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2019年 開幕戦 レースのシナリオ

2019年4月19日

両角岳彦

■レース距離: 249.701km (鈴鹿サーキット5.807km×43周)
■予選方式: ノックアウト予選方式 (Q1:20分間 20→12台 Q2:7分間 12→8台 Q3:7分間 各セッション間のインターバルは10分間)

■タイヤ:横浜ゴム製ワンメイク ドライ2スペック(ミディアム,ソフト), ウェット1スペック
■タイヤ使用制限:ドライ(スリック)>競技会期間中を通して6セット そのうち新品はミディアム2セット+ソフト2セット
3月の公式合同テストで使用した中からの”持ち越し”タイヤ3セット(ミディアム,ソフトは問わず)。
金曜日練習走行は持ち越しタイヤのみ使用、土・日曜日の競技会期間における走行はマーキングされた6セット(持ち越し2、新品4)を使用する。
予選について、Q1はミディアム装着が指定される。Q2、Q3は指定なし。
ウェット>競技会期間中を通して4セット
■予選における使用タイヤ:Q1においてはミディアムタイヤを使用する。Q2、Q3は指定なし。
■決勝中のタイヤ交換義務: あり
●決勝レース中、スタート時に装着していた1セット(4本)から異なる種別の1セットに交換することで、2種別(ミディアムとソフト)のドライタイヤを使用しなければならない。
●決勝レース中にウェットタイヤを使用した場合、タイヤ交換義務規定は適用されない。
●先頭車両が1周回を終了した時点からレース終了までに実施すること。タイヤ交換義務を完了せずにレース終了まで走行した車両は、失格。
●レース中に発生した赤旗中断時にタイヤ交換を行っても、このタイヤ交換義務を消化したものとは認められない。ただし、赤旗提示の時点でピットにてタイヤ交換作業を行っていた場合は、交換義務を完了したものと認められる。
●先頭車両がフィニッシュ(43周完了)するまでに赤旗中断、そのまま終了となった場合、タイヤ交換義務を実施していなかったドライバーには結果に40秒加算。

2019年使用タイヤとSF19
●フロントタイヤの全幅20mm拡大。接地面積がその分(約8%)だけ大きくなり、それは摩擦力(グリップ)の増加に直結する。同時にタイヤ荷重を支える基本である空気量も増えているので、タイヤの摩耗進行などにも影響が出る。逆に、冷えた状態から走り始めてタイヤ全体の温度と内圧を適正領域まで上昇させるのに、より多くの入力、時間が必要になる。
●一方、リアタイヤは前輪側の横力とつり合うだけの横力を発生する必要がある。しかもホイールベースが50mm短縮されたことでリアタイヤが運動の中心となる重心点に近づいた。この相乗効果でSF14に比べて、同じコーナリング・プロセスでもリアタイヤがグリップ限界に入りやすくなる(はず)。また旋回時、リアタイヤの横すべり量が多くなり、摩耗の進行も早くなる可能性がある。
●ソフトタイヤに関しては、トレッド・コンパウンドのゲージ(素材厚み)を少し増加している。その分だけ、デグラデーション進行~全摩耗に至る走行距離が伸びる方向。「一撃」のグリップピークを維持しうる距離は昨年同等。

■燃料最大流量(燃料リストリクター): 95kg/h(128.0L/h)
■オーバーテイク・システム: 最大燃料流量10kg/h増量(95kg/h→105kg/h)。
レース全体を通して100秒間作動。一度作動させたらその後100秒間は作動しない。
100秒間使用で燃料消費量は277.8g、374.5cc増。
鈴鹿サーキットでは、日立オートモティブシケインの立ち上がり~メインストレートと、スプーンカーブ立ち上がり~西ストレートのどちらかで使うのが、追い抜きのトライ/ディフェンスに効果的。ラップタイムを短縮するためには、2コーナー立ち上がり~ダンロップコーナーの上り旋回にかけて使う手法もありうる。
一度作動させてしまうとその後100秒間作動不可となる、というところが使い方の大きなポイントになる。

■決勝中の給油作業義務: なし
■燃料タンク容量: フルタンク(いわゆる満タン)で約95L。最小限の余裕を持たせて94L程度と考えて検討を進める。
満載時のガソリン重量 約70kg
燃料リストリクター95kg/hにおける燃費を、SF19はSF14よりも走行抵抗が増えているはずであることから、レース中の平均で2.4km/Lと仮定すると、レース距離の250kmを走るのに消費する燃料量は104L。これにピットからスターティング・グリッドに向かう1周、フォーメーションラップ、ゴール後の1周の3周の低速走行分(鈴鹿の場合は1周が長いのでおおよそ2Lほどか)、そしてOTSをフルに使えば0.374Lを加えた約106.5Lが、レースを走り切るのに必要となる基本的な燃料量、と推測される。

