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「SF NEXT50」における新たな取り組みなどを紹介
2022年5月21日
2022年全日本スーパーフォーミュラ選手権のシーズン中盤戦へと向かう第4戦の舞台となるオートポリス。大会初日の5月21日、午後1時5分からサタデーミーティングが行われ、スーパーフォーミュラにおけるプロジェクト「SUPER FORMULA NEXT50」における新たな取組みついての紹介はじめ、第5戦SUGO大会についての案内が行われた。
これに先立ち、株式会社日本レースプロモーション代表取締役の上野禎久が、今シーズンから注力するカーボンニュートラルへの取り組みについて言及。オートポリス大会においても「東京電力グループさんのサポートをいただき、グリーン電力証書を発行させて頂いている」と明らかにした。また、5月11日に大分県庁2階正庁ホールにおいて実施した「出前授業」(『カーボンニュートラルとモータースポーツを考える』)では、参加した地元専門学校の学生たちがとても熱心に授業を受けた様子について、熱を帯びた質疑応答も行われたと振り返った。「若い世代に、カーボンニュートラルは”刺さるテーマ”だと肌で感じ、貴重な機会だった」と上野。次戦SUGO大会でも事前に宮城・村田高校において同様の授業が予定されており、「社会貢献と社会課題を若い世代と共有する、そしてカーボンニュートラルを通してモータースポーツを知っていただく機会を作る」ことを今後も継続して行うとした。
さらに、今大会では表彰式においてプレゼンターがマスクなしで対応していることに触れ、「業界全体としてモータースポーツを正常化させるための出口戦略の一環」であると説明。「これからは暑さという観点から見てもコロナと同様に熱中症対策という新たな健康課題もあるため、社会情勢を見ながら出口を目指し、業界として対策を協議していきたい」と語った。
続いて、「SF NEXT50」における新たな取り組みを報告。「トップフォーミュラ50年という歴史に対するリスペクト、レジェンドドライバーに対するリスペクトを今のファンに伝えていくこと」を念頭に、過去のレースアーカイブをファンに伝える機会を設け、公式YouTubeで発信することを発表した。過去の放送素材をデジタル・リマスターしたものをアーカイブ映像として公開するという。6月1日には、その第1弾として1978年に鈴鹿サーキットで開催された「鈴鹿グレート20 ドライバーズ F2」を公開するが、これにあたり中嶋悟氏と星野一義氏が揃ってJRP(日本レースプロモーション)において映像を鑑賞し、ファンとのチャットルームにも参加してもらう予定があるとした。「新しいファンコミュニケーションをやってみたい」と上野。今後は、可能な限りファンからのリクエストにも応える形でアーカイブ映像を公開していきたいという。
また、グランツーリスモ7のリバリーデザインコンテスト開催について説明。2022年シーズンの全マシン21台に加え、SUPER FORMULA NEXT50 プロジェクトでカーボンニュートラル開発テストである「赤寅(Red Tiger SF19 CN)」「白寅(White Tiger SF19 CN)」のリバリーデザインを募集するという。「今はファンの皆さんがそれぞれクリエーターになれる時代。そういう社会背景も含め、リバリーエディターの方々が実車顔負けのリバリーを作って展開されている。”公認リバリー”という形でカラーリングを用いていきたい。ファンの皆さん、グランツーリスモファンの皆さんにスーパーフォーミュラの世界へどっぷりと浸かってほしい」と、リバリーへの応募を広く呼びかけた。
その後、次回第5戦の開催サーキットとなるスポーツランドSUGOの遠藤渉社長が登壇。「スーパーフォーミュラではスーパーフォーミュラNEXT50プロジェクトを発表してから、今回の第3戦までたくさんの新しい取り組みが進められておられる。私たち、開催するサーキットとしてもモータースポーツの発展に向け一緒に取り組んで参りたい」と挨拶した。また、2020年11月から着手していたリニューアル工事が今年3月をもって完了したと語り、「伝統・機能・スタイリッシュをコンセプトに、蔵王連峰と調和した美しいサーキットに生まれかわった。第一コーナースタンドから見る蔵王をバックに、最終コーナーを駆けのぼり、新しいピット前を疾走する迫力マシンの絵は圧巻」と、新たなサーキットの醍醐味をアピール。レースウィーク中に実施するイベント告知とともに、新緑まぶしい季節に開催されるレース観戦に合わせ、東北ならではのグルメや観光も堪能してほしいと来場を呼びかけた。
その後、質疑応答において、SUPER GT第3戦富士大会において発生した大クラッシュについての見解を問われた上野。「他のカテゴリーで起きた件につき、詳細についての理解はしていない」と前置きした上で、「SUPER GTの事故とは関係なく、JRPのポリシーというか考え方として大事にしていることは、”安全には限界がない”ということ」だと伝えた。「モータースポーツにはアクシデントが付きものであり、アクシデントは起きる。その時にしっかりと安全に配慮し、いろんな考え、知恵を貯めておこうと。(SF車両)開発テストでも、必ず最初にミーティングにおいて安全に運営するための約束事を確認し合っている。テストなのでそういう(アクシデントが起こる)ケースもあるので、そこはしっかりとやっていこうと啓蒙、啓発を行っている」とJRPとしての取り組みを語った。さらに「事故が起きた時に”責任を人に置かない”ことを大事にしている」と述べ、「大きな考え方としてつねに安全を最優先にし、危険と隣合わせのドライバーやそこにいるお客様を守ることにすべてを捧げたい」とした。
また、昨年から始まったFRDA(フォーミュラ・レーシング・ドライバー・アソシエーション)との意見交換の場についても言及。「ドライビングマナーを含め、いろんな事象が起きたときに全員で振り返り、みなでリスペクトし合う環境を作っている。昨日も夕方に1時間ほどミーティングをし、(SUPER GTの)テーマも出た。その中で課題をドライバー同士で共有し、互いの考えを発信し、コミュニケーションをしっかり行いながらプロモーター、オーガナイザー、選手のお互いの信頼関係を築く取り組みをしている。今後もしっかりとやっていきたい」と継続的に意見交換を重ね、最善の対策を取りたいとした。雨に見舞われ、タフなコンディションの中でアクシデントもセーフティカーもなく激闘を繰り広げた第3戦鈴鹿について、「うまくいったけれど、そこに課題があったことは明白。21台が全員すばらしいマナーとドライビングでSCを出さずにレースを終えることができたのはすごいことだと思っている」と振り返った上野だが、「でも彼ら(ドライバー)の声は『危険だった』と。ハード面に対して『こういうことをしてほしい」という声も出ている」と明かした。最後には、”安全なくしてスーパーフォーミュラなし”という言葉を引き合いに出し、改めて「今後も高い意識を持って対策を続けていきたい」と締めくくっている。