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2019年第5戦 レースのシナリオ

2019年8月15日

■レース距離:249.67km(ツインリンクもてぎ ロードコース4.801379 km×52周)
(最大レース時間:1時間30分 中断時間を含む最大総レース時間:2時間10分)

■予選方式: ノックアウト予選方式
ノックアウト予選方式 (Q1:20分間 20→12台 Q2:7分間 12→8台 Q3:7分間)

■タイヤ:横浜ゴム製ワンメイク
ドライ2スペック(ミディアム,ソフト), ウェット1スペック

■タイヤ使用制限
ドライ(スリック) 競技会期間中を通して6セット
そのうち新品はミディアム2セット+ソフト2セット
前戦までに使用した中からの”持ち越し”タイヤは3セット(ミディアム,ソフトは問わず)
金曜日の占有走行は持ち越しタイヤのみ使用、土・日曜日の競技会期間における走行はマーキングされた6セットを使用する。すなわち持ち越しタイヤの中から2セットを選択し、新品4セットを加えた組み合わせで、フリー走行1、予選、フリー走行2、決勝レースを走る。
予選について、Q1はミディアム装着が指定される。Q2、Q3は指定なし。
ウェット 競技会期間中を通して4セット

■予選における使用タイヤ
Q1 においてはミディアムタイヤを使用しなければならない。
■決勝中のタイヤ交換義務:あり
・ 決勝レース中に2種別(ミディアムとソフト)のドライタイヤを使用しなければならない。
・ スタート時に装着していた1セット(4本)から異なる種別の1セットに交換することが義務付けられる。車両に同時に装着する4本は全て同一種別でなくてはならない。
・ 決勝レース中にウェットタイヤを使用した場合は、タイヤ交換義務規定は適用されない。
・ 先頭車両が1周目を終了した時点からレース終了までに実施すること。タイヤ交換義務を完了せずにレース終了まで走行した車両は、失格。
・ 先頭車両がフィニッシュ(68周完了)する前に赤旗中断、そのまま終了となった場合、タイヤ交換義務を実施していなかったドライバーには結果に35秒加算。
・ 赤旗中断の中で行ったタイヤ交換は、タイヤ交換義務を消化したものとは認められない。ただし、赤旗提示の時点でピットにてタイヤ交換作業を行っていた場合は、交換義務の対象として認められる。

真夏のツインリンクもてぎにおけるタイヤの“使い方”
・ツインリンクもてぎのコース、路面は「タイヤに厳しい」という某トラック・エンジニアの証言もある。一気に速度を落とすブレーキングを1周4~5回繰り返し、そこから一気に向きを変えて一定円を描く旋回をするという走行パターンゆえに、タイヤのトレッドを一方向に削るような摩擦が多い、という面もありそうだ。
・その一方で、SF19の車両特性と幅が広がったフロントタイヤの組み合わせは、このコースではSF14よりも「向きを変えやすい」はずである。
・ここまで4戦の中で、ドライ路面で戦われたレースは第2戦オートポリスと第3戦SUGO。そのラップタイム推移を振り返ると、ソフトタイヤがそれなりのグリップ・パフォーマンスを維持するのは、すなわち新品かそれに近い状態のミディアムタイヤと同等のラップタイムまで落ちるのは、走行距離で160~180km程度か。もてぎの周回数では33~38周程度という計算になる。
・しかし、ここまでは路面温度があまり高くなかった。真夏の暑さと陽射しによって路面温度が40℃を上回るようだと、ソフトタイヤの摩耗が急速に進む可能性がある。ミディアムタイヤについては、ここもてぎでの真夏のレースを想定してコンパウンドを選んでいるだけに、極端な摩耗進行の心配はない。

■燃料最大流量(燃料リストリクター):90kg/h(119.2L/h)
■オーバーテイク・システム: 最大燃料流量を10kg/h 増量(90kg/h→100kg/h)
ステアリングホイール上のボタンを押して作動開始、もう一度押して作動停止。
レース全体を通して100秒間作動可能。
一度作動させたらその後100秒間は作動しない。
100秒間使用で燃料消費量増分は277.8g、367.9cc。
(日曜日朝のフリー走行で40秒間まで使用可)

