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第2回CN開発テスト インサイドレポート
2022年4月27日
雨の中で行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦から一夜明けたの三重県鈴鹿サーキット。初夏のような青空が広がり、汗ばむ陽気となったこの日も、朝からサーキットにはスーパーフォーミュラのエンジン音が轟いた。
4月25日(月)〜26日(火)の2日間、「SUPER FORMULA NEXT50」プロジェクトの柱の一つ「カーボンニュートラルの実現に向けた素材・タイヤ・燃料の実験」、「ドライバーの力が最大限引き出せるエアロダイナミクスの改善」を目的とした開発テストが行われるためだ。
初日となった25日、最初のセッションは午前8時半から午前10時。朝から強い陽射しが照りつけたため、開始時点で気温は22℃、路面温度は27℃まで上昇している。晴れやかな天候の中、今回も永井洋治テクニカルディレクターや土屋武士アンバサダー、ドライバーの石浦宏明&塚越広大、そしてTRDやHRC、横浜ゴムと多くのエンジニアが期待に胸を膨らませながらテストに臨んだ。持ち回りとなる車両のメインテナンスは、ホンダエンジン搭載のホワイトタイガーSF19 CNを今回はDOCOMO TEAM DANDELION RACINGが担当。トヨタエンジン搭載のレッドタイガーSF19 CNは、今回チームではなくTCDが担当した。
セッション序盤は昨日の雨がまだ乾ききっておらず、路面はダンプコンディション。塚越がステアリングを握るホワイトタイガーSF19 CN、石浦がステアリングを握るレッドタイガーSF19 CNともに、最初はコントロールのレインタイヤを装着してコースへと向かった。その両車の外観には前回とは大きく異なった部分が。スイス・B Comp社のバイオコンポジット素材を使用したサイドポンツーンとエンジンカウルが装着されていた。今回は、これもテスト項目のひとつとなる。
そして、ようやく路面が乾き、両車がコントロールのスリックタイヤで走行を開始したのは、午前8時45分頃から。このセッションでは、前回の富士テストの初日と同様、リヤウィングの角度を変えながらのダウンフォースのテストが行われた。走り始めは、鈴鹿で通常使用されている仰角31度。そこから、マイナス10%して富士で通常使用されている21度、最後にはさらにマイナス15%となる17度まで寝かせてデータ採りを行った。また、セッション開始から30分となる午前9時には31度で、さらに開始から1時間となる午前9時半には21度で、それぞれ追走のテストを実施。塚越と石浦がポジションを入れ替えながら、それぞれ全周に渡って追走をしている。このセッションでは、塚越のホワイトタイガーSF19 CNが18周を消化し、ベストタイムは1分39秒420。石浦のレッドタイガーSF19 CNは20周を消化し、ベストタイムは1分41秒214となっている。
そこから6時間余りのインターバルを経て、2回目のセッションが始まったのは、午後4時15分。終日爽やかな晴れとなった鈴鹿は、この時間帯になって、ストレートに涼しい向かい風が軽く吹くようになった。セッション開始時の気温は23℃、路面温度は34℃というコンディション。コースがオープンされると、まずはサイドウォールに赤い帯が入ったコントロールタイヤを装着し、ホワイトタイガーSF19 CN、レッドタイガーSF19 CNが確認のためにピットを後にする。2日目の天気が雨という予報になっていたため、このセッションでは予定を前倒しして、前回富士テストとは違うカーボンニュートラル・フューエルのテストを行った。セッション序盤は、その合わせ込みに多少時間を要したが、その後は順調に推移。セッション半ばからは、グリーンの帯が入ったカーボンニュートラル素材使用のタイヤテストも敢行した。塚越が乗るホワイトタイガーSF19 CNでは、前回持ち込まれたものと同じ4種類の中から2種類のコンパウンドをテスト。うち1種類は、セッション終盤にロングランを行なっている。一方、石浦が乗るレッドタイガーSF19 CNでは、塚越と同じ2種類のコンパウンドを試しただけでなく、前回富士に持ち込まれたものの中から構造の違う1種類もテストしている。
この2回目のセッションでは、塚越が29周を消化して、ベストタイムは1分38秒224をマーク。石浦は23周を消化して、ベストタイムは1分41秒205となっている。
明けて26日(火)の鈴鹿は曇りの朝を迎えた。この日の朝の予報では、雨が降り始めるのは夕方になってから。ただし、湿度が高く、蒸し暑い天候となり、午前8時半のセッション開始時の気温は20℃、路面温度は21℃。ほとんど無風というコンディションとなる。ただし、コースは完全にドライのままということで、永井テクニカルディレクターはテストメニューを変更。この日午前のセッションでは、前日午後に引き続きカーボンニュートラル燃料をテストしたほか、タイヤのロングランテストを行った。セッションが始まると、2台ともに最初はコントロールタイヤでマシンの状況を確認。その後、塚越は、前日午後のセッション終盤にロングランしたものとは別の、もう1種類のコンパウンドでロングランに入る。そのロングランが終わると、前日午後の続きとして、初日にロングランしていたもの装着し、さらに周回を重ねた。一方の石浦は、初日の午後にテストした構造違いのタイヤでロングラン。午前10時にチェッカーが提示された段階で、塚越が36周を消化、石浦が35周を消化と、1レース以上の距離を走った。ベストタイムは石浦が1分42秒253、塚越が1分42秒392となっている。
この日も、6時間余りのインターバルを経て、最後のセッションが始まったのは午後4時15分。昼過ぎには薄日が差すなど、全く雨の気配は近づいて来ず、結局ドライコンディションのもとで始まった。セッション開始時の気温は22℃、路面温度は24℃。コースがオープンされると間もなく、石浦と塚越は赤い帯のコントロールタイヤを装着してピットを後にしている。このセッションでは、カーボンニュートラル燃料から、ガソリンにスイッチ。メインメニューはタイヤのロングランとなった。塚越は、午前中までコンパウンドのテストをしていたが、このセッションでは構造違いのロングランテスト。石浦はコントロールタイヤと、グリーンの帯が入ったカーボンニュートラル素材使用のタイヤのうちから1種類のコンパウンド、両方のタイヤでロングランを行う比較テストを敢行した。このセッションでは、午前中に続き、塚越が39周、石浦が38周と、ともに1レース以上の距離を消化。石浦のベストタイムが1分41秒010、塚越のベストタイムが1分41秒229となっている。
1日あたり3時間と、前回の富士テストに比べれば若干走行時間は短かったものの、今回も全セッションドライでの走行。その中で多くの項目についてのテストを行い、開発陣は多くの収穫を得た。
次回、3回目の開発テストが行われるのは、5月18日(水)・19日(木)。舞台は大分県オートポリスに移る。今年は梅雨入りが早そうだと言われているが、もしウェットコンディションになれば、新たなレインタイヤのテストなども行えるはず。また、Bcompの耐水性テストなども同時に行うことができるだろう。