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クリーンファイト、そして涙 テクラボ第4戦レビュー

2021年8月24日

両角岳彦

2日それぞれ異なる路面での競争

土曜日は雨。予選の路面はウェット。日曜日は曇りから晴れへ。決勝はドライ路面に変わる。はっきりそう予測できる金曜日、レーシングチームの、中でもエンジニアリングスタッフの中には、ちょっとだけ気持ちが重くなるメンバーが多いんじゃないだろうか。少なくとも、私がその立場だったらそうなる。なぜかといえば…
チームとトラック・エンジニアとしては、マシンをファクトリーから送り出す段階の車両仕様、いわゆる「持ち込みセット」として、まずはドライ路面の予選に向けた設定にするところが多い。福住仁嶺が駆る#5を担当する杉崎公俊エンジニアも「いつもそうしてます」と語っていた。しかし九州・オートポリスから戻って1か月のインターバルの後、東北の地、スポーツランドSUGOのピットに運び込まれた19台のSF19は、金曜日夕方にはメカニックたちの手によって、ウェット路面を想定したセッティングへと手直しが加えられていた。いつもよりもちょっとだけ慌ただしげなレースウィークの始まり。
その作業自体は、つまり各輪のアライメント調整、車高調整、バネやダンパーなどの組み替えや調整、それらの、その確認でもあるコーナーウエイト(4輪の静的荷重。机や椅子を考えればわかるように「四本脚」が均一に接地する状態にするのは、じつはかなり微妙で難しい)とホイールアライメントや車両姿勢の測定と微調整、そしてもちろん前後ウィングの設定…などなどのセットアップ作業は走行セッションの間に必ず行うルーティンになっているから、ピットを設営してそこにマシンを持ち込み、組み上げるという準備作業に「ひと手間」が増える程度、ということもできなくはない。
問題は、天候の変動によって路面が変化するわけで、その時々の「グリップレベル」の予測が立てにくいこと。微細なセットアップを決めてゆくトラック・エンジニアとそのサポートスタッフにとって、コンディションが安定していれば、実走行データの解析から路面の状態を推定し、その先でマシンの群れが走ることでどんな変化が起こるか、これまでのデータと経験の蓄積をベースにかなり確度の高い予測ができる。でも、天候と路面状況が日々変わる中ではそれが難しくなる。とりわけこの週末は、金曜日の夜から雨が振り出して土曜日の路面はフルウェット、しかも刻々と水量が変化する。セッティングもドライビングもまずは「ぶっつけ本番」。そこから日曜日に向けて雨は降り止み、朝からドライ路面へ。そうなるとまず、晴れた週末なら路面にタイヤのコンパウンドラバーの付着が進行しているのだけれど、それがない状態。というよりも雨で路肩・路側から流れ込んできた土や細かなゴミが残っていたり、そしてもちろん舗装面の凹凸の底には水分が残っているので、走り始めはタイヤとの摩擦が低く、路面が乾くのと「ラバーが乗る」のにつれてグリップが変化してゆく。朝のフリー走行はこの過渡期。その中で午後の決勝レースの路面をどう予想し、そこに向けたセッティングの”煮詰め“をどう進めるか。こういう流れになるので、2日間をずっと安定しない路面の上で、その先に起こる変化を予想して進めてゆくしかない。ミリ秒レベルのセットアップを追求するスーパーフォーミュラとしては、いちばん面倒な天候と路面の変わり方なのである。

