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「2スペックタイヤのすみ分けはクリアできたのではないか」
2018年4月25日
今シーズンからソフトおよびミディアムタイヤという2スペックタイヤを全戦使用することになったスーパーフォーミュラ。オフシーズンから新たなスペックタイヤのテストが進み、ドライバーにとってはまだ手探りの部分もあるようだが、決勝レースでは、先が読めない展開を盛り上げる”起爆剤”になったことは確かなようだ。レース後、ヨコハマタイヤの高口紀貴氏に話を伺った。
「(レース内容は)おもしろかったでしょう!? もともと狙いとしては、去年のソフトタイヤに対してレースラップを速めてかつ(タイヤの)摩耗限界を早めるというものがありました。事前情報では、思ったより(限界が来るのが)早くないじゃないかとか言われてましたが、実際にはちゃんと機能してくれるべきところで機能してたのかなと思います。ただやはりドライバーによってはそれをうまくはめられなかった(タイミングを合わせることができなかった)という例もなきにしもあらずだったので、狙いとしては100%ではなかったのかもしれません。
一方、今回誤算だったのが、ラップタイム(コースレコード)を更新できなかったことです。例年はもうちょっと気温と路面温度が低いこともあるのですが、去年はミディアムタイヤでコースレコードを出していたのに、今年はソフトタイヤを使ってもレコードが出なかったというのが反省点ですね。実はピンポイントでの気温、路面温度を見ると去年と同じなんです。ただ数字的には同じでもピーク時だけを見ると、去年は日中のピーク(の温度、路面温度)で(予選アタック)やって、今年は夕方のピークから下がってきた中でアタックをしたので…。おそらくタイヤだけでなく、他の要素も関係しているんじゃないかなとも思います。
決勝においては、路面温度が上がると(決勝スタート時:気温26度。路面温度40度)タイヤとして温まった状態で走ることになるので、比較的摩耗は緩やかになるのではという予測がありました。ところがフタを開けてみると、午前中(のフリー走行)にロングランをやっているチームが結構あって、燃料を満タンにしていることもあるのですが、意外に(タイヤが)もたなかったんです。なので、狙いどおり30周は行かず、ぎりぎりで20周くらい(もつ)かな、というヨミが見えたんです。ただ、それなりにラップタイムが速かった午前中に比べ、レースラップはちょっと遅くなるので、その分タイヤのもちが伸びたのかなと思います。(ソフトタイヤで24周までピットインを伸ばした関口雄飛に対して)あれは賭けだったのかなと思いました。また、塚越(広大)選手と山下(健太)選手のソフトタイヤの使い方に関しては、ほんと表彰ものだと思いました。一方で、関口選手や小林可夢偉選手がミディアムタイヤで最後までプッシュしていく走りも見どころだったと思いました。
結果的に(レース展開を)ピンポイントで見ていくと、ミディアムタイヤ(装着車)を抜いているのはやっぱりソフトタイヤ(装着車)だし、クルマの挙動を見てもらってもわかりますが、ミディアム(タイヤ装着車)は結構がんばって(後方からの攻撃を)押さえていたけれど、ソフト(タイヤ装着車)はすんなり抜いていってたので、それぞれそれなりにゲイン(得られたもの)があったと思います。そういう意味では、今シーズンから2スペックタイヤを提供し、それぞれのすみ分けはクリアできたのではないかと思います」