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関口雄飛 復活の狼煙! 3年ぶりポールポジション獲得
2021年6月19日
朝のフリー走行後、午前11時になってから、梅雨入りが発表された6月19日(土)の東北地方。宮城県・スポーツランド菅生では、降り続く雨の中、午後2時10分からノックアウト予選が行われた。今回は、Q1だけでなく、Q2も2組で争われることが朝の段階で決定。そのQ2では途中赤旗も出る波乱の展開となった。また、セッションを通じて雨が強弱を繰り返す中、Q3で圧巻の走りを見せてPPを獲得したのは関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)。牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)がそれに続いた。
気温19℃、路面温度20℃というコンディションのもと、AグループのQ1が始まったのは、午後2時10分。ピット出口がオープンされると、宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、今回、平川亮の代役を務めている高星明誠(carenex TEAM IMPUL)、山下健太(KONDO RACING)、大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)、開幕から小林可夢偉の代役を務めている小高一斗(KCMG)、大嶋和也(NTT Communications ROOKIE)という順でコースイン。そこから少し待って、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)が最後にコースに入った。
そこから各ドライバーはタイヤを温めていき、残り時間が2分を切ったあたりからフルアタック。まずは牧野が残り時間50秒というところで1分19秒306をマークしてトップに立つ。その他のドライバーは、牧野がタイムを出した後、最後のアタックに入ったが、最後まで牧野のタイムを破ったドライバーはいない。その結果、牧野はQ1トップ通過を果たしている。その牧野に続いたのは、阪口。チェッカーと同時に宮田が1分20秒251で一時2番手につけたが、続いてアタックしていた阪口が1分19秒835を叩き出し、宮田を上回った。また、大津が1分20秒533をマークして4番手に浮上してくる。その後、最後の最後に山本が1分20秒931をマークし、5番手でQ2進出を決めた。以下、小高、山下までがQ1を突破。一方、高星と大嶋はここで敗退することとなった。
10分間のインターバルを経て、BグループのQ1が始まったのは、午後2時30分。こちらもセッションが始まると間も無く、中嶋一貴の代役を務めるジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)、大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、サッシャ・フェネストラズの代役を務める中山雄一(KONDO RACING)、野尻智紀(TEAM MUGEN)、国本雄資(KCMG)、松下信治(B-Max Racing Team)、タチアナ・カルデロンの代役を務める塚越広大(ThreeBond Drago CORSE)といった順でコースイン。やはりタイヤを温めると、計測4周目あたりからフルプッシュに入る。その中で、激しいタイムアタック合戦となったのは、福住、松下、坪井の3人。その中で、まずは坪井が1分19秒758と19秒台に入ってくる。続いて、福住が1分19秒623と坪井を上回るタイムをマーク。さらに、松下が1分19秒623をマークし、トップに立つ。ここから各ドライバーは最終アタックに入った。ここで坪井は、自己ベストにわずかに届かず1分19秒867。対する福住は1分19秒504とトップタイムを書き換えた。松下も、最終ラップは自己ベスト更新ならず。結果、福住がQ1をトップ通過。松下が2番手、坪井が3番手。以下、関口、野尻、アレジ、大湯と続いた。一方、ここで敗退となってしまったのは、塚越、国本、中山の3人だった。
10分間のインターバルを経て、AグループのQ2が始まったのは、午後2時50分。通常であれば、14台が一斉に走るQ2だが、今回はそのままAグループのQ1通過ドライバー、BグループのQ1通過ドライバーとそれぞれ7台ずつが走行することが決まった。
さて、この頃になると、雨脚は弱まり、空も少し明るくなってくる。しかし、セッションが始まると同時に、再び雨が落ちてくるという難しいコンディションになってきた。7分間とセッションの時間もQ1より3分短いため、いかに早くタイヤを温め、アタックするかというのもポイントのひとつだった。