関口、毎瞬変化する水膜の滑りを超える。

でも、その中で最善の結果を求めて試み、攻める。土曜日は雨が弱まったりまた降ってきたりで、予選は完全なウェット路面。ここSUGOのコースは今シーズン前の改修で、走路外側のランオフエリアの舗装面にスリット状の溝を加工して、斜面から流れ込もうとする雨水を導き、コース上の「川」がずいぶん消えた。逆に、一部に再舗装が施されたことと合わせて、昨年までの「ウェットのSUGO」の走り方がそのままには当てはまらなくなったとも見受けられた。しかし「滑る路面」の難しさはいつも変わらない。雨の降り方次第で路面とタイヤの摩擦は場所場所で、一瞬一瞬で、変動する。ドライバーはそれを感覚で捉えて、4つのタイヤをどこまで滑らせるか、そのバランスから生まれるマシンの運動をコントロールする。全身のセンサーを接地感と車両運動を感じることに向ける集中力、さらに気迫の勝負。ここで他に一段勝る切れ味を1周に凝縮してみせたのは、関口雄飛だった。
この日の朝には、予選はノックアウト方式のまま、Q2も7車ずつの組分けにして行うことが、公式通知として発表された。前戦オートポリスでは降雨量も多くノックアウト予選から30分間の計時予選に変更したものの、コースアウトからの赤旗中断が繰り返され、前者が一斉にコースインすると前方にいた方が有利、という状況になったしまった。それも踏まえての修正策であり、Q1が9車もしくは10車、Q2が7車、Q3が8車が同時にコースに入る形となった。ここで週末2日間で使えるウェットタイヤは4セット。翌日に履くことはないのが確実なので、Q1からQ3まで、それぞれに新品を投入するのが定石か。予選が始まり進んでゆく中で、路表面の水膜はさほど厚くはなく、タイヤとしては縦方向に水を押し出す排水性に加えて、ブロックの角が路面に向かう圧力で水を切る「エッジ効果」を引き出すことが欠かせない状況だ。
Q1のA、B2組、そしてQ2A組まではアタック中のコースアウトもなく、順調に進行。しかしQ2B組では雨足が強まる中、7分間のセッションの5分が経過、つまり各車がアタックに入っている中で松下信治が馬の背でコースアウト。ほぼ同時に坪井翔が1コーナーを回り込んだ先で左リアタイヤを縁石に乗せてスピン、リアをグラベル側に出した状態でストップしてしまう。この時、坪井は1分21秒台から1分20秒100にタイムを詰めてタイミンングモニターの最上列に上がったところだった。しかしこの2車を排除するために赤旗が提示され、その原因を作った彼らのタイムは抹消扱いとなってしまう。
そして残り3分まで時計の針を巻き戻して走行再開。残り5車の中から1車だけがノックアウトされるという状況の中、福住は赤旗前に1分20秒597、G.アレジは1分21秒079のタイムをマークしていたが、野尻智紀、関口、大湯都史樹の3人はこの1周のアタックでタイムを出さなくてはならない。このやり直し1周のアタックを関口は1分20秒791で走り、関門クリア。大湯の1分21秒389に対して野尻は1000分の19秒及ばず、Q3進出を逸してしまう。前戦オートポリスの雨の決勝では、誰よりも鋭く速く走ってみせたのだったが。
この時点で、Q3進出を決めた8車の内訳は、ダンデライアンとTOM’Sが2車ずつ。無限の大津、インパルからは関口(トヨタWEC車両のテストに出向いた平川亮は帰国後の自主隔離期間が満たせず欠場)、セルモINGINGの阪口晴南、ナカジマの大湯。そのQ3、雨足が少し強まったように見える中で始まった。7分間のセッションの中でアウトラップからもう1周タイヤをウォームアップ、そこからペースを上げて行って、残り時間をチェッカードフラッグを潜るまで走り続ける。今回は皆がこのパターン。そのペースアップから2周目にタイミングモニターの最上列に名前を刻んだのは、今回は先頭でコースインして行った宮田莉朋でそのタイムは1分19秒799。そこから約30秒後、「19関口雄飛」の名前と「1分19秒231」のラップタイムが最上列に飛び込んできた。そのまま最終周回に入っていきセクター2、セクター3と全体ベストの区間タイム、セクター4は前の周より0.1秒ほど落ちたがそれでも1分19秒272、と2周にわたってこの時、この路面で誰よりも速く滑るマシンを操った関口。これまでのリザルトと勝った時の戦いぶりから「得意なコース」だと受け止められているSUGOで、アスリートとして「ゾーンに入った」ドライビングができたのではないか。それが彼自身にとっても久々のことだったのを示すように、コントロールタワー前のポールシッター定位置にマシンを止め、そのコックピットから降り立った関口の目には光るものがあった。