■ピットレーン速度制限: 60km/h
■レース中ピットレーン走行+停止発進によるロスタイム: 鈴鹿サーキットの場合、およそ25~27秒。タイヤ交換後のアウトラップではタイヤが作動温度域に達するまでのロスタイム(ミディアムで1秒程度、ソフトはもう少し少ない)も加わる。これにピット作業時間を加えたものが、実際のレースにおけるロスタイム(ピットストップによって失う時間)になる。

■ピットストップ: ピットレーンでの作業が認められる要員は6名まで。ただし1名は「車両誘導要員」として、いわゆる“ロリポップ“を手にしての誘導に専念することが求められる。また給油に際しては給油装置のノズル保持者に加えて消火要員(消火器保持者)1名を置くことが規定されている。
フロントジャッキの自動作動化の導入(機材は各チームの手作り)によって、タイヤ交換に携われる3名のうち2名は最初から各輪の位置に付き、もう1名がリアジャッキの挿入を行ってからリアタイヤのどちらかに移動。そこから3人で4輪を交換してから、前後のジャッキを“落とし”つつ、フロントジャッキはピットボックス側に引いて退避する…という流れになる。
燃料補給を行わずにタイヤ4本交換のみ行う場合は作業要員5名。リアジャッキの挿入・作動に1名が付き、残り4名は最初から各輪位置に待機してタイヤ交換。最初のリアジャッキ担当が前に走り、フロントジャッキのダウン、引き抜きを担当…というプロセスになる。

ここで、ピットストップ戦略を組み立てる基本的な要素について整理しておく。
●タイヤ4輪交換を燃料補給と同時に実施するのに要する時間は11~12秒程度。
●タイヤ4輪交換だけならば静止時間5~6秒程度。
●燃料リストリクター設定95kg/h、かつ全開時間の長い鈴鹿では、250kmのレースでも燃料補給なしに走り切るのは無理。前述のように満タンでスタートしてもピットストップで12.5L程度の補給が必要となるはず。
●この2.4km/Lの想定で、鈴鹿サーキット1周で消費する燃料は2.4L、1.78kgほどかと。
●2種別のタイヤを履き替えるためのピットストップは必ず行わないといけないので、そこで燃料も補給する。燃料補給におけるガソリン流量が毎秒2.3L(1.71kg)程度かと思われるので、先ほど計算したように満タンに対する不足量12.5Lを注ぎ足すのであれば、燃料補給ノズルを差し込んでガソリンが流れている時間で5.4秒ほどになる。ノズルを差す・抜く、の動きに必要な時間1.5秒ほどを加えて、燃料補給に要する時間はおよそ8秒。

■ピット・ウィンドウ:
ここまでの想定に基づく、満タンでスタートした場合の”ピット・ウィンドウ”(燃料補給のピットストップが1回で済む周回数)は4周完了~38周までの間のどこか、と見込まれる。(極端な燃料消費節約走行をしない/セーフティカーランなどがない、という前提で)

さてそうなると、今回のレースを戦うストラテジー(戦略)の選択肢は…
A. 基本は「1ストップ」戦略
これが定石だろう。スタートでソフト、ミディアムのどちらを履くかがその先の戦略を左右する。
前方のグリッドを確保できた車両/ドライバーは、ソフト装着でスタート。ポジションを落とさないことを重視すれば、走り出しで本来のグリップを発揮(ウォームアップ)するまでが早く、序盤のペースを上げられることが重要だから。ソフトタイヤの摩耗が進むにつれてラップタイムが低下してゆき(いわゆるデグラデーション)、予選を走っただけのミディアムタイヤで、その時の燃料搭載量(重量)で走った時の想定タイムよりも遅くなりそう/なったところが、ピットに入るタイミングとなる。
後方からのスタートになった車両/ドライバーで、ソフトでスタートしてピット・ウィンドウが“開いた”らすぐにピットイン、そこからミディアムでゴールまで走り切る、という戦略を選ぶケースが昨年までは見られたが、SF19ではリアタイヤの摩耗が早まり、レース距離を走り切れない可能性が出てきている。ソフトでのロングランにある程度の見通しがついた、あるいは賭けてみようと考えたドライバー+エンジニアは、ミディアムでスタートして、早めにソフトに履き替える戦略もありうる。

B. 「2ストップ」戦略は「あり」だろうか?
ソフトタイヤを短めに、例えば14周(85km)だけ使ってペースを上げる。これを2回繰り返すことで、1ストップ戦略よりレース距離の2/3を走る中で30秒、1周あたり1.07秒以上速く走れるのであれば、一度はタイヤ交換だけ、もう一度はタイヤ交換と燃料補給を行う2ストップを敢行して、レースを走り切る時間は同じ、という計算が成り立つ。もし、36秒、1周あたり1.28秒速く走れれば「フルサービス」1回分の時間を稼げるので、燃料補給を伴う2度のピットストップ作戦が採れる。この場合は、スタート前に積む燃料量は62Lほど、満タン状態と比較して約25kg軽い状態で最初のスティントを走ることができる。スターティング・ポジションが思ったよりも後方になってしまったドライバー+車両にとっては、検討する価値がある作戦かもしれない。

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