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第5回CN開発テスト インサイドレポート

2022年7月21日

波乱のレースとなった全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦から一夜明けた静岡県富士スピードウェイ。笹原右京(TEAM MUGEN)初優勝の興奮も冷めやらぬ7月18日(月)〜19日(火)、現地では2日間に渡って「SUPER FROMULA NEXT50」プロジェクトの柱の一つ「カーボンニュートラルの実現に向けた素材・タイヤ・燃料の実験」、「ドライバーの力が最大限引き出せるエアロダイナミクスの改善」を目的とした開発テストの5回目が行われた。今回、富士スピードウェイでは、開幕大会直前に行われたテストに続いて、2回目の走行となっている。

先週から不順な天候が続いていた静岡県東部地方。しかし、テスト初日は前日の決勝レースと同様、ドライコンディションとなる。早朝には雨がパラついた時間帯もあったが、その後は天候が回復。晴れ間が広がり、午前中から蒸し暑いコンディションとなっている。毎回持ち回りとなる車両のメインテナンスに関しては、今回ホンダエンジン搭載のホワイトタイガーSF19 CNをTEAM GOHが担当。トヨタエンジン搭載のレッドタイガーSF19 CNをKuo VANTELN TEAM TOM’Sが担当。JRPの上野禎久社長や永井洋治テクニカル・ディレクター、土屋武士アンバサダー、さらにTRDやHRC、横浜ゴムのエンジニアたちが見守る中、今回も塚越広大、石浦宏明の2人が精力的に周回を重ねた。また、今回はレース後に居残る形で、佐藤蓮(TEAM GOH)と三宅淳詞(TEAM GOH)もチームに帯同。今後の勉強のために、ピットでテストの様子を見学していた。

初日最初のセッションは、午前10時から12時までの2時間。セッション開始時には、かなり雲もあったものの、気温24℃、路面温度30℃。その後、晴れ間が広がり、2時間後のセッション終了時には、気温が27℃、路面温度は38℃まで上昇した。
この最初のセッションでは、まず空力テストが行われた。ホワイトタイガーSF19 CN、レッドタイガーSF19 CNともに、赤い帯が入ったレギュラータイヤで、まずは持ち込んだマシンのセットアップを確認。リヤウィングの仰角は、富士で通常使われる23度でスタートした。そこからセットアップを調整して行き、午前10時40分頃からは最初の追走テスト。レッドタイガーSF19 CNが前、ホワイトタイガーSF19 CNが後ろというポジションで1周。ストレートでポジションを入れ替えて1周と、2周のテストを行っている。その後、ピットに入った両マシンは、そこから仰角を削り、レスダウンフォース仕様に。その角度に合わせてのマシンセットアップを調整した後、午前11時40分頃からは、レスダウンフォース仕様での追走テストを行った。今回、この追走テストは、全て赤い帯のレギュラータイヤで行われている。
また、この朝のセッションから、ホンダ陣営はエンジン音のテストを実施。前回のSUGOテストでは、トヨタ/TRDがメインパイプとウェイストゲートパイプを試作して持ち込んだが、今回のホンダ/HRC陣営は、メインテールパイプをそのままに、長さが違う3種類のウェイストゲートパイプを試作して持ち込んだ。シミュレーションと設計に当たったのは、株式会社ホンダ・レーシング四輪開発部。F1エンジンの設計を担当した部署のメンバーが、F1で培ったノウハウを注ぎ込んで作ったものだと言う。午前中のセッションでは、持ち込んだ中で、真ん中の長さの物をテスト。この時点である程度低回転域から高回転域までの音を確認した結果、今回持ち込んだ一番短いものは高音域だけしか変わらないと判断し、朝の時点でテストしない決定をしている。
この午前のセッションでは、塚越がステアリングを握るホワイトタイガーSF19 CNが41周を消化して、1分24秒028というベストタイムをマーク。石浦がステアリングを握るレッドタイガーSF19 CNが39周を消化して、1分24秒007というタイムをマークしている。