晴れた。乾いた。

一夜明けて。予報どおり雨はすっかり上がり、朝のフリー走行でも始めから、あるいは最初の1周だけ状況を確かめて、全車がドライタイヤでコースインして行った。とはいえコース上はそこここにウェットパッチが残り、舗装面の凹凸の奥には水分が残っている状況。19台が走行を重ねる中で刻々と路面状態は変わってゆくけれど、午後の決勝レースまでには、そしてその53周が進行する中ではさらに、路面は変わり続ける。
そんな中で、このフリー走行でどんな「メニュー」を消化するか。走り始めから連続周回に入っていったのはまず福住仁嶺、そしてTOM’Sの2車、坪井といった面々。ポールシッターの関口は最初は何か確認の走行、そしてアウト~インの1周(これは新品タイヤのスクラブ=皮剥きか)などの後、ロングランに入った。
1時間のセッションの終盤には、レース・シミュレーションをしていた車両も燃料搭載重量が少なくなってきてラップタイムが速くなり、最終的には大湯の1分06秒749を筆頭に、19車が0秒992の中にひしめくという、いかにもスーパーフォーミュラらしい計時結果となった。さてここから決勝へ、皆はどう知恵を絞ってくるのか…
太陽が中天にかかるお昼時には全天の中に雲が占める割合が減り、スーパーフォーミュラのマシンたちがスターティンググリッドに整列した頃には東北といえども強さを増した陽射しが空気を温め、そして路面温度を上げる状況になってきた。朝のフリー走行の時よりも路面温度がかなり高くなる。そこでタイヤがどこまでグリップレベルを維持するか、予測が立てにくい状況からのスタートになる。スタートで履くタイヤの内圧をどのくらいにセットするか。走り出してすぐに踏ん張りのバランスが良くなるように、少し高めにセットするか、暖まりが早くなるはずなので、その先でグリップとケース(タイヤの骨格)のたわみのバランスが良くなるようにするか、このあたりもトラック・エンジニアが頭を悩ますところ(のはず)だ。さらにレースが進んでゆく中で、自車のラップタイムの推移とドライバーからのフィードバックを聞いて(もちろん無線で)、気温と路面温度の変化、ここではもちろん低下してゆこことを想定し、2セット目のタイヤの冷間時内圧を100分の1気圧単位で調整してから履き替える。これもレース後半の、燃料搭載重量も減ってゆく中でのラップタイム・ペースに直接影響する「鍵」のひとつ。タイヤ内圧の選定ひとつ取っても、エンジニアのお仕事はほんとにシビアなのである。