ピット出口がオープンされると、ここでも宮田を先頭に、阪口、牧野、山本、山下、大津、小高がすぐにコースイン。計測2周目には、各車1分21秒台に入ってくる。そして、残り時間が1分05秒ほどとなったところで、まずは先頭を行く宮田が1分19秒606と、19秒台に突入。宮田はそのままアタックを続け、チェッカーと同時に1分19秒143を叩き出し、一瞬トップに立った。しかし、続いてアタックしていた阪口が、これを上回る1分19秒046を叩き出し、トップに立つ。牧野が1分19秒732をマークし、この2人に続いた。さらに、最後の最後に1分20秒488をマークして、4番手に滑り込んだのが大津。これに対して、山下、小高、山本は1分21秒台のタイムに留まり、Q2敗退となってしまった。Q3に進出した4人のうち3人はルーキーという結果になっている。
そこからさらに10分間のインターバルを経て、BグループのQ2が始まったのは午後3時07分。このセッション開始時には、かなり雨脚が強く、ヘビーレインに近いコンディションとなる。そんな中、ピットロード出口がオープンされると、アレジ、坪井、福住、関口、大湯、野尻、松下の順でコースイン。アレジがウォームアップ中にS字の立ち上がりでスピンを喫したため、坪井が先頭に立った。その坪井だけは計測2周目に1分21秒210をマークするなど、好調ぶりを見せる。坪井は、残り時間が1分となったところでさらにタイムを伸ばし、1分20秒100を叩き出すとトップに立った。続いてアタックしていたアレジは1分21秒079、さらに福住が1分20秒597をマーク。ところが、ここでセッションは赤旗によって中断されることとなった。これはトップタイムを出した直後の1コーナー立ち上がりで、坪井が左リヤタイヤを縁石に引っ掛けてスピン、エンジンストップしてしまったため。また、これと同時に松下が馬の背コーナーでスピンし、グラベルストップしてしまったためだ。この2台は赤旗の原因を作ったということで、タイム抹消となっている。また、赤旗直後に1分21秒120と、4番手に該当するタイムでコントロールラインを切っていた関口も、このベストタイムが抹消となった。
坪井と松下の車両回収が終わり、残り時間3分ということでセッションが再開されたのは、午後3時27分。再開されると、アレジ、関口、大湯、福住、野尻の順で5台がコースに入る。ウォームアップはわずかに1周。ここから各車は最後のアタックに向かった。その中で驚きのタイムを刻んだのは、関口。関口はこのアタックで1分20秒791を叩き出すと、福住に続く2番手に浮上してくる。同様にアタックしていた福住は1分20秒933と、ここでの自己ベスト更新はならず。3番手のアレジも自己ベスト更新はできなかった。一方、赤旗前にまだアタックしていなかった大湯と野尻は、Q3進出をかけて猛プッシュ。先にコントロールラインを切った大湯は1分21秒389で、4番手に滑り込む。最後にチェッカーを受けた野尻は、大湯に対してわずかに約100分の2秒ほど届かず1分21秒408の5番手。残念ながら、ここで敗退となっている。
そして、いよいよPPを決定づける7分間のQ3が始まったのは、予定より5分遅れの午後3時45分。この時点ではまた雨脚が弱まっていたが、宮田、アレジ、阪口、福住、関口、大津、そして大湯、牧野という順で各車がコースに入ると、再び雨が強まるというコンディションとなった。間合いを図るために、最後にコースインすることを狙っていたのは牧野と大湯。しかし、牧野が動き出そうとした時、同様に待っていた大湯が先に動き出してファストレーンを走ってきており、あわや2台が接触寸前となったが、ここは事なきを得て、大湯が先にコースに入った。また、アウトラップでは、関口が福住をオーバーテイクし、スペースを確保する場面も見られた。
さて、ここでも各ドライバーは計測2周目からプッシュ。まず宮田が1分21秒723、アレジが1分21秒966をマーク。それを上回ってきたのは、関口。関口は計測2周目に早くも1分20秒248を叩き出す。これに続いてアタックしていた福住も1分20秒827と20秒台に入ってきた。さらに計測3周目に入ると、宮田が1分19秒799と19秒台に突入。アレジは1分20秒899に留まったが、阪口が1分20秒215をマークしてくる。さらに、ここで宮田のタイムをコンマ5秒以上上回ってきたのが関口。関口は1分19秒231までタイムを伸ばした。福住は1分19秒828と思うようにタイムを伸ばせず。しかし、最後にアタックしていた牧野は、チェッカー目前に1分19秒274を叩き出し、関口に続く2番手に浮上してくる。そして、最後の周も各ドライバーは猛プッシュ。ここで阪口が1分19秒445と自己ベストを更新し、3番手に滑り込んできた。だが、誰も関口のタイムを破ることはできず、関口が2018年第6戦・岡山以来、約3年ぶりとなるPPを獲得した。昨年から苦しいレースが続いていた関口は、インラップですでに感極まっていたというが、コクピットを降りると目を潤ませる。そこにこれまでの苦しさが滲んでいた。この関口に続き、フロントロウを獲得したのは復帰2戦目の牧野、その牧野と子供時代から大の仲良しだった阪口が3番手。以下、宮田、福住、アレジ、大湯、大津と続いている。
過去2016年、2017年と菅生で2年連続優勝を果たしている関口は、明日どんなレースを見せるのか。今日は梅雨空となった菅生だが、明日は夏のような晴れになるという予報が出ている。その中で、今季特にスタートの成功率が高い関口は、そのまま逃げ切るのか。あるいは若手が逆転を見せるのか。いずれにしても、迫力のあるレースとなるのは間違いないだろう。