2時間のインターバルを挟んで、2回目のセッションが始まったのは、午後2時。この頃になると、富士の空は雲に覆われ、メインストレートには心地よい追い風が吹いていた。しかし、開始時の気温は29℃、路面温度は42℃まで上昇。そこから次第に涼しくなり、セッション終了時には気温が25℃、路面温度が37℃まで低下している。
この午後のセッションでのメインメニューはタイヤテスト。午前中の後半と同様、ダウンフォースを削った状態で、まずは両車ともに赤い帯のレギュラータイヤでコースイン。マシンの状態を確認した後、グリーンの帯が入ったタイヤテストに入ったが、最初にケーシングのテストを行った。今回、テスト用に持ち込まれたのは、D、E、Fと3種類のケーシング。EとFに関しては今回新たに持ち込まれたものだが、それぞれケーシングDをベースにして加工製を高めるためにチューニングを施したり、使われている材料の比率を変えたりしたものだ。その3種類のケーシングに、現在使用されているレギュラーのコンパウンドを乗せたものをこのセッションではショートランでテストしている。またセッションの最後には、コンパウンドもテスト。現在使用されているレギュラータイヤをベースにしたコンパウンドHをショートランでテストした。このコンパウンドHも、今回新しく持ち込まれたものだ。
また、塚越が乗るホワイトタイガーSF19 CNは、午後のセッションで持ち込んだウェイストゲートパイプの中から一番長いものに付け替えて、音のテストを続行。午前中に装着していたもの以上に、圧のある大きな音を響かせていた。
このセッションでは、ホワイトタイガーSF19 CNが45周を消化して、1分22秒776というベストタイムをマーク。石浦が乗るレッドタイガーSF19 CNは53周を消化して1分23秒372というベストタイムをマークしている。

テスト2日目となった19日(火)は、朝からどんよりとした曇り空。午前8時頃には雨が降るタイミングもあった。しかし、その後一旦雨は止んでしまう。そのため、気温23℃、路面温度28℃というコンディションとなった午前10時からのセッションは、スリックタイヤで走行を開始することになる。しかし、走行開始から30分ほど経つと、開発陣待望の雨が本格的に降り始めた。そのため、午前10時45分頃からはいよいよウェットテストに入る。それに向けて、ピットでは、両チームが車高を上げたり、マシンにウェットセットアップを施して行った。
この時点では、まだ路面が一部ウェット、一部ドライだったため、土屋アドバイザーの提案により、塚越が乗るホワイトタイガーSF19 CNと、石浦が乗るレッドタイガーSF19 CNは、テストメニューを分けることに。まずはホワイトタイガーSF19 CNが現在使われているレギュラーのウェットタイヤでコースに入った後、今回持ち込まれている3種類のウェットタイヤをテストした。このウェットタイヤは、A、B、Cというコンパウンド違い。塚越は、レギュラーに続いて、C、B、Aの順でテスト。一旦レギュラータイヤに戻した後、セッションの最後には再びコンパウンドAをテストした。水が少ない状態の時には、摩耗性なども確認している。一方のレッドタイガーSF19 CNは、本格的に路面が濡れるのを待って、午前11時45分頃からウェットタイヤでコースイン。レギュラータイヤでマシンの状態を確認した後、コンパウンドA、コンパウンドCをテストしている。そのメニューを完遂するため、午前中のセッションは5分延長。午前12時05分にチェッカーが出された。雨が降ったこともあり、この時点では気温22℃、路面温度25℃と涼しいコンディションになっていた。このセッションでは塚越が乗るホワイトタイガーSF19 CNが42周を消化して、序盤にスリックタイヤで1分24秒806というベストタイムをマーク。石浦が乗るレッドタイガーSF19 CNが35周を消化して、やはり序盤にスリックタイヤで1分25秒651というベストタイムをマークしている。

2時間のインターバルを経て、今回最後となるセッションが始まったのは、午後2時。1回目のセッション後、一旦雨は止んだものの、セッションが始まる頃になると再び雨が落ち始め、本格的なウェットコンディションとなった。セッション開始時の気温は21℃、路面温度は25℃。その中で、まずは午前中にできなかったウェットタイヤの比較テストが行われた。全く同じタイミング、同じコンディションの中で、まずホワイトタイガーSF19 CNがコンパウンドA、レッドタイガーSF19 CNがレギュラーのウェットタイヤを履いてロングラン。それを終えると、今度はホワイトタイガーSF19 CNがレギュラーのウェットタイヤ、レッドタイガーSF19 CNがコンパウンドAを装着してのロングランを行う。その後、両車はコンパウンドB、コンパウンドCでロングランを行い、気温22℃、路面温度24℃というコンディションになった午後4時に、今回のテストを打ち上げた。また、この最後のセッションでは、ホンダがエンジンデータなど手持ちのアイテムを駆使して、さらにエンジン音をテスト。2日間で最も甲高い音を響かせていた。
この最後のセッションでは、2台ともに2時間ほぼ休みなく橋立派なと。ホワイトタイガーSF19 CNが53周を消化して、1分36秒827というベストタイムをマーク。レッドタイガーSF19 CNが58周を消化して、1分37秒080というベストタイムをマークしている。

