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2018年第5戦「テクラボ流」レースのシナリオ

2018年8月17日

■レース距離:249.67km(ツインリンクもてぎ ロードコース4.801379 km×52周)
■コースの特徴

ツインリンクもてぎ・ロードコースは「典型的な“ストップ&ゴー”型のコースレイアウト」と言われている。その言葉から連想されるのは、「一気にブレーキング→旋回→一気に加速」というドライビングが繰り返されるコース・・・というイメージ。大枠としてはそういう理解で良いわけだが・・・。
ドライビングと車両運動から見たこのコースの特徴は、1コーナー、3コーナー、5コーナーと、舵を直進に保ったまま、車両がまったく旋回運動をしていない中での単純なブレーキングを行うポイントが続くこと。ヘアピン、ダウンヒルストレート・エンドの90度コーナーも平面形としては同様だが、その手前からの車両運動や、90度コーナーでは並走する車両との位置関係から旋回制動になる状況が増える。この「直線運動だけのブレーキング」の繰り返しが、国内外のサーキットの中でこのコースを特徴づけるポイントとなっている。
そのブレーキングが終わろうとする中からステアイン→旋回運動を作ってゆくのだが、ここでは1コーナー45R(路幅中央での半径が45m)~2コーナー45Rでほぼ180度(弱)回り込み、3コーナー30R~4コーナー70Rで180度(強)回り込み、5コーナー30Rで120度近く回り込み、ヘアピンは30Rで180度回り込み、かつこれらはほぼ平坦な中に形作られている。すなわちこれらのコーナーは今日のレーシングマシンから見ると、旋回の速度域、旋回を維持する”深さ”などがある範囲に集中している。さらにこれらのコーナーからの立ち上がりもしばらく直線が続き、旋回運動をけして舵中央に保って全開加速することが走行タイムの短縮に直結する。
そこで、車両セッティングのポイントになるのは・・・

●直線運動のブレーキングで、車速の減少とともにその変化の二乗に比例して減ってゆくダウンフォース=タイヤ荷重、そこで起こる前輪への荷重移動の中で、リア側のタイヤグリップが抜けないようにして、ブレーキング後半に向けて車両姿勢が安定しているように。
●ブレーキング終端、つまりコーナーを回り込んで行ける速度に合わせてゆくところで、まだ減速運動を残しつつ舵を切り始めて「向き変え」の運動を起こす。ここでのステアインに対するフロントの応答(横移動)と、その運動を支えるリアのグリップが立ち上がるタイミングと踏ん張りの強さをバランスさせたい。ここはドライバーによって、「向き変え」を作る舵の使い方、タイミングや操舵速度が異なるので、それに合わせ込んであげることが求められる…が、車両運動力学的な最適解に沿っていることも必要。
●同じような旋回円を、深く描いてゆく中で、円を描く運動を続けるゾーンでは、速度を維持するのに必要なだけの弱い駆動力をデリケートなアクセルワークで作り出す。これを「バランス・スロットル」などと言う。そこから旋回運動を弱めて直線運動に移行するのに合わせて駆動力を一気に強め、加速に移る。この、バランス・スロットル→旋回運動変化/フル加速という遷移の中で、駆動力を強めてゆこうとするところで、前後のグリップ・バランスをどう保つか。前輪側の滑りが多くなって外に膨らむ(アメリカでは「プッシュ」と表現する)、逆に後輪側の滑りが強くなってリアが外に流れ(同じく「ルーズ」)、前に蹴る動きが弱まる。どちらも好ましくない。ここでもドライバーによって、旋回運動の維持、バランス・スロットルのデリカシー、加速に移るアクセルワーク…の組み合わせ方が異なるので、それに対応してあげることが求められるが、ドライバーとしても操作を重ね合わせる中でそのリズムやタイミングの「引き出し」が求められるところではある(このプロセスに限らないけれども)。

