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新タブロイド紙「STAGE」特別インタビュー 伊沢拓也編

2017年11月21日

Q:2014年にGP2(現F2)にフル参戦しましたが、GP2はどのようなカテゴリーでしたか?

チームの仕事レベルで言うと、似たような作業をしてますね。ただ向こうはシミュレーターを多用するので、そのデータを実践に投入するというような。そのあたりは日本よりも進んでいます。出場しているドライバーのレベルで言えば、GP2もSUPER FORMULAもそのカテゴリーのトップのドライバーが揃っているので、どちらがどうということはないですよね。レース内容を違う感じにしているのは、ピレリタイヤとブリヂストンタイヤ(当時)という要因が大きいでしょうね。

Q:当時の伊沢選手は、日本でのキャリアがトップレベルのものになりつつあった時期だったと思いますが、GP2へ行くことへの不安はありましたか。

プライベート的には結婚して、子供も生まれていました。ちょうどホンダがF1に再度参戦を開始した時期でもあったと思います。そういう意味では年齢的にも少し遅いタイミングかなと。GP2自体がそんなに簡単な挑戦でないこともわかっていましたし…ただ行くからにはきちんと結果を出したいと思っていました。住む国、町、場所も基本全部自分で見つけたので準備段階から大変でしたが、後から参戦する松下選手などは僕の生活拠点を引き継げたりしているので、そういう意味では良かったのかなと。

Q:実際にGP2で戦って、どのように感じていましたか?

GP2というカテゴリーが若手育成のカテゴリーなので、僕はやっぱり馴染みきれなかったんです。チームの取り組み方とかも当然若手に対して行う体制なので、そこに違和感を感じていましたし、今思えば、自分の考え方を、もう少し柔軟にできれば違ったんでしょうけどね。

Q:ホンダとしてGP2に参戦する時、自分が選ばれたことについてはどのように思いましたか?

あの時期にホンダドライバーの誰がGP2に行っても、ホンダのF1活動のタイミングから見てF1に日本人のシートは無かったと思うんです。松下選手があのタイミングで行っていたとしても、F1のシートは無かったと思います。その意味で今だからこそあのプロジェクトが継続して、松下選手も福住選手もいい環境の中で走れていると思うんです。4年経った今だから言えることですね。

Q:最初から1年ということで行かれたのですか?

何年とかいう予定は全然無かったですね。GP2に出ると言うのは、最終的にF1に繋がっていくことに意味がありますよね。GP2だけの挑戦であれば、英語力など含めてやっていく自信はありましたけど、そこから上となると、当時自分ではイメージできなかったんです。そこで時間を費やすのなら、他のところで頑張りたいと思ってたんですよね。2年、3年と時間を費やすことで、僕は32歳、33歳になる。今のF1を見ていると30歳過ぎてデビューって、ありえないですよね。そういう意味で自分では1年で結果を・・って思っていたんですよね。

Q:12歳でカートを初めて、あっという間に全日本タイトルを獲り、SRS-Fも主席でスカラシップを獲得したりと、あっという間に表舞台に登場したイメージがありますが?

塚越、大嶋、平手といった選手の時代には、いろんな若手向きのカテゴリーができましたけど、僕の時は基本的には大人に混ざって走ってたんです。SRS-Fに在籍しながらF4にも参戦させてもらってました。

Q:F1へのあこがれは持っていたのでしょうか?

その頃ちょうど第3期ホンダF1の時期だったので。当時、鈴木亜久里さんが「F1やりたい」と話してて、ホントに始めちゃったり。そういうことを近くで見ていたので、ホンダにいることでF1のそばにいることができた。SUPER AGURIが参戦した日本GPの時は、お手伝いで鈴鹿に行ったりしました。

Q:それから単身ドイツへ行くんですよね?

当時、僕は18歳くらいでARTAのプロジェクトの一員で、松浦孝亮さんや金石勝智さんがドイツでレースをやっていました。ドイツでレースに参戦していた頃は、(金石)勝智さんにお世話になってました。

Q:でも普通に生活している人からすると、若い時期から海外でレースができたりとか、恵まれた環境ではあったんですね?