前回、SUGOテストと同様、今回の富士でもグランドスタンドではずっとトヨタとホンダの旗を振りながら見守るファンの方の姿が見られた。その数は、次第に増えており、テスト関係者も今後のスーパーフォーミュラに対する期待の高さをひしひしと感じている。次回、モビリティリゾートもてぎ大会前に予定されていた開発テストは、これまでの進捗状況が予想以上に良いため、11月21日(月)〜22日(火)に持ち越しが決定。そのため、次の開発テストは、10月26日(水)〜27日(木)の鈴鹿サーキットで行われるが、そこにもきっと熱心なファンの方々の姿が見られることだろう。

石浦宏明(赤寅:Red Tiger SF19 CN)

「今回のテストの特徴は、初めて同一サーキットで2回目ということでした。その中で、同じ空力のテストをするにしても、季節が違うことで空気密度なども違います。この開発テストは、最初からダウンフォース量を減らす方向でやって来ていますが、夏場は走れる下限(のダウンフォース量)も変化してきました。それをしっかり見ることができて良かったです。また、ダウンフォースを減らすと、タイヤへの負荷も変わってきますので、どういう方向のタイヤが良いのか、使いこなせるかというのを見ることもできました。初日のドライのテスト後に、ケーシング(構造部分)やコンパウンドの面からロングランで試してみたいことがあったのですが、翌日がウェットになり、ロングができなかったのは少し残念でした。
ただ一方で、ウェットタイヤをテストする機会がこれまでなかったので、そのチャンスが来たのは良かったです。テストした中でも良さそうなものがありましたし、今後もなるべく多くの情報を得られるよう評価したいです」

塚越広大(白寅:White Tiger SF19 CN)

「富士のローダウンフォースで、しかも雨で走行できたのも大きかったと思います。順調にテストが進んで行っていますね。これまでずっとドライでテストしてきて、ある程度固まったところで、ウェットテストができたので、流れとしては素晴らしいです。ウェットテストでは、ウィングを23度にして走りましたが、それでも実際のレースウィークよりはレスダウンフォースなので、雨量が多いと少しハイドロが起きやすい感触はありました。それは今回走ってみて分かった課題です。また今回の目玉は排気音のテストでした。最初の持ち込みの物は、今までの音を綺麗にしたようなイメージで、若干静かでしたが、初日の午後からテストした物は、今までのエンジン音の中に、甲高い音があるような感じで、乗っていても変化を感じました。皆さんの話を聞くと、乗っているよりも聞いている方が変化は大きいようでした」

永井洋治テクニカルディレクター

「今回、まずタイヤテストを行い、ドライの方はほぼ仕様が決まりました。今後に向けて、量産を考えた作り方をしたタイヤをしっかり評価できたというのがドライの成果でした。また、これまで1回もできていなかったウェットテストが、今回やっとできたというのも、ものすごく大きな収穫です。ウェットタイヤだけでなくBcompのカウルも雨の中でテストすることができ、水が進入する部分に対する対策がきちんと機能しているということも確認できました。今回は、HRCで音のテストもしましたが、これは来年からというよりも、再来年とか、その次の将来のことを考えて行なっています。自分たちのモータースポーツの中で、選択の幅を広げるという意味で、ものすごく価値のあるテストでした。まだまだ良くなる技術的なヒントがあるので、これはこれでものすごく評価できるテストでした」