■今シーズン2基目のエンジンがこのレースから投入される。
後半戦仕様のエンジンについて・・・
トヨタの担当者は「ハードウェア面での変更としてお話しできるようなものはないんです」
ホンダの担当者は「燃焼に関連する部分で、いろいろ考えていること、わかってきたことがあるけれど、この時期にできることとできないことがあって・・・」
とコメントしている。
いずれにしても、昨年までだとツインリンクもてぎが4戦目であり、ここから新エンジンを搭載すると残り4戦。しかし今年は今戦を含めて残り3戦、1レース分・750kmほどマイレージ(積算走行距離)が少なくなるので、その分だけ“攻めた”エンジンの使い方が可能になるものと思われる。

■予選方式:ノックアウト予選方式 (Q1:20分間 19→14台 Q2:7分間 14→8台 Q3:7分間)

■タイヤ:横浜ゴム製ワンメイク ドライ2スペック(ミディアム,ソフト), ウェット1スペック

■タイヤ使用制限:ドライ(スリック) 競技会期間中を通して6セット
そのうち新品はミディアム2セット+ソフト2セット
前戦までのものからの”持ち越し”タイヤ2セット(ミディアム,ソフトは問わず。新品のままの持ち越しも可。各チームの持ち越しタイヤの組み合わせとそのコンディション、マイレージ=積算走行距離がひとつのポイント。)
ウェット 競技会期間中を通して4セット

■予選における使用タイヤ:Q1 で使用するドライタイヤはミディアム。

■決勝中のタイヤ交換義務: あり

●決勝レース中に2種別(ミディアムとソフト)のドライタイヤを使用しなければならない。
●スタート時に装着していた 1 セット(4本)から、異なる種別の1セットに交換することが義務付けられる。車両に同時に装着する4本は全て同一種別でなくてはならない。
●決勝レース中にウェットタイヤを使用した場合は、タイヤ交換義務規定は適用されない。
●先頭車両が1周目を終了した時点からレース終了までに実施すること。タイヤ交換義務を完了せずにレース終了まで走行した車両は、失格。
●先頭車両がフィニッシュ(52周完了)する前に赤旗中断、そのまま終了となった場合、タイヤ交換義務を実施していなかったドライバーには結果に40秒加算。
●レースが赤旗で中断した中に行ったタイヤ交換は、タイヤ交換義務を消化したものとは認められない。ただし、赤旗提示の時点でピットにてタイヤ交換作業を行っていた場合は、交換義務の対象として認められる。

◇2種別ドライタイヤのキャラクター
ツインリンクもてぎでは2016年からミディアム、ソフトの2種別を使ったレースが行われており、継続して参戦しているトラック・エンジニアとドライバーはそれぞれに経験値・経験則を持っているはず。
ツインリンクもてぎのコース、路面は「タイヤに厳しい」という某トラック・エンジニアの証言もあり、前戦・富士スピードウェイと同様の傾向だとすれば、2018年仕様のソフトタイヤのグリップ・パフォーマンスが急に落ち込む、いわゆる「cliff(崖)」に到達するのは、予選1アタックのタイヤをレースに投入して135km・28周あたりかと推測される。ということは、レース距離の半分程度か。
ちなみに、2017年仕様のソフトタイヤでツインリンクもてぎを走った時のレースデータを振り返ると、使い始めの“一撃”の速いラップタイムが出た後は徐々にラップタイムが低下してゆく“デグラデーション”傾向が明確に現れていたが、2018年仕様のソフトはさらにその変化が大きく、またトレッドのコンパウンド(ゴム)層が薄くなっているので、摩耗限界に達したところで一気にグリップが落ち込む特性となっている。
一方、ミディアムタイヤは、昨年と仕様が変わっていないが、昨年のここ、ツインリンクもてぎではレース・ディスタンスにわたって安定したラップタイムを刻んでいる。ソフトタイヤとのラップタイム差は、ソフト新品状態では1秒強、20~25周でほぼ同じペースまでソフトが落ちてくる、という傾向だったが、今年はその最初のタイム差が広がり、交差ポイントがもう少し手前(少ない周回)に来る可能性が高い。
この週末は酷暑が一段落するという予想が出ており、気温・路面温度ともにある程度のレベルに落ち着くと思われる。路面温度が極端に高いと、ミディアムのグリップ“発動”が早くなり、ソフトとのタイム差が縮まる一方で、ソフトの摩耗進行が早くなる可能性があるけれども、一般的な夏の暑さであれば、両者の作動温度領域(ワーキングレンジ)の違い、グリップ・レベルの差などが、本来の狙いに即した形で現れるだろう。