・OTS作動時は、エンジン回転8000rpm手前から回転上限までの「出力一定」状態が燃料増量分だけ維持される。その回転域から落ちない速度・ギアポジションでは、コーナーでの脱出加速から最終到達速度までこの出力増分が上乗せされる。
・ツインリンクもてぎのコースレイアウトを考えると、まずはヘアピン立ち上がりからダウンヒルストレートで作動させて、加速と到達速度を高めるのが、追い越しにもラップタイム短縮にも効く定石の使い方。
・最終ビクトリーコーナーからメインストレート、1-2コーナーからの直線、3-4コーナーからの直線と、立ち上がり加速を強めるためにOTSを作動させるのも、前を行く車両との差を詰める、ラップタイムを切り詰める、どちらに対してもそれなりに有効。

■決勝中の給油作業義務:なし
■燃料タンク容量:ぎりぎり満タンで95L(その全量を使い切るのは難しいが…)
上記満載時のガソリン重量 約70kg
燃料流量上限規制(燃料リストリクター)の設定90kg/hでのレースについて、今年の実績を見ると、2.5km/L(3.31km/kg)程度で走れそう。もちろん「リフト&コースト(加速の終端で少し早めにアクセルペダルを戻し<リフト>、惰行<コースト>を挟んでブレーキングに移るドライビング技法)」の使い方によって、もっと良い燃費を示しているケースもある。
とはいえ、ツインリンクもてぎコースレイアウトでは、1周4回、アクセルペダルを一気にいっぱいまで踏み込んでの脱出加速、ダウンヒルストレートではそこからトップスピード領域まで、全開走行が必須であり、燃費には厳しい傾向がある。
レースでの燃費を2.5km/Lと仮定しよう。すると250kmのレースを走り切るのに必要な燃料総量は約100L。実戦ではこれに低速周回3周分(ピット→グリッド/フォーメーションラップ/ゴール→車両保管)+OTS作動による消費量増加分、合わせて約2Lが加わる。すなわち、燃料タンク満タンでスタートした場合、8~9L(6.0~6.8kg)の燃料をレース中に補給する必要がある。

■ピットレーン速度制限: 60km/h
・レース中ピットレーン走行によるロスタイム:およそ20秒(近年のTRMでのレース状況から概算した目安程度の値)。ピットストップによって”消費”される時間はこれに作業の静止時間が加わる。
・ピットストップ: ピットストップ戦略を組み立てる基本的な要素について整理しておく。
タイヤ4輪交換を燃料補給と同時に実施する場合、タイヤ交換は3名で実施。静止時間は11~13秒程度。
タイヤ4輪交換だけならば5名で作業し、静止時間5~6秒程度。
タイヤ交換のためのピットストップが義務付けられているので、そこで燃料も補給する場合、ガソリンの流量は毎秒2.5L(1.89kg)程度かと思われるので、フルタンクでスタートした場合の不足量約8~9Lを補給するだけなら、燃料補給ノズルを車両に接続している時間としては3.2~3.6秒、これにノズルの抜き差しにかかる1秒ほどを加えた時間で燃料補給が終わる計算になる。
ここまでの想定値に基づく、満タンでスタートした場合の”ピット・ウィンドウ”(燃料補給のピットストップが1回で済む周回数)は3周完了~48周までの間のどこか、と見込まれる。(極端な燃料消費節約走行をしない/セーフティカー・ランなどがない、という前提で)
タイヤ交換のためのピットストップで燃料補給も実施するならば、作業者3名でタイヤ交換に費やす12秒をフルに使えば、燃料補給ノズル接続時間は11秒、27.5L(20.7 kg)を補給できる。スタート時にその分だけ燃料搭載量を減らすと、満タンでスタートするのに比べて20L弱、15kgほど軽い状態にできる。この場合、ピット・ウィンドウが“閉じる” (燃料タンクが空になる)のは平均燃費2.5km/Lで39周完了あたり、となる。