福住、“速さ”のポテンシャルを証明する。

13時33分55秒、レッド5灯のスタートシグナル、ブラックアウト。関口はジャストミートの発進、そして加速。これに対してすぐ左後ろのグリッドに付けた牧野任祐は蹴り出しが遅れ、1コーナーまでの加速でまず阪口、福住、そして大湯にまで先行されてしまう。1周目はそこで各車のポジションが決まりつつ隊列が形作られて行く中、山本尚貴、松下の先行を許してグリッドから2つポジションを落としていた野尻が馬の背で山下に並びかけ、まずは11番手へ。
そして2周目に入った中での焦点は、阪口を追う福住の走り。セクター2からOTS発動、最終コーナーから登りストレートにかけて阪口とのギャップを一気に詰める。1コーナーに向けてイン寄りのラインを取ってディフェンスする阪口に、アウト側から並びかけてターンイン…。ここで阪口も曲がる動きに対して減速が十分にできずにワイドな旋回になり、福住はその動きを回避しつつアウト側を回り込もうとする。そこで阪口のマシンは踏ん張り切れずにテールスライド発生。そのリアタイヤが福住車のサイドポンツーンに軽く接触、その動きを逃げて緩やかな旋回軌跡になった福住は縁石外側の舗装エスケープゾーンに踏み出し、そのまま旋回。阪口もサイドウェイしつつ縁石を踏み越えるが何とかスピンには陥らずに、しかしスピードはかなり落ちた。姿勢を崩さずに2コーナーで本コースに戻った福住がその前に出た。これで2番手。前を行く関口を追走する態勢に移る。3番手に下がった阪口の背後には大湯、牧野が接近してくる。
この、3周目・1コーナーの攻防が、後になってみればこの日の戦いの流れを福住がその手に引き寄せた瞬間だった。
一方、先行する関口は逃げに入れればここでの彼の「勝ちパターン」にはまるのだが、この日はそう簡単にはいかない。福住が阪口とのバトルをくぐり抜けた3周目終わりでは2.3秒まで開いたギャップは、8周目に2.55秒とわずかに開いたものの、そこからじわじわと削られて11周目終わりでは1.15秒。ここで関口も踏ん張るが彼我の間隔は変わらない。チームインパルのピットではルール上最短の10周目を前にタイヤ交換の準備に動くが、ここは福住車担当の杉崎公俊エンジニアも「あそこではまだない、と思って見てました」しかし関口+柏木良仁エンジニアのコンビはあえて引っ張らずに、17周を完了するところでピットロードにマシンを滑り込ませた。タイヤ交換の静止時間7.6秒。
これに対して福住+杉崎コンビは「基本は(先行車がピットに入った)次の周(にカウンターを打つ形で入る)」と考えていたという。異なる策としては「前が開いてクリーンエアで走れるようになったのを活かして速いラップを重ねてから…」なのだが、ここでは17周目を走る中で「前(関口)が次の周に入るから、そこで1周ペースを上げて。OT(オーバーテイクシステム)も使って」と「プランA」を即、選択した。福住はこの18周目を、前の周と比べてセクター2とセクター3で0.461秒、ピットレーン装甲を含むセクター4でも0.022秒速く走って戻ってきた。そこからのタイヤ交換は静止時間7.1秒。この二人のタイヤ交換へのインラップと冷えたタイヤで走り出したアウトラップの2周回に要したタイムを計算してみると、関口が178.335秒だったのに対して福住は174.425秒。福住のほうがじつに3.910秒も速かったのである。
その結果、19周目を終えて計時ラインに戻ってきたところで、福住は関口との間に2.24秒のギャップを作っていた。いわゆる「オーバーカット」がこれほど鮮やかに決まることはなかなかない。逆に新しいタイヤでのペースが上がらない関口は、最短の10周完了でタイヤ交換に飛び込み、その作業で若干のタイムを失ったもののニュータイヤの“一撃”も引き出して速いラップを続けてきた大湯に一気に迫られ、20周目に入る1コーナーへのアプローチでインを刺されてしまう。これでタイヤ交換を終えたグループの最上位は福住。そこに大湯、関口が続くというオーダーになっていた。

野尻、タイヤを“使う”巧みさを発揮するが…

その前方では、牧野、宮田と先頭に立ったところから順次タイヤ交換へ。前の日のウェット路面での予選で思うようなタイムが出ずスターティンググリッドが後方になってしまったところから挽回を狙い、ピットストップを遅らせていた野尻が28周目にはコース上のトップに出た。ここでタイヤ交換完了組のトップを走る福住との差は23秒弱。ピットストップ・ロスタイムとしては、つまりシーズンオフの改修で本コースとの合流点が3コーナー先まで伸びたピットロードを走り、その中で停止、タイヤ交換。発進を行った時、コース上を周回する車両に対して失う時間は37、38秒か、時にそれ以上。レース終了の1周前の52周完了まで、つまり残り22周の中で毎周回1秒ほどを稼げるか。タイヤの摩耗が進む中で野尻のラップタイムは1分8秒台の中を前後し、頑張っていることが伝わるけれども、フレッシュなタイヤで走る福住以下のメンバーのラップタイムとの差はほとんどない。