■燃料最大流量(燃料リストリクター):90kg/h(118.95L/h)
*容積(L)と重量(kg)の換算値が毎回少しずつ違うのは、各サーキットで、各時期に販売されているガソリンのブレンドによる比重が微妙に異なるため。

■オーバーテイク・システム:最大燃料流量10kg/h増量(90kg/h→100kg/h)。
20秒間作動×レースを通して5回まで
1回使用あたりの燃料消費増加は55.6g(約73.5cc)。5回使用で277.8g(367.2cc)増。

■決勝中の給油作業義務:なし

■燃料タンク容量:ぎりぎり満タンで95L(その全量を使い切るのは難しいが…) 満載時のガソリン重量 約70kg
燃料流量上限規制(燃料リストリクター)の設定90kg/hでのレースは、今年はまだ第3戦スポーツランドSUGOだけであって、平均燃費の推測が難しい。一応、昨年も含めた状況から2.45km/L(3.24km/kg)程度と仮定しよう。この仮数値で、レース完走に必要な燃料総量は約102L。実戦ではこれに低速周回3周分(ピット→グリッド/フォーメーションラップ/ゴール→車両保管)+OTS作動による消費量増加分、合わせて約2Lが加わる。すなわち、燃料タンク満タンでスタートした場合、10~11L(7.6~8.3kg)の燃料をレース中に補給する必要がある。上記想定で1周あたりの消費量 約1.96L 重量にして約1.48kg。
もしも無給油作戦に挑戦するのであれば、平均2.7km/L(3.57km/kg)で走り切る必要がある。しかしツインリンクもてぎのコースレイアウトでは、1周4回の脱出加速と、ダウンヒルストレートでのトップスピード領域では全開加速が必須であり、逆に高速走行から早めにアクセルを抜いて燃料消費を節約する「リフト&コースと」を、タイムを落とさずに実行できる場所は少ないので、極端な燃費走行を試みるメリットは小さい。タイヤ交換義務消化のためのピットストップがある以上、そこで給油を行わないことによる作業時間の差、6秒前後のアドバンテージを狙う意味はないと考えられる。

■ピットレーン速度制限:60km/h

■レース中ピットレーン走行によるロスタイム:およそ20秒(近年のTRMでのレース状況から概算した目安程度の値)。ピットストップによって”消費”される時間はこれに作業の静止時間が加わり、タイヤ交換(とくに4輪)を行った場合はコースインしてから作動温度域に達するまでのロスタイムが加算される。すなわちアウトラップでミディアムが1秒程度、ソフトはもう少し少ないかと思われる。

