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「コースレコード更新、思わず二度見した」
2019年6月25日
「コースレコード更新、思わず二度見した」 ヨコハマタイヤ レース総評
レースウィークを通じ、不安定な天候が続いた第3戦スポーツランドSUGO。大半の走行セッションではウエット宣言が出ていたものの、実際にレインタイヤを装着して周回する機会は極めて少なかった。そんな中、予選では新たなコースレコードが誕生するなど、印象的なパフォーマンスも見られた。決勝の展開を含め、高口紀貴氏にSUGO戦を振り返っていただいた。
「予選に関しては、落ち着かない天気でちょっと意地悪をされたような感じでしたね。一方、気温23度、路面温度24度の中、Q2アタックでは山本尚貴選手がコースレコードを更新(1分03秒953)をしましたが、思わず(モニターを)二度見しました。1分4秒台でコースレコード更新というのは想定内だったのですが、”03”と数字が目に入ったので『あれ? なんの数字だっけ?』と思わず見直したんです(苦笑)。そのくらい驚きました。まぁ、SF19になって何年か経てば、1分03秒台のタイムを出すのは間違いないだろうと思ってましたが、こんなに早いタイミングで出るとは思わなかったですね。Q2の路気温が適切だったというよりも、むしろ体感的に温度が20度を切るくらいのほうが、エンジンにとって都合が良かったのかなと思いました。
一方、今回はQ1をふたつのクラスに分け、各10分間の走行が行われたわけですが、どうして各10分間になったのだろうと思いました。10分の場合、ミディアムタイヤでもワンアタックしかできないし、ワンアタックであれば時間が余ってしまうからです。多くでも計測2ラップ、アウトラップを入れても3ラップ分あればタイヤは十分に温まります。計測2ラップ目でもアタックできなくもないし、そうするとせいぜい5ラップあれば十分なんです。けれど10分では2回のアタックはできません。そうなったときにステイするのかどうか。さらにミディアムはタレないのでむしろドライバーが何周も走り込んでいけば、フューエルエフェクト分は速くなっていくという可能性もあります。ただ、ニュータイヤを装着した場合は、(周回を重ねると)ピークからは下がっていきますからね。結果、10分って中途半端だと感じました。仮に7分という時間であれば、ワンアタックだという気持ちでみな一斉にアタックしたようにも思います。計測3ラップ目でアタックし、4ラップ目でもう一回トライできるかどうか…というほうが面白かったかもしれないですね。まぁ雨の心配もあったので、今回は天候に左右された部分もあるかと思います。
決勝は、上位陣がソフトとミディアムにバランスよく分かれました。前回のようにミディアムを一発で終わらせて…というような形ではなく、ソフトで行けるところまで行って、最後にミディアムを、という戦略で山本選手は勝ったわけですし。SUGOのレースはいつも荒れると言われますが、今回はそれなりに安全に終わったわりには見どころもあって、いいレースになったのではないでしょうか。また、トップの山本選手はソフトタイヤでスタートし、51ラップを終えてピットインしましたが、本来であればフルにプッシュした場合はタイヤが持たないので、どこかで調整していたと思いますね。
次の富士戦はもう夏のレースになります。今回のレースでSUGOの67周をソフトタイヤで走ったという実積ができてしまったのですが、それを次もやられるとちょっと怖いですね。レーシングタイヤは、いきなりグリップがなくなるんです。100からゼロになるくらいで怖い部分もあるだけに、どうなるだろうという感じがします。それよりも大事なのは、ドライバーに気持ちよく走ってもらって最高のパフォーマンスを引き出してもらうのが一番だと思っています。今回、ソフトタイヤとミディアムタイヤのバランス(スタート時の装着比率)が半分くらいに近づいていました。戦略がふたつに分かれたわけですが、その戦略が富士ではどう変化するのか、ですね。新しい戦略が出てくることを期待しています」