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新タブロイド紙「STAGE」特別インタビュー 関口 雄飛編

2017年12月13日

Q:昨年(2016年)にスーパーフォーミュラにデビューしましたが、ジュニアフォーミュラ時代にトップフォーミュラをどのように見ていましたか?

小さい頃はF1のことしか見ていなかったですね。

Q:F1の何に魅力を感じていたのでしょう?

世界で一番速い人達が集まる選手権ですし。子供の頃(カートレースをやっている頃)テレビを観て憧れていました。小学校の頃はセナ(故アイルトン・セナ)とかがいてF1ブームだったんです。意識して観はじめた頃ちょうど、セナは事故にあったんですけどね。

Q:関口少年としては、当時どうやってF1という世界一決定戦に出ようと思ったのですか?

カートを始めた頃はそんなこと全然わからなかったので、とにかく速く走っていれば良いのかなと。

Q:カートを始めたきっかけは?

何かの雑誌に「子供用のカートができました」的な広告があったんだと思います。父親がそれを見て「行ってみるか?」ってなったんです。父親がレースを観るのが好きだったみたいですね。

Q:ジュニアカートを経て、FTRS(フォーミュラトヨタ・レーシングスクール)に参加することになりました。当時トヨタがF1に参戦していたということも関係していましたか?

もちろんそれもありました。あとこれからレースを続けていくための資金のことを考えると、やはりスカラシップが欲しかったんです。カートをやっていた頃、可夢偉選手や平手選手がスカラシップを獲ったとかっていう情報が入ってきていたので、僕も・・・ということだったんです。

Q:絶対に獲れるという自信はあった?

当時の僕にはコネクションも何も無かったので・・・

Q:それでもスカラシップに選ばれましたね?

凄く嬉しかったですね。現役のスカラシップ生も模擬レースに参加していたのですが、そのドライバーを僕が追い抜いたりしたんです。現役のドライバーより速かった。やっぱり速かったから選ばれたんだと思います。

Q:F1への扉が少し開いたかなと・・

ただ、自分の実力がなくて、その後トヨタから離れてしまったんです。でも、「自分の思う実力と結果が比例していないな」、と納得できなかったんです。だからあと1年自分で参戦しました。フォーミュラ・トヨタでチャンピオンを獲ればF3に乗れると思って頑張ったんです。そして3年目にチャンピオンを獲って、当時のFCJ(フォーミュラチャレンジ・ジャパン)でもチャンピオンを獲りました。それでF3のオーディションの権利を貰い、それに合格してやっとF3に出られることになったんです。

Q:F3を1年経験して、海外へも挑戦し、2009年にあらためて日本に戻ってきましたね。

もう少し海外でやりたかったので、自分でスポンサーを見つけに行ったりもしました。日本に帰っても乗れるところはないとわかっていたし・・・でも資金が尽きてしまったんです。それで、日本に帰ってからは生活も荒れたんです。精神的に腐ってたんでしょうね。その時に、これまでずっと援助してくれていた親に「乗れないのは仕方がないけど努力をしなさい」と言われたんです。そこで多くの人に助けられて、もう一度F3に乗ることができたんです。ホントに首の皮一枚繋がった感じでした。その年チャンピオンは獲れなかったですけど、活躍はできました。エンジン不調でピットスタートになって、そこから優勝したり、連勝もしました。そんなところを見せられたので、次の年ThreeBondさんから声がかかったんです。毎年毎年綱渡りのようなレース活動でした。夏過ぎになると来年のことを考えて凄く辛かった。

Q:ThreeBond RacingでのF3も1年で終わってしまいましたね。

それでホントに何も無くなってしまったんです。そんな時、現在B-MAX ENGINEERINGからF3に出場している吉田選手が当時F4に参戦していて、彼のマシンのセッティング出しやドライビングコーチを頼まれた際に、組田龍司(現B-Max Racing team監督)さんと出逢ったんです。組田さんが僕の気持ちを理解してくださり、トムスと交渉して、空いているマシンを借りてくれたおかげで、その年の(2011年)第3戦からF3に参戦できたんです。

