エンジニアたちの作戦計画
第1戦 鈴鹿サーキット
TEAM MUGEN
15一瀬 俊浩
ドライバー:福住 仁嶺
今年の体制について
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ご自身の移籍、異動などはありましたか? 担当されるドライバーに変更はありましたか?
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エンジニアリング部門強化のためチーム内体制を見直し、昨年15号車のトラック・エンジニアを担当した星(学文)がパフォーマンス・エンジニア(#15統括)のポジションとなり、昨年までデータ・エンジニアを務めていた私(市瀬)がトラック・エンジニアを担当することになりました。
ドライバーは福住選手に変更となりました。※トラック・エンジニア:車両のセットアップ全体を決め、走行時にはドライバーが体感した特性や挙動をコメントとして聞き取って技術的な内容に”翻訳”して考え、セッティングのどこをどう変えるかを決める。さらに日本ではレースプラン(戦略・戦術)も検討・判断する役割も受け持つことが多い。いうまでもなくこの「作戦計画」の主役。
※パフォーマンス・エンジニア:チームの技術面、車両の速さや戦闘力の現状とそこに影響する要素全般に目を配り、パフォーマンスを引き上げるように動く立場のエンジニア。
※データ・エンジニア:エンジンをはじめ車両を制御するコンピューターに集まるセンサーの情報と作動状態、それ以外にも搭載されている各種センサーの情報を収録するデータロガーに記録された内容を読み出し、ドライビングや車両運動が読み解ける数字やグラフに加工することを専門とするエンジニア。走行毎にデータを”吸い出し”、その瞬間に必要な情報を取り出して提示することが求められている。/p> -
コンビを組むドライバーについて、今年変更があった方は、ここまでに感じた印象とパフォーマンスについて教えてください。変更のない方は、新たなシーズンに向けて協同作業を始めた段階で受けた印象を語ってください。
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福住選手のパフォーマンスは高く、車両への適応能力も非常に高いと感じました。
とくにタイヤのグリップを長く保たせる感覚・テクニックに長けているのではないかと思います。
プレシーズンテストについて
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鈴鹿、富士、2回・4日間のプレシーズン・テストではそれぞれどんなプログラムを消化しましたか?
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パフォーマンス改善アイテム、ステアバランス改善アイテム、2スペックタイヤ対応という3要素に対してのテストを行いました。
加えてレースに向けたスタート、ピットストップ練習といったレース想定の練習も実施しています。※ステアバランス:旋回運動は4つのタイヤの摩擦力によって生み出されるが、ステアリングを切り込んで向きを変える/一定の旋回状態を保って回り込む/駆動力を加えつつ旋回を緩くして加速に持ち込む、の各段階の挙動は、つまるところ前後のタイヤ・グリップの釣り合い=バランスによって作られる。そのバランスがどう現れるかが、ステアバランス。俗にアンダーステア、オーバーステアと言い表すが、コーナリング・プロセスの各段階でそれが求める形で現れるようにする調整を試みているのである。/p>
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プレシーズン・テストで得られた成果、逆に「もうちょっとこんなことを確かめたかった…」ことなどを教えてください。
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ステアバランス改善アイテムは幾つか効果を得られましたが、ドライバーの求めるレベルには至っておらず、もう少し確認したかったです。また鈴鹿のような高負荷なサーキットで、高い温度の時に、ソフトタイヤがどういう振る舞いをするのか、(テストで)事前に確認できていれば…とは思いますが、条件は皆さん一緒なので、そこは仕方ないかなと。
※鈴鹿のような高負荷なサーキット:鈴鹿サーキットは、中高速域で、すなわち今日のレーシングカーでは大きなダウンフォースがタイヤを路面に押し付ける荷重として作用する状況で旋回し、さらに左・右と摩擦方向が変わるコーナーが続くレイアウトであり、路面舗装も大きな摩擦が出ることと合わせて、タイヤにとっては厳しいコースだと言われる。/p>
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今シーズンの「鍵」のひとつは2スペック・タイヤだと考えられますが、現状でそれぞれの仕様の特徴、使い分けなど、どうとらえていますか?
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ソフトタイヤはグリップ高いがデグラデーション大。加えて摩耗への考慮も必要になりそうですが、実際のレースでどれくらいもつかが未知数。 ミディアムは昨年同様で、落ち込みもほとんどないため、すべてはソフトタイヤ次第になると思います。
※デグラデーション:走行距離が伸びる=周回を重ねるにつれて、タイヤのグリップ・パフォーマンスの劣化が進んでゆく状況、その変化の現れ方のこと。ラップタイムやセクタータイムの変化(増加)で判断、評価するのが一般的。/p>
2018年シーズンの開幕に向けて
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今シーズン、ドライバーとともに達成したい目標をどこに置いていますか?
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福住選手はF2とバッティングするため欠場するレースはありますが、毎戦上位、優勝を狙い、チャンピオン争いすることを目標とします。
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トラック・エンジニアとして今シーズン目指すターゲット、クルマづくりやレースの組み立てをどう進めたいと考えていますか?
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Q3まで確実に進める車両に仕上げ、取りこぼしがないようにレースを戦いたいと思っております。