そうなると、ピットストップした後にどこに戻れるか。福住の後方になるのは避けられないが、その後ろを走る大湯との間には6秒以上の“空間”ができ、その後ろに関口。さらに3〜4秒の差が開いたところに松下と牧野が接近走行、そこに宮田が近づいている。この実質2番手以降のグループとの間にできれば40秒か、もう少しのギャップが作れれば…。
しかし40周を過ぎるまで走ってもお互いのラップタイムは均衡し、むしろ松下以下の3車との差はじわじわと縮まりつつあった。早めにタイヤ交換した何車かのペースも意外に落ちてこない。2日間とも晴れてドライ路面であれば、「競技会期間中」に供給される新品タイヤ4セットのうち少なくとも3セットは一度走った「ユーズド」になるのだが、この日はどの車両も新品4セットを残して決勝に臨んでいる。たとえ「1アタック」といえどもコンパウンドは溶け、冷やされ、消耗は始まるので、この日は周回を重ねた時のタイヤのパフォーマンスダウンがいつもよりは若干少なかった、と見ていい。
タイヤの使い方の巧みさには定評のある野尻だが、さすがにここまできて「タイヤが終わった」と無線で一瀬俊浩エンジニアに伝えてきた。41周完了でピットロードへ。そこで履き替えた野尻の1セット目のタイヤは、トレッド・コンパウンド層の厚みを示す小さな孔状の凹みが消えるところまで“完摩耗”していた。
かくてトップに戻った福住は、チェッカードフラッグが待つ残り12周を着実に周回。最後には作動時間がまだまだ残っていたOTSも使う余裕を見せて走り切った。ウィニングラップを走って表彰台の下まで戻ってきたマシンから降りた福住。いつ勝ってもおかしくないと皆が認めるドライバーの初勝利は、本人にとって周囲が想像するのよりもさらに深い鬱屈からの解放だった。そこに駆けつけ、抱き合った杉崎エンジニア。二人の目はそれぞれに潤んでいたのだった。この情景に、これ以上の言葉は要らない。

決勝レースを戦い抜いて優勝(福住)から10位までの各車・各人が53周をどんなラップタイムで走ったか、を追ったグラフ。線が枠の下まで落ちているのはピットインを示す。SUGOではピットレーン中間に計時ラインがあるので、それよりも1コーナー側にピットがあるチームの車両は、タイヤ交換作業の静止時間はアウトラップに含まれる。予選で思うようなポジションを獲れなかった大湯と松下は、ルールで認められた最短の10周完了でタイヤ交換。そこから新品タイヤ(本文でも触れたように、この決勝レースでは2セットとも未使用状態から走り出している)のいわゆる「一撃」グリップが5〜6周にわたって発揮されていることが見て取れる。他の各車も同様の推移を示しているが、とくに大湯のラップタイムのピークは、この周回ではまだ45kg前後はあるはずの燃料重量(スタート時は60kg弱だったはず)を考えると、群を抜いて速いということになる。ふだんはあまり「一撃」グリップを使わないという野尻も、さすがにこの状況ではそのピークを引き出している。これに対して関口、阪口はタイヤが新品状態の時は良いが、7〜8周してから後のペースが上がっていない。マシン・セッティングや内圧がそこに合っていなかったということだろうか。一方、福住はレース序盤の速さが阪口、関口の攻略に結びついた。18周目、ピットに飛び込むインラップのタイムがその前7〜8周のペースより0.6秒ほど上がっているのに注目。ピットロードに進入して計時ラインまで走る中でブレーキング、60km/hの制限速度で走ってのタイムである。

いつも整理し、掲載している、優勝車両(今回は福住)を基準に全車がそれぞれ各周の計時ラインを通過した時にどのくらいの差(遅れ、あるいは先行)があったか、をプロットしたグラフ。全車それぞれの間隔の変動とともに各周回の順位、その変動を示すラップチャートにもなっている。また個々の車両のラインが徐々に下に下がってゆく時は、優勝車両とのギャップが開いてゆく状況。急に折れて一気に下に向かっている周回は、ピットストップ〜アウトラップだったことを示す。ルール上最短の10周完了でピットへ向かったのは大湯、松下、高星の3車。福住は18周完了でピットイン、タイヤ交換したので、この18-19周目で他の各車のライン(通過タイム差)が一気に上に向かっている。そこでコース上では福住の前に出て周回を続けたのが8車ほどあるが、はっきり右下がりのラインになっている、ということはピットアウトしてきた福住のペースよりも遅かった、ということ。野尻はここで福住とあまり変わらないラップタイムで20周以上も周回を続けている。この野尻のラインから下に40秒のところを誰が走っているか、チームとしてはその推移を見守っていたわけだが、なかなか「空間」が良いところにできてこなかったこともわかる。野尻が最後にタイヤ交換を終えてコースに戻ったのはアレジの直前。アウトラップでOTSを使ってポジションを守り、そこから牧野に接近、オーバーテイクも仕掛けたが実らず。そうした前で、後続とのギャップを確保した福住が確実にペースを守って走り切ったのだった。

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