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2019年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第1回公式合同テスト初日レポート
2019年3月4日
前日から降り続いた雨が、朝まで残る形となった3月4日 (月)の三重県鈴鹿サーキット。生憎のコンディションとはなってしまったが、そんな中、新車両SF19を使用して初となる全日本スーパーフォーミュラ選手権の第1回公式合同テストが始まった。参加したのは、11チーム20台。今季を戦う全車、全ドライバーが顔を揃えている。今回のテストは2日間。2日目となる明日5日(火)は晴天という予報が出されているため、初日は午前の走行時間が45分短縮され、その分、2日目は午前、午後ともに延長されることが朝の段階で決定した。
初日最初のセッションが始まったのは、午前10時15分。この時点で雨はほぼ止んでいたが、路面はまだ完全なウェット。気温13℃、路面温度16℃というコンディションの下、ピット出口がオープンされると、半分ほどのクルマがコースへと入っていく。その後、序盤から全車が次々にコースイン。いずれも、装着しているのは、昨日のデモレースで使用したユーズドのレインタイヤだった。今回のテストでは、SF19に合わせた新しいコンパウンド&新しいパターンのレインタイヤが供給されている。特に低温時のグリップを上げる方向でのコンパウンド開発が行われ、同時に排水性も高めたものだ。各チームはともにそのタイヤの確認、またレインコンディションに合わせてのセットアップなどを試していく。セッション前半は、まだ路面の水が多かったこともあり、各車1分51〜52秒台での走行。そこから路面の水が少なくなっていくにつれ、ラップタイムも上がっていった。セッションが折り返す頃になると、No.64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)がレインのニュータイヤを投入し、1分48秒775と一気にタイムアップ。ユーズドタイヤのNo.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)やNo.36 中嶋一貴(VANTELN TEAM TOM’S)も1分50秒を切ってくる。
その後、後半から終盤にかけては、3分の2ほどのドライバーがレインのニュータイヤを投入。またNo.50 ルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)は、終盤ユーズドのソフトタイヤでコースに出た。その中で、速さを見せたのは、No.1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。山本はただ一人1分46秒を切り、1分45秒547をマーク。以下、No.37 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)、一貴、No.15 ダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)、No.3 山下健太(KONDO RACING)、可夢偉、No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)、No.51 ハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)と続いている。午前11時30分にチェッカーフラッグが提示された後は、メインストレート上でスタート練習が行われ、各ドライバーがウェット路面でのスタートの感触を試した。
そこから3時間余りのインターバルを経て、2回目のセッションが始まったのは、午後3時。インターバルには再び雨がパラついたが、その後天候は好転し青空も顔を覗かせる。午前中、吹いていなかった風も出てきて、路面は次第に乾き始めた。セッション開始直後こそ、各車レインタイヤでコースに入ったが、開始から20分を過ぎると、まずは可夢偉がスリックタイヤに履き替えてコースイン。他が1分45秒台〜46秒台で走っている中、ミディアムのユーズドタイヤで一気に1分42秒708とタイムをあげてくる。これを見て、ほとんどの車は一旦ピットイン。そんな中、可夢偉と同じくミディアムのユーズドに履き替えたNo.20 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が、さらにタイムアップ。可夢偉を上回る1分40秒172を刻んだ。また、平川に若干遅れてソフトのユーズドタイヤでコースに入ったアウアーも、1分40秒985までタイムを伸ばしてくる。さらには、セッション開始から40分というところで野尻が1分39秒705を叩き出し、トップに浮上。No.38 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)も39秒台のタイムをマークする。また、午後のセッションが始まってから、ずっとピットで待機していたキャシディもコースイン。キャシディは、野尻を上回る1分39秒664をマークして、この時点でのトップに立った。
その2〜3分後、午後3時52分には、この日初めての赤旗が提示され、セッションは中断される。これは、No.17 トリスタン・シャルパンティエ(REAL RACING)がヘアピンでスピン、ストップしてしまったため。このマシンの回収が終わると、セッションは午後4時01分に再開された。この頃になると、日差しが降り注ぎ、車両の影が路面に映るほどのコンディションに。当然、各ドライバーともに、その後はスリックでの走行を続ける。ここで39秒台に突入してきたのが、一貴、可夢偉、ティクトゥム。さらには、パロウが39秒台を連発。11周目には1分39秒084を叩き出して、一時トップに立った。さらに、セッションが折り返すと、No.5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がいよいよ1分38秒707と38秒台に突入。これに続くように、パロウも38秒768をマークする。
だが、そこから間もない午後4時20分には、今日2回目の赤旗が提示され、セッションは再び中断される。これはアウアーが3コーナーでコースオフしたためで、マシン回収が終わった午後4時26分にセッションは再開。ここから各車、初日の仕上げに入っていく。その中で、やはり精力的に走ったのは、パロウ。パロウは昨日午前中のフリー走行の際、電気系トラブルがあり、ほとんど走ることができなかった。その分を取り戻すように、好タイムを次々マーク。また、鈴鹿の経験が少ないニューウェイも、残り25分を切ってからは1分38秒562、1分37秒848と、確実にタイムアップを果たしてきた。さらに、パロウのチームメイトであるNo.65 牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)もセッション終盤には大きくタイムアップしてくる。そして、セッションが残り10分を切ると、何人かのドライバーがソフトのニュータイヤを投入。タイムアタックへと向かった。ここでさらにタイムを大きく伸ばしてきたのが、パロウ。パロウは、各セクターで全体ベストをマークして1分35秒904と、非公式ながら中嶋一貴が持つコースレコードを上回る。その後、アタックしたドライバーは、このタイムを上回ることができなかった。このパロウに続き、2番手に滑り込んできたのは、山下。アタック中、トラフィックに引っかかったとはいうものの、山下は1分36秒223という好タイムをマークした。さらにチェッカーとほぼ同時に、キャシディが1分36秒436で3番手に浮上。以下、一貴、No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、No.4 国本雄資(KONDO RACING)、牧野、福住、No.39 坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、石浦と続いている。
明日5日は、走行時間が延長。1回目は午前9時から11時15分、2回目は午後2時45分から5時15分と、計4時間45分のセッションが予定されている。ドライコンディションになると見られているため、初日よりもタイムが上がる可能性もある。一体、明日はどのような結果になるのか。非常に興味深いテストとなるだろう。