エンジニアたちの作戦計画
第1戦 富士スピードウェイ
NTT Communications ROOKIE
14松田 久
ドライバー:大嶋 和也
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今季の担当車両・ドライバーとコンビを組むのはいつからですか? ご自身の移籍、担当ドライバー変更などがあれば、それも書き添えてください。
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大嶋和也選手とは、スーパーフォーミュラのドライバーとそのトラック・エンジニアという関係では初めてのコンビですが、以前から様々なカテゴリーでいっしょに戦ってきた「戦友」ですので、コミュニケーションは非常に良好です。
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簡単に(でなくてもいいのですが)自己紹介をお願いします。またモータースポーツ・エンジニアとしての経験・経歴についても語っていただければと思います。
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ヨーロッパや国内での様々な車両開発を経て、スーパーGTやスーパーフォーミュラのデータ・エンジニアをやってきました。そして昨年、今年とルーキーレーシングにて、スーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久と、様々なカテゴリーに挑戦させていただいています。
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モータースポーツの仕事に就かれる前の経歴、他の職種からの転職など、お教えください。
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父親の影響で、ものごころついた時からモータースポーツに触れてきました。日本と比べてヨーロッパではモータースポーツが文化として深く根付いていて、職業の面でも多くのチャンスがあります。この世界で生きてゆきたいのなら、大学や専門学校で学び、海外でも国内でもチームに飛び込んで修業するのも、近道かと思います。
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開幕前2度のテストでは、今シーズンに向けてどんな狙いでプログラムを消化しましたか?「このくらいなら書いてもいいかな」というところで、大きな流れだけでも良いので教えてください。「全部、内緒」でもかまいませんけれど…
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チームとしても新しいメンバーでの挑戦ですので、着実なクルマづくりをやってきました。クルマ作りに“マジック”はありません。タイヤ・マネージメントとセットアップをデータと理論に基づいて丁寧に確認すること、ピットストップでのメカニックの動作分析など、確実な準備を行っています。
注)タイヤ・マネージメント: レースを戦う中でタイヤのグリップをどれだけ引き出すか、それをどう持続させて、どれだけ長く走れるようにするか、という意味で使われる表現。 -
開幕前のテストを通して、ドライバーのマシンとのコミュニケーション、手足のように操る一体感は深まった様子でしたか? そのポイントはどのあたりでしょうか?
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テスト結果には満足しています。ドライバーのマシンへの信頼度も高まってきています。ポイントは、タイヤ特性とセットアップによるクルマの挙動の理解で、頭で理解して身体で感じることでイメージとクルマを結びつけることだと思います。
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SF19のセットアップを仕立て、仕上げる中でご自身として「ここが肝心」と考えているポイントはどのあたりでしょうか? もちろん複数あると思いますが、重視する度合いで言えば、どんな順番、あるいは流れになるでしょうか?
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タイヤをいかに効率良く使えるかということが大事です。どのチームも同じと思いますが、ライドハイトやサスペンション・セッティングが肝心です。その点では、データ解析などの“ツール”をいかに使いこなすかも含めて、チーム力を鍛えることも大切ですね。
注)ライドハイト: 走行状態での「車高」。車体底面を若干後上がりの姿勢(レーキ)に設定し、路面との間を抜ける空気を後方に“引き抜く”ことで圧力を低下させるのが今日の純競技車両のパフォーマンスを生み出している。これで車体にダウンフォースが加わるのだが、そうするとサスペンションのばねがたわんで車体・底面が路面に近づく。コーナーを抜ける中でその時の速度とダウンフォース量に応じて底面と路面との距離を何mmに設定するか、が本当の意味で重要な「ライドハイト」であり、それを想定して静止時に「車高」を設定するのである -
今年の目標を教えてください。
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もちろんチャンピオンをめざして戦いますが、大事なことは一戦一戦にテーマを持って臨み、シーズンを通してクルマと人が成長することだと思います。早い段階でポディウムのテッペンに立つことが、当面の目標です。
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最後に新しいシーズンに向けてSFを愛するファンの皆様に一言。
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スーパーフォーミュラは日本が世界に誇るすばらしいカテゴリーです。より多くの方に興味を持っていただけるよう、そしてファンの皆様に感動をお届けできるよう、モータースポーツの未来のためにチーム一丸でがんばります。ご声援をよろしくお願いします!