■ピットストップ: ピットレーンでの作業が認められる要員は6名まで。ただし1名は「車両誘導要員」として、いわゆる“ロリポップ“を手にしての誘導に専念することが求められる。また給油に際しては給油装置のノズル保持者に加えて消火要員(消火器保持者)1名を置くことが規定されている。したがってタイヤ交換と給油を同時に実施する場合はタイヤ交換に関われるメカニックは3名となる。この人数の中で、前後のジャッキアップ~4輪交換~ジャッキダウンを行うことになり、誰がどのタイミングでどこに移動して、何の作業を行うか、それぞれのチームが知恵を絞り、トレーニングを積んでいる。
車両停止の瞬間、最も早く動きを開始するフロント側ジャッキに、ノーズ接触を引金に作動する自動リフト機構を導入するチームが出てきているが、ここまで観察してきた範囲では、リスクの増大に比してピットストップ時間の短縮が明確に現れているとは言えない。一方、前戦・富士スピードウェイで優勝したN.キャシディ/KONDO RACINGのピットストップは、前後手動ジャッキながら、タイヤ4輪交換+燃料補給を停止時間12秒で完了。練習ではもっと短いタイムも出ているという。
燃料補給を行わずにタイヤ4本交換のみ行う場合は作業要員5名。前後ジャッキとタイヤ4本に対して個々に要員を配置するには1人足りない。自動ジャッキを使わない場合は、前後どちらか(基本的に後)のジャッキアップ-ダウンに1名が付き、もう一方のジャッキアップを行った1名が移動して近くの1輪を担当、残り3名は最初から各輪位置に待機してタイヤ交換、作業完了が早い位置の1名が空いているジャッキに移動して降ろす・・・というプロセスになる。
ここで、ピットストップ戦略を組み立てる基本的な要素について整理しておく。
●タイヤ4輪交換を燃料補給と同時に実施するのに要する時間は11~13秒程度。
●タイヤ4輪交換だけならば静止時間6秒程度。
●タイヤ交換のためのピットストップが義務付けられているので、そこで燃料も補給するのであれば、そして燃料消費を気にせずにタイヤのグリップをフルに使って速いペースで走ろうとするのであれば、平均燃費2.45km/L想定で、フルタンクでスタートした場合の不足量約10~11L。燃料補給におけるガソリン流量が毎秒2.3L(1.74kg)程度かと思われるので、燃料補給ノズルを車両に接続している時間としては4.4~4.8秒、これにノズルの抜き差しにかかる1秒ほどを加えた時間で燃料補給が終わる計算になり、ピットストップの静止時間はタイヤ交換の時間で決まってくることになる。
●ここまでの想定値に基づく、満タンでスタートした場合の”ピット・ウィンドウ”(燃料補給のピットストップが1回で済む周回数)は5周完了~47周までの間のどこか、実戦での燃費がここでの仮定よりも良ければ4周~48周かと見込まれる。(極端な燃料消費節約走行をしない/セーフティカーランなどがない、という前提で)
●タイヤ交換のためのピットストップが必要、かつ燃料補給も必要ということならば、作業者3名で4輪交換するのにかかる12~14秒の間、燃料補給ノズルを差し込んでガソリンを入れてもロスタイムは変わらない。この場合、燃料補給ノズル接続時間は11秒、25L(20 kg)を補給できる。スタート時にその分だけ燃料搭載量を減らすと、満タンでスタートするのに比べて15L、11.5kgほど軽い状態にできる。この場合、ピット・ウィンドウが“閉じる” (燃料タンクが空になる)のは平均燃費2.45km/Lで40周完了あたり、となる。

さてそうなると、今回のレースを戦うストラテジーの選択肢は・・・

A. 基本は「1ストップ」戦略
●スターティンググリッド前方の位置を占めたドライバーとしては、グリップ発動と初期グリップ・レベルが高いソフトでスタートし、そのタイム推移の状況を追っていって、ミディアムのペースと交差するところでピットイン、ミディアムに交換、というのが定番戦略になりそう。

B. 「2ストップ」戦略がありうるとすれば…
●「より速く走る」ことを狙い、かつソフトの性能変化に応じて対応するためのアプローチと考えると、必然的にソフトを2回、ミディアムを1回履くことになる。グリップの高さを活かしてまずスタートダッシュ、そこからのラップタイムの落ち具合(デグラデーション)を見てタイヤ交換、再びソフトを履かせて送り出す。つまり、ソフト→ソフト→ミディアムが定番か。
ソフトのグリップを活かすために、またタイヤの消耗を抑えるために、スタートから燃料搭載量を減らして車両重量が軽い状態で走らせ、燃費も気にせず、2回のピットイン毎に補給するとすれば、最初に40~50L(30.3~37.8kg)積んでおけばいい計算になる。この場合は1ストップ勢に対して、4輪交換のピットストップ1回分、32秒程度をコース上で稼ぎ出して同じペースということになる。他車もソフトを装着しているスティントに対しては燃料重量の軽さを活かし、ソフトのデグラデーションが進んでゆく分と、ミディアムのペースに対する速さを合わせて、そこまでを積み上げられるか。ピットロード走行ロスタイムが少ないコースなので、稼がなければならないタイムはその分少ないが。
●1ストップと同じ燃料搭載量でスタート、2回のピットストップのうち1回はフルサービスで12秒を費やし、もう1回はタイヤ交換だけにして6秒で送り出せば、このタイヤ交換ストップのロスタイム約26秒だけをコース上で取り戻せばよい。それでもソフトで走る1スティントを20周と仮定して、1周平均1.3秒速く走れるか、という挑戦になる。

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