そうなんです。GP2もそうですし、フォーミュラ・ルノーもそう。SUPER GTに参戦できた時もそうなんですが、タイミングよくレース人生が送れているなと思うんです。SUPER GTの時は、伊藤大輔さんがTOYOTAに移籍すると言うことで呼ばれたり。なんかタイミングが良いなと思ったりするんです。

Q:ドイツから帰って来てフォーミュラ・ドリーム(FD)に参戦しますが、塚越広大選手が圧倒的に強かったですね?

僕のレース人生の中で、一番挫折していた時期ですね。ただあの時期があったからこそドライビングについて色々やらなきゃいけないと思ったきっかけにはなりましたね。あの時期にトントンと勝ってたら今の自分はなかったかな、と思いますね。ただFDで苦戦してたんですが、その時も運良く戸田レーシングに救ってもらい、F3で勝てた。あの時期がターニングポイントですかね。

Q:塚越選手とはその後、F3でチームメイトとして走ることにもなりましたね?

フォーミュラ・ドリームの時は、彼のほうが年下ということもあって、絶対に勝ってやるという気持ちだったんですけど、F3まで来ると、そういう気持ちより彼の良いところを学習しようという気持ちになりましたね。

Q:2011年からダンディライアンレーシングでもチームメイトになりました。

僕が先にダンデでフォーミュラを戦っていたのですが、当時のダンデは、以前リチャード・ライアンなどがいた頃(2004年頃)よりも戦闘力が少し劣っていました。そこへエンジニアとして田中耕太郎さんが入ってきて、徐々にチーム力があがって来た時期でした。(塚越)広大の前はロイック(デュバル)がチームメイトだったんですけど、誰がと言うよりチームメイトには負けたくないと思いますよね。

Q:外から見ていると塚越選手と伊沢選手の間には凄くピリピリした緊張感がありましたが。

そんなこと全然ないです。チーム内でいろんな所をオープンにしていましたし、そんな中でどっちが速いんだって言うだけで、予選ワン・ツーとか、決勝ワン・ツーとか、チームタイトルも獲りましたし、なかなかあんなに上手くいく年もないかなと。確実に今の自信につながっていますよね。

Q:2012年の第6戦SUGO大会で初優勝しましたが、どんな思いでしたか?

勝つ時って、結局クルマがいい状態なので、他のことを気にする必要がなく、走りに集中出来るから、簡単に勝った感じになっちゃう。

Q:ただデビューしてから少し時間がかかりました。

長いこと続けていると1回は勝てることもあると思うんです。だけど、次の鈴鹿大会と翌年の開幕戦でも勝てた。多分2回目とか3回目に勝てたことの方が意味があることだと思うんです。1回目の時は勝っちゃったって感じですけど、2回目、3回目は狙って勝ちに行ったので、その時の方が嬉しかったですね。

Q:今後の目標はどの様な感じなのでしょう。

年齢的にはGP2参戦前より厳しいんでしょうが、まずは直近のレースで勝つこと。多分どの選手も同じだと思いますけど(笑)。1回勝つことでチームの雰囲気や状況が変わってくると思うので、早く勝ちたいですね。

Q:野尻選手に対してはどの様な印象ですか?

これまでのドライバーとは違う走り方をしたり、僕自身が勉強になるところがあります。そういう意味では面白いなと思いますね。ただ、どんな理由であれ僕の状況からすると、野尻選手には負けられない。野尻選手に限らず、最近はホントに皆の力が拮抗しているので、ポイント獲るのも大変なんですけどね。

Q:伊沢選手にとってSUPER FORMULAとは?

SUPER GTと比べてどうとか、という風には考えていなくて、僕にとってはどちらも同じように大切な選手権です。ただフォーミュラは純粋な速さの競争なので、予選の1番でも凄く気持ちいい。だからまた、その場所に早く立ちたいなと思います。

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