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改修なったSUGOを制するのは誰だ 第4戦プレビュー

2021年6月14日

2020年SUGO大会のスタートシーン

梅雨入り直後の荒天に見舞われ、最終的には赤旗終了となってしまった5月中旬の第3戦オートポリス。代役参戦のジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)が劇的なポール・トゥ・ウィンを飾ったそのレースから約1ヶ月が経ち、いよいよ今週末、全日本スーパーフォーミュラ選手権は、シリーズ折り返しとなる第4戦を迎える。今年は夏の間、オリンピック開催に伴う2ヶ月近いインターバルが設けられているが、今回はその”夏休み”前最後のレースでもある。舞台となるのは、宮城県スポーツランドSUGO。”魔物が棲む”とも称されるが、これまで数々の名勝負を生み出してきたチャレンジングなコースだ。特に、外国人ドライバーたちからは”度胸を試される”として人気が高いコースでもある。それを示すように、昨年、デビュー戦となるセルジオ・セッテ・カマラがいきなりPPを獲得したのも記憶に新しい出来事。そういう意味では、今回も中嶋一貴に代わり出場を果たすアレジがどんな走りを見せるのか、非常に気になるところだ。

中嶋一貴(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、小林可夢偉(KCMG)やタチアナ・カルデロン(ThreeBond DragoCORSE)など、複数のレギュラードライバーがWEC出場の影響で残念ながら欠場。代役ドライバーたちが奮闘することになる。可夢偉の代役は小高一斗(KCMG)、カルデロンの代役はオートポリスに続いて塚越広大(ThreeBond DragoCORSE)が務める。さらに、今回はWEC第2戦・ポルティマオ後のテストに参加するため、平川亮(carenex TEAM IMPUL)が渡欧。帰国後の自己隔離期間が不足するということで、欠場することとなった。その代役として白羽の矢が立ったのは、2017年の全日本F3チャンピオンを獲得している高星明誠(carenex TEAM IMPUL)。昨年の第2戦岡山で、Buzz Racing with B-Max(当時)からスポット参戦という形でデビューしたが、今回はそれに続き2回目の出場となる。テストなしのぶっつけ本番だが、高星としては見せ場を作りたい所だ。また、依然としてサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)は入国が叶わず、中山雄一がそのまま代役出場することも決まっている。

  • 第3戦を制したジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)

  • 高星明誠(carenex TEAM IMPUL)

そして、菅生のコースにも、今年は少し変更点がある。シーズンオフの間に西ピット棟が改修され、ガレージの間口自体が大きくなったこともそのひとつだが、ピットロードのコース幅が広げられ、ピット出口の本コース合流位置も3コーナー入り口まで延長された。さらに、コースアウト車両が比較的多い3コーナーアウト側もグラベルからアスファルト舗装に変更となっている。コースレイアウト自体に変更はないが、こうした変化がレース自体にも多少の影響を及ぼすはずだ。中でも各チームにとって最も大きいのは、やはりピットロード幅の拡大。これにより、作業エリアの幅(進行方向の左右)が昨年の5メートルから7メートルへと広がり、スペースに余裕が出ることになった。これまで菅生では、セーフティーカーが導入された際、多くのクルマが一斉にピットになだれ込み、大混乱となることもあった。前後や左右のスペースが足りない関係から、斜め止めしなければならないクルマ、一旦後ろに押し戻してからピットアウトさせなければならないクルマなどが出てきて、順位が変動するというパターンも。その点、SFLとのピットの並びの関係もあるが、今回からは各チームがそうした混乱に陥る可能性は低くなるだろう。また、ドライバーにとって大きく影響するのは、ピット出口の本線合流。ミラーで見える範囲が限られていることもあり、これまでよりは注意が必要かも知れない。また、本線合流までの距離が若干ながら伸びたため、チームにとっても、ドライバーたちを予選でコースインさせるタイミング、タイヤ交換のタイミングに微妙な違いが出てくるかも知れない。

  • 拡幅されたピットロード(©SUGO)

  • ピットロードからコースへの合流地点(第3コーナー)(©SUGO)

その菅生のレースで、まず最初の見所となるのは、やはり予選。今回もQ1からQ3までのノックアウト方式で行われる予選だが、Q1はランキングによって2組に振り分けられる。そのため、それほどトラフィックは発生しないものと思われるが、問題はQ2。全長が短い菅生のコースで14台が一斉に走行するとなると、間合いを取るのが非常に難しい。自分のペースでタイヤを温めたいと、どのドライバーも考えるだけに、いいスペースを探すのは大変。しかも、各車のタイム差が小さいため、ほんのちょっとしたことが結果を左右する。このQ2で誰が生き残ってくるのかは、ひとつの注目ポイントだ。そして、オーバーテイクが簡単ではないコースということもあり、やはりQ3はテンションが最も上がる。開幕戦は野尻智紀(TEAM MUGEN)、第2戦は福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、そして第3戦はアレジと、ここまでポールシッターは毎回違っているが、菅生ではまた別のドライバーが獲得するのかどうか。そのあたりも気になるポイントだ。

決勝レースは53周で争われるが、まずはスタートで誰がトップを奪うのかに注目。その後は、ドライコンディションの場合、タイヤ交換が義務付けられる。先頭車両が10周回目の第1セーフティカーラインに到達した時点からピットウィンドウが開くが、どのタイミングで各車がタイヤ交換をするかももちろん重要なチェックポイントだ。ウィンドウが開いた後、すぐにピットインする車両、できるだけ引っ張ってからピットインする車両。あるいはセーフティーカー導入による一斉タイヤ交換など、様々な場面が考えられるが、これも勝敗を分ける一要因だ。その結果、最後に笑うのは誰なのか。また新たなウィナーが誕生する可能性ももちろん充分だ。一方、ランキング2位の平川が欠場するため、初タイトルを視野に入れる野尻にとって、今回ある意味大きなチャンスでもある。ルーキーイヤーに自身が初優勝を果たした思い出の地・菅生で野尻はどんなレースを展開するのか。その野尻に対して、現在ランキング3位につける大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)やアレジ、宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)といった活きのいいルーキーや若手がどんな走りをするのか。圧倒的な速さを見せながら、ここまで勝利を挙げることができていない福住の逆襲はあるのか。その他にも菅生に強い、関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)や山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)も実力通りの戦いをすれば十分勝機はある。今年はオーバーテイクシステムをトータル200秒使えるため、バトルも随所に勃発するはずで、とにかく最初から最後まで目が離せない展開となるのは間違いないだろう。

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