェネストラズ、坪井、ミレッシがコースイン。この中で、キャシディとミレッシは最初からニュータイヤを装着していた。Q2でニュータイヤを2セット使う作戦だ。他のドライバーがマシンの状態を確認してピットに戻る中、キャシディはアウトラップを終えるとフルアタックに入る。このキャシディのアタック中、山本と平川もニュータイヤを装着してコースイン。こちらはQ2でのアタックを1セットで止める作戦を取っていた。
各セクターで全体ベストをマークしたキャシディは、ここで1分35秒152と、Q1での自己ベストをコンマ4秒ほど更新してくる。また、続いてアタックしていたミレッシは1分35秒832をマーク。しかし、山本が1分35秒087をマークして、一旦はキャシディを上回ってきた。一方、山本に続いてアタックしていた平川は、各セクターでのタイムが伸びず、1分36秒039。35秒台にに入れることができない。その後、セッションの残り時間が3分となったあたりで、多くのドライバーがコースイン。最後のアタックに向かう。このアタックで、さらに自己ベストを大きく更新してきたのは、キャシディ。キャシディは1分34秒763を叩き出し、トップに立った。これに続いたのは、1分34秒925をマークした大湯。ミレッシも1分35秒013をマークし3番手に浮上してくる。そこから100分台のタイム差で可夢偉が4番手、福住が5番手、山本が6番手、笹原が7番手、一貴が8番手に入り、Q2突破を果たした。ミレッシ、笹原は初のQ3進出となっている。逆にQ2で敗退したのは、国本、関口、坪井、フェネストラズ、石浦、平川。全員がトヨタエンジンユーザーだった。
そして、いよいよPPを決定づける10分間のQ3が始まったのは、午前10時15分。このセッションでは、開始と同時に山本、福住、大湯がニュータイヤでコースイン。彼らはこのQ3でニュータイヤを2セット投入する作戦を採った。また笹原がユーズドタイヤでマシンの確認を行うためにコースイン。ミレッシも開始から1分というところで、ユーズドタイヤを装着してコースに入った。
アウトラップを終えてアタックに入ったのは、福住と山本、大湯の順。アウトラップで山本をかわして、最初にコントロールラインを切った福住のタイムは1分34秒981。山本が1分34秒952でわずかに上回ってくる。そして、この2人を上回ってきたのが大湯。大湯は特にセクター2でタイムを稼ぎ、1分34秒755と、Q2でのキャシディのトップタイムをこの時点で書き換えた。その頃、動きを見せたのがキャシディ。キャシディは2セット組がアタックを終え、残り時間が6分を切ったところで残る1セットのニュータイヤを装着してコースイン。アウトラップの後半セクターでは、クールダウンラップに入っている山本が前に現れる形となったが、それを物ともせずアタックに入った。各セクターで非常にスムースな走りを見せたキャシディは、全セクターで全体ベストをマーク。コントロールラインを切った時には、1分34秒442と、前日に山本がマークしたばかりの新しいコースレコードを破ってきた。これが他のドライバーたちにとっては、最後のタイムアタックに向けてのベンチマークとなる。そして、残り時間が3分を切ると各ドライバーがニュータイヤを装着して最後のアタックへ。しかし、誰もキャシディのタイムには届かなかった。その中でQ2の自己ベストをコンマ3秒ほど更新してホンダ勢最上位の2番手につけたのは大湯。3番手には笹原が滑り込む。逆に、山本は昨日自らがマークしたコースレコードにコンマ3秒ほど届かず4番手。以下、福住、可夢偉、一貴、ミレッシと続いた。
キャシディにとっては一昨年の富士以来、久々のPP獲得。昨日のレースでも11番手から手堅いレースで5位フィニッシュを飾っているが、PPからスタートする今日のレースでは、一体どんな走りを見せるのか。また初のフロントロウを獲得した大湯は、いよいよ決勝レースで結果を出すのか。見逃せない展開となりそうだ。
第6戦予選 P.P ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)