株式会社ホンダレーシング
四輪レース開発部 開発室 第1ブロック
チーフエンジニア 鵜篭由之

「そんなにトヨタさんと大きく考え方は変わっていないと思いますが、基本的にはエンジンのメインのテールパイプに、ウェイストゲートから出すパイプをドッキングして、4気筒の音を8気筒の音に聞こえるような形です。脈動をズラすことで8気筒の音に近づけようということで、基本的には大きくコンセプトは変わっていないと思います。
我々もシミュレーションを使って、追加する排気管の径と長さを求めました。回転数によってどのタイミングで8気筒の音になるよう脈動をズラせるのかということを計算した上で、長さと径を決めて、設計に移ったという形になります。
初日に2種類の長さを試しましたが、長い方はかなり無理をしているので、午前中に試したもう少し短い方で行こうと、本来は思っていました。8気筒の音が出るちょうどいい回転数がちょっとズレていたので、無理して長いものを作ったんですけど。実は昨日持ってきて、今日初めて着けたんですよ。追加手配をしてギリキリ間に合いました。だから、ベンチにかける時間もなかったんです。でも、結果的には、午後に着けた長い物の方がいい音がしていたというのが、今日のテストだったと思います。開発側でいうと、計算して、物を作って、実際に今日、走らせてみて、結構音が変わったので、そういった意味で言うと、シミュレーションの結果が実証されたと言うことで良かったかなと思うんですけど、これを採用するかどうかはこれからJRPさんのご判断になると思います。まずはこう言うことができますって形ができたかなと言うことですね。

長い方は、色々なところで結構クリアランスがなくて、かなり無理はしていますが、F1と同じ断熱材を巻いています。それによってかなり温度が抑えられるんですよね。我々もカウルやフロアへの熱害をとても気にしているので、クルマを燃やさないようにかなり気を付けました。それでF1と同じ断熱材を巻いたというのが、今回の仕様になっています。他にも各所にF1でやっていることを入れているので、その技術は活きていると思います。だから、結構高いんですよね。かなり佐伯さんの方には高い請求が行くと思います(笑)。佐伯さんの言う通りに我々は動いているんですが、気づけばビックリするようなお値段かなと。ただ、実際にこれがレースに適用されることになったら、ちょっと考えないといけないですよね。軽量化も含めてですけど、考えていかないと、なかなか今のままではレースには適用できないかなと思います」

佐藤蓮(TEAM GOH)

「今回は、レースが終わった後に、こういうテストに参加させていただける見学の機会を頂けたということで、すごく勉強になりましたし、感謝しています。先輩ドライバーの塚越選手の無線のフィードバックなどもずっと聞かせて頂いていて、タイヤの開発面だとか、セットアップに対する評価とか、そういった面で得られることはすごくありました。また、コースサイドからドライビングを見て、同じようなセットアップの中でも、走り方によってフィードバックが変わってくるということも少し分かってきたので、そこも参考にして、後半戦に向けてひとつ得られたことはあったかなと思います。今まで見たことのないようなウィングの角度でテストしていましたが、その割にはセクタータイムが結構速かったり、新しい方向性もあるのかなという可能性見えたので、そこはちょっと驚きましたね。タイヤに関しては、今までの物とそこまで大きな違いはないのかなと思いましたが、物によってはウォームアップやグリップのピークもちょっと違うようではありましたね。でも、現在使われているコントロールタイヤと、そこまで大きく離れてはいないのかなと思いました。音のテストに関しては、ピットロードで聞いた音と、1コーナーのような離れた所から聞いた音で、また違うような気がしました。離れた方が、甲高い音が残るような感じで、今のSFとは全然違うなと思いましたね。全体を通じて、新しい可能性が見出せたので、富士に限らず、他のサーキットでも新しいチャレンジングなセットアップを試せる機会があればいいかなと思いました」

三宅淳詞(TEAM GOH)

「基本、佐藤選手と同じなんですけど、僕たちは1年目なので、他のベテランドライバーの方達と比べて、やっぱりマシンに対するコメント力とかはまだ絶対足りていないと感じています。そういう面で塚越選手はGT500でも活躍されていますし、クルマに対してのフィーリングを細かく伝えている部分は本当に勉強になりました。また、今シーズンに入ってから、SFが走っている姿を外から見ることがなかなかできないので、そういう所でも勉強になりましたね。今回、トムスさんもテストされていますけど、TEAM GOHのクルマとの2台でも動きは違うので。空力テストに関しては、乱気流の影響を受けないためということがあると思うんですけど、ウィングの角度を減らしていますよね。でも、意外とタイムが落ちないなという印象があったので、もしかしたらレースウィークで走っていたのとは違うセッティングでも本当は走れるんじゃないかなということを感じました。カーボンニュートラルタイヤに関しては、もっとフィーリングは違うのかなと思っていたんですけど、想像していたより今僕たちが使っているタイヤと似ていました。だから、逆に驚きがなかった感じです。また、音のテストに関しては、菅生でも(TRDさんが)やられていたと思うんですけど、やっぱり動画で見るよりも実際に聞いた方が、音の違いというのは感じました。高回転で甲高く、音自体も大きいような感じがしたので、見ているお客さんにも、この新しいサウンドの方が迫力は伝わるのかなと思いました」

 

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