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エンジニアたちの作戦計画
第1戦 鈴鹿サーキット

TIRE SUPPLIER

秋山 一郎/高口 紀貴

横浜ゴム株式会社


2018年シーズンのタイヤ仕様について

今シーズン投入する「ソフト」について、技術的な特徴を教えてください。

2018年仕様のソフトタイヤは、昨年の仕様から「さらなるタイムアップ」と「デグラデーションと摩耗の促進」を狙った仕様になっています。昨年からの変更点はキャップコンパウンドのみです。コンパウンドは2017年のソフトコンパウンドをベースにグリップアップとデグラデーションの促進を狙っています。さらにソフトコンパウンド化による剛性低下を補うこと、摩耗限界を早めること,軽量化することを目的としてキャップコンパウンド層を薄くしています。

※デグラデーション:走行距離が伸びる=周回を重ねるにつれて、タイヤのグリップ・パフォーマンスの劣化が進んでゆく状況、その変化の現れ方のこと。ラップタイムやセクタータイムの変化(増加)で判断、評価するのが一般的。
※キャップコンパウンド:「コンパウンド」は、本来、タイヤを形づくるゴム全般を指す言葉で、様々な合成ゴムや添加物を調合・混合して練った複合材なのでこう呼ばれる。タイヤ各部に異なるゴムが使われるが、とくに路面と触れ合って微小すべりを興す中で摩擦力を生み出すトレッド(接地面)のゴムのことを指す時に多用される。「キャップコンパウンド」と言った場合は、まさに路面と触れ合って摩擦する接地面を形作るゴム層のこと。タイヤの製造においては、何層もあるゴム(と糸や鋼線)の層を重ね貼りしながら巻いてゆくのだが、その最後にいちばん上にかぶせる形で貼るゴムなので「キャップ」と表現される。
※ソフトコンパウンド化による剛性低下:路面と接する面に強い摩擦力が発生した時、トレッド(接地面)層はその下の骨格(カーカス)+ベルト層との間で変形する。ここでトレッド(キャップ)コンパウンドをソフト=柔らかくすると、同じ力を受けても変形(たわみ)が大きくなり、グニャグニャする感触が現れやすい。この「力=変形」の関係が「剛性」であり、ここで語られているのは、グニャグニャする感触が大きくならないようにした、ということ。

コ「ミディアム」は昨シーズンから引き続き同じ仕様とのことですが、「ソフト」と比較した場合はどこにどんな違いがあるのでしょうか?

ミディアムタイヤは、高いグリップ力を、比較的広範囲のコンディションで発揮できるような特性となっています。そのため、ミディアムタイヤはあまり気温や路温の変化に気を使わず、かつ走行履歴(どのくらいの距離を、どんなふうに走ったか)にあまり影響されずに、ある程度高いパフォーマンスを発揮できると思います。

昨年末の鈴鹿、そしてプレシーズンの鈴鹿、富士と3回のテストで「ミディアム」と「ソフト」を比較してきたわけですが、どんな特徴、特性の違いが現れたでしょうか? それは、開発時の狙い、タイヤ単体での試験結果などで予想していたものと一致していましたか?

公式テストを経た感触としては、サーキットや路面温度に左右されやすいのですが、ソフトタイヤはミディアムタイヤと比べて1周あたり1~2秒のタイムアップがあると認識しています。さらにデグラデーションも大きくなっています。
摩耗に関してはミディアムタイヤが1レースを走りきれるレベルを有しているのに対して、ソフトタイヤは使用条件によっては十数ラップ程度(で全摩耗=キャップコンパウンドが全て摩耗しきること)ということも考えられます。この傾向はキャップコンパウンドの特性、タイヤ単体のコーナリング特性から想定していたとおりとなっています。しかしながら、単体評価ではベスト・コンディションやワースト・シビアリティのみでの評価を実施しているため、あらゆる走行条件でのデグラデーションや耐摩耗性については把握しきれていません。

※タイヤ単体のコーナリング特性:タイヤの開発においては、タイヤを1本だけ(「単体」)で試験路面の上を回転させつつ、駆動やブレーキに相当する回転力を加えたり、進行方向に対して斜め方向に向けて「横すべり」を起こさせたりして、すべり量と摩擦力の関係をテスト・計測する。この中で「横すべり」させている状況で横方向にどれくらいの力を発生するか、それを色々な条件に対して測り、整理したものがが「コーナリング特性」。
※ベスト・コンディションやワースト・シビアリティ:ベスト・コンディションは、もちろんタイヤが設計条件に沿った適切な状態(内圧や荷重、路面に対する傾きなど)で、いちばん良いパフォーマンスを発揮する状況(での試験)。これに対して「最悪の条件」でどうなるのか、がワースト・シビアリティ。

今シーズン投入するウェットタイヤについて、技術的な特徴、路面の状況や水膜の厚さなどへの適応力などについて教えてください。

ウェットタイヤについては、昨シーズンあまり活躍する場がなく、特にネガティブな特性がなかったため、仕様の変更は行っていません。ウェット路面でのトレッドに用いているコンパウンドのグリップ性能は、比較的広範囲なコンディションで機能すると考えています。しかし、ヘビーウェットでの耐ハイドロプレーニング性については懸念が残ります。

※ヘビーウェット:路面上の水量が極端に増えて、水膜が厚くなっている状態。
※ハイドロプレーニング:道路表面を水膜が覆っている状態では、タイヤが転がって接地面が前に移動してゆく中で、タイヤ表面(トレッド)がまず路表の水を踏んで押しやり、トレッドに刻まれた溝から水が排出されることで、路面とタイヤ表面が接触して摩擦力を発生できるようになる。ここで溝の深さ、そして溝の幅や数、方向の組み合わせによって、トレッドがある圧力で水膜を踏んだ時に排出できる水量の上限がきまってくる。これを越える水量が路表に乗ってくると、排水が追いつかなくなってタイヤ接地面と路面の間に水がくさび状に残り、「水に乗って滑走する」状態に陥る。これがハイドロ(=液体による)プレーニング(面現象)。アクア(=水)プレーニングとも言う。日本各地のサーキットで最も雨量が多い状況を想定すると、現行ウェットタイヤのトレッド・デザインは排水能力がぎりぎりかな…と。


実戦走行に対する予測などについて

これまでのテストでの状況を踏まえつつ、路面温度の上昇、コースの特性などを考えた時、鈴鹿の開幕戦ではミディアム、ソフトそれぞれどんな特性を示すと予想されますか?

よほど寒くならないかぎり、予選ではソフト・タイヤが十分機能すると考えています。決勝では、新品ソフトと持ち越しソフトの性能差が大きく出ると思いますので、各チームの車両セッティングをソフトタイヤに合わせるのか、ミディアムタイヤに合わせるのかで戦略が分かれると思います。

新品がミディアム、ソフトそれぞれ2セット、“持ち越し”が2セット(主流はミディアムとソフト、1セットずつかと)という条件の中で、タイヤ・エンジニアとしておすすめの使い方を考えてみてください。

各チームの状況次第なので、決まった推奨パターンはありません。持ち越しソフトで(タイヤの)ウォームアップ特性を把握して、ロングランでの平均ラップタイム把握すること。そして、ミディアムとの比較から車両セットをソフト向けかミディアム向けか選択し、給油ポイント(周回)を決定する、といったところでしょうか。



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