Q:その年F3のチャンピオンを獲得されました。ただそこからトップフォーミュラまで時間がかかりましたね。

テストさえできれば、勝ち取る自信はあったんです。でもなかなかそこに行けない。GT500クラスもそうですけど。「どうしたらそこに行けるんだ」と凄く考えていましたね。今思えば、FCJでチャンピオンを獲ったのにトップフォーミュラのテストチャンスも貰えなかった。FCJは、スーパーフォーミュラ直系のアンダーカテゴリーだったのに、それをやってくれなかったJRPに対しても不満はありました。

Q:2016年にやっとトップフォーミュラのシートが獲得できました。

前年のマカオグランプリの現地で連絡をもらったんです。僕を乗せるためにいろんな人が動いてくれて・・・凄く嬉しかった。今までよりも多くの人が僕のために動いてくれたことが、本当に嬉しかったですね。

Q:トップフォーミュラへの不安は?

全く無かったです。自分が速いのはわかっていました。だからそんなことより、動いてくれた人たちへの感謝の気持ちで一杯でした。

Q:速く走れる自信はどこから来るんでしょう?

最初にカートに乗った時から誰よりも速く走れた。同じ条件で走れれば、速さで負けたことはなかったんです。だから凄く楽しかったし、負ける気がしなかった。その頃に同年代でカートを戦っていたドライバーがスーパーフォーミュラでどの程度走れているのかを見れば、自分がどこまでいけるかは想像できますよね。それが自信につながっているのだと思います。たぶん今もそうですけど、僕は新しいサーキットや、新しいマシンに慣れるのが早いと思いますし、いろいろ変化する状況に適応する能力が高いんだと思います(笑)

Q:実際にデビューイヤーで2勝してシリーズランキングも3位を獲得しました。
「どうだ見たか!」という感じですが。

そういうふうには考えていないですけど、いつの間にか年齢が3つ、4つ下の国本雄資選手とかが先にトップカテゴリーに参戦したり、先に行ってしまって・・・すべて自分の責任ですけど。「もっと早く乗ってればよかったね」って言われたりしますけど、僕は自分の夢に挑戦するために海外でレースをやりました。そこで得られた経験は、今のドライバーとしての自分に生きていますし、決して遠回りをしたとは思っていません。実際、今は彼らと同じフィールドで戦っていますし、損したとか遠回りしたとか全然思ってないです。

Q:今季もチャンピオンを狙っていきますよね?(インタビューは17年第4戦もてぎ大会時)

スーパーフォーミュラに限って言えば、鈴鹿サーキットとの相性があまり良くないんです。だから最終戦の2レース/ボーナスポイント制が僕には相対的に不利に働いています。昨年の最終戦、今年の開幕戦の鈴鹿もノーポイントだと思うんですが、そういう意味では最終戦までにマージンを持って行きたいですね。

Q:昨年富士で初表彰台(3位)を獲得した時の会見で、「(猛追してきた)アンドレとかバンドーンとか知らねぇし」と言い放ちましたが、今年もガスリーや、ローゼンクヴィストと言った世界からの挑戦者がいますが、自信はありますか?

フェリックス(ローゼンクヴィスト)と同じチームでマカオに参戦していた時は、僕の方が速かった。F1選手だろうがなんだろうが、誰が来ても、同じレースをやっている以上は負けたくないですよね。

Q:最後に、夢はなんですか?

もう一度世界で自分の実力を試してみたい、と言うのはありますね。冷静に考えると、海外からスーパーフォーミュラに参戦するドライバーは、知らないサーキットを走るわけですから、最初から分が悪い。逆に自分もそういう環境に身をおいて、厳しい環境の中でも活躍できるドライバーになりたいですね。

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