さてそうなると、今回のレースを戦うストラテジーの選択肢は…
A.基本は「1ストップ」戦略
・スターティンググリッド前方の位置を占めたドライバーとしては、グリップ発動と初期グリップ・レベルが高いソフトでスタートし、そのタイム推移の状況を追っていって、ミディアムのペースと交差するところでピットイン、ミディアムに交換、というのが定番戦略になりそう。
・路面温度がきわめて高くなるなど、ソフトタイヤの摩耗進行が早い、あるいはどこまで走れるか不安要素が多いと判断した場合、ソフトタイヤでスタートし、ピット・ウィンドウが「開く」タイミング、3~4周目にピットインしてミディアムタイヤに交換、燃料も満タンまで補給して、そのままゴールまで走り切る、という作戦も保守的な策として考えられる。
・オートポリス、SUGOではソフトタイヤでスタートして1周目にピットイン、ミディアムタイヤへの交換と燃料補給を行う、という作戦を採って後方スタートから順位をゲインしたドライバー/車両が少数だがあった。残り246kmを95Lの燃料で走り切るためには、リフト&コーストを含めて相当にペースを抑えて走らなければならない。途中で長めのセーフティカー・ランがあれば、など他力依存の作戦となる。
・ミディアムタイヤでスタートし、全体の流れを見ながらソフトタイヤで走行可能な周回数を残すところまで走ってピットイン、タイヤ交換、という作戦もありうる。中団スタートで、ミディアムタイヤのレースペースが速い場合は順位を上げられる可能性あり。
B. 「2ストップ」戦略がありうるとすれば…
・路面温度が高くなってソフトタイヤの摩耗進行が早い場合、全ての周回で「より速く走る」ことを狙い、かつソフトの性能変化(グリップ低下、いわゆるデグラデーション)に柔軟に対応するためのアプローチは? と考えると、ソフトを2回、ミディアムを1回履く「2ストップ」の可能性が浮かび上がる。グリップの高さを活かしてまずスタートダッシュ、そこからのラップタイムの落ち具合(デグラデーション)を見てグリップが急に落ちてきたところでタイヤ交換、再びソフトを履かせて送り出す。そしてまたデグラデーションを見ながら(路面にラバーが乗ってゆき、燃料搭載重量も減ってゆくので、最初のソフトよりも速く走れる周回数は伸びるはず)、最後にミディアムタイヤに交換。他よりも「フレッシュな」ミディアムで速いペースで走る。つまり、ソフト→ソフト→ミディアムが基本となりそう。
・昨年は平川亮がこのソフト→ソフト→ミディアムの2ストップ作戦を敢行、予選9番手から最終的に2位を獲得している。

ツインリンクもてぎという“舞台”
ツインリンクもてぎ・ロードコースは「典型的な“ストップ&ゴー”型のコースレイアウト」と言われている。その言葉から連想されるのは、「一気にブレーキング→旋回→一気に加速」というドライビングが繰り返されるコース…というイメージ。大枠としてはそういう理解で良いわけだが…。
ドライビングと車両運動から見ると、まず1コーナー、3コーナー、5コーナーと、舵を直進に保ったまま、車両がまったく旋回運動をしていない中での単純なブレーキングを行うポイントが続く。ヘアピン、ダウンヒルストレート・エンドの90度コーナーも平面形としては同様だが、その手前からの車両運動や、並走する車両との位置関係から旋回制動になる状況が増える。しかしこの「直線運動だけのブレーキング」の繰り返しが、国内外のサーキットの中でこのコースを特徴づけるポイントとなっている。そのブレーキングの先に待ち構えるコーナーは、今日のレーシングマシンから見ると、旋回の速度域、旋回を維持する”深さ”などがある範囲に集中しているのも、このコースの特徴。

◆ツインリンクもてぎのセクター平均速度
*2018年スーパーフォーミュラ第5戦 予選最速タイム(Q3:石浦宏明)にて計算

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