MENU

エンジニアたちの作戦計画
第7戦 鈴鹿サーキット

TCS NAKAJIMA RACING

3加藤 祐樹

ドライバー:ナレイン カーティケヤン

1.2018年ここまでの6戦(実質5戦)を振り返って

ここまで6戦の車両セットアップを振り返って自己採点すると、100点満点で何点ぐらいでしょうか?

【第1戦鈴鹿】50点。3月鈴鹿テストで3番手タイムを残し、車両特性に弱点がありながらも一定のポテンシャルを確認できたことで、それを更に仕上げる考えで臨みました。Q1ミディアムタイヤの車両特性とポテンシャルは望んだレベルで、特にSector1で速さを見せられましたが、Q2以降のソフトタイヤへの車両調整においてタイヤの理解不足による失敗があり、本来の結果を残す事ができず。また、振り返れば、まだ弱点の要因への理解が不足していた状態でもあった。
【第2戦オートポリス】
【第3戦SUGO】75点。昨年のSetUp(仕上がっていた)をベースに最新の内容を盛り込んだ仕様で臨み、満足の行く仕上がり。決勝もソフトタイヤを上手く使えたと思います。但しTopタイムに至るにはまだ複数のブレイクスルーが必要と判断しています。
【第4戦富士】50点。3月富士テストで掴んだ、低速コーナーでの安定したRr挙動やトラクションは、3月からダウンフォースが減ったこの時期でも発揮でき、予選Setとしては我々の例年の状況からStep Upできたと思っています。しかし決勝ではソフトタイヤを全く持たせる事ができず。これは技術的問題と認識され、その後に要因をより追求する事になりました。
【第5戦もてぎ】60点。予選SetUpはここまでの分析結果から立てた仮説により、低速での十分なRrを確保する事ができ、トラックエンジニアとしてナレインさんを担当してから初めてQ3(予選4位)に進出できました。これによってベースの考え方が間違っていない事に少し自信を持て、よりタイヤの使い方や状態に対し、的を絞れるようになりました。但し決勝では富士の結果を受けて色々と研究を行なって準備したソフトタイヤのデグラデーション対策が、特にミディアムに対しやりすぎに作用し、またも結果を残せない事に。
【第6戦岡山】60点。昨年までの課題であったRr安定感はここでも、岡山に合わせた分析に基づいてもてぎ同様に確保する事ができ、ドライでは良い感触を得ました。ウェットについてはヘビーウェットで戦闘力があるものの、ドライアップする中で予期せぬ戦闘力低下があり、決勝でも十分に速さを引き出せずに終わりました。但し事後分析の中でこの結果からウェットタイヤ使用に関する新たな知見を得る事ができ、大きな収穫となりました。

前問の自己採点となった理由、状況などを教えてください。

詳細は上記に述べたとおり。総合的には、今期は事前事後分析からの事実や仮説から毎戦Stepを踏め、特にRd5でQ3進出した事が自信へと繋がっています。Topからの遅れや決勝での安定感についてはまだブレイクスルーが必要ですが、確実にPDCAを積み重ね、距離を縮められている実感があります。

※PDCA:開発や生産などの現場で成果を得るためにひとつずつステップを積み上げて進める手法。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善してゆく、というもの。

ここまでの6戦について、各戦の戦い方の組み立て、戦略の適合などについて自己採点は100点満点で何点を付けますか? またその理由は?

【第1戦鈴鹿】70点。ソフトタイヤへの適合の失敗から予選で後方に沈んだ為、確実にバランスの良いミディアムタイヤのスティントを序盤で長く取る戦略を取りました。他車と逆のタイミングでのピットを取った結果、2ndスティントでは周りがミディアムの中ソフトタイヤでポテンシャルがあり、ポジションもポイント獲得まで肉薄しましたが3コーナーでアウトにはみ出し、リタイヤを強いられました。
【第2戦オートポリス】
【第3戦SUGO】80点。予選では今度はQ2でのトラフィック処理で致命的な状況があり、またしても後方スタートになったものの、SC導入のタイミングが我々にとっては良く、即座の対応で5番手Finishとなりました。ただし後半がミディアムタイヤとなったことで、コース上で幾つかポジションを失っており、レースペースそのものに課題を感じました。
【第4戦富士】30点。予選Q1での降雨への対応に判断ミスがあり、結果このレースも後方スタート。レースではソフトタイヤをできるだけ長く使う戦略に出ましたが、デグラデーションが著しくまったく戦闘力のない状態でレースを行う事態になりました。戦略は車両の技術的側面からどを取っても厳しい状況になり、予選のオペレーションも相まって非常に課題の多いレースでした。
【第5戦もてぎ】30点。路気温の高い時期となり、富士で致命的なレースペースの問題が起きたため、4番グリッドから確実に上位Finishを目指して対策を盛り込みました。ソフトスタートでしたが、予定していたチェンジオーバーのタイムとバランス変化からミディアムタイヤへスイッチした所、2ndスティントがまったく戦闘力のない状態になってしまい、レースを実質失ってしまいました。
【第6戦岡山】50点。Q2でエンジンの制御系にトラブルが発生し、このレースも後方スタートとなりますが、ヘビーウェットの中では戦闘力を確認できていました。しかし予選で上位に食い込めたかどうかは慎重になる必要があります。それは今回のレースウィークで発見したものが鍵になっており、予選終了までは明白に掴めていなかったからです。

           

ここまでの6戦を振り返って、担当ドライバーの走りっぷり、パフォーマンスはいかがでしたか? とくに印象に残っている状況はありますか?

ナレイン選手は昨年以上に、Drivingやそれ以外の進め方に常に謙虚にオープンに、向き合ってくれました。特に予選とそれに向けたFP1,2で結果を最大化できるようにたくさんの議論を重ね、トライしてきました。 特定の場面での印象というよりは、そういったプロフェッショナルな姿勢が非常に力になっていると感じています。

2.最終戦鈴鹿大会に向けて

最終戦で達成したいと考えている目標を教えてください。

今期の中で続けてきた分析の蓄積やその他の学びを全て出し切り、ナレイン選手のSFでの過去最高の予選と決勝を実現したいと思っています。

前問を実現すべく、今考えている車両セットアップの方向性、例えばどのセクションでどんな特性や速さを狙うと考えているか、あるいは全体としてどんな特性を狙うか、などについて教えてください。

すでにRd1で、予選一発のSector1の速さは最低限、ある程度のレベルにあると思っていますが、特にそれ以降の区間でもっと戦闘力が欲しいと思っています。安心してPushし安定して結果を出していくには、安心できるRr挙動が少し不足していると思っており、その部分を今シーズンのRd2以降に積み重ねて来たものでいかに改善するかを軸の一つとして準備を進めています。

距離250kmのレースとなりますが、どんな戦略で戦うことを想定していますか? 「鍵」を握るのはどんなポイントだと考えていますか?

短い距離ですから普段以上に、両スペックタイヤを使いこなし、自力を上げる事が重要になると思います。当然予選も重要です。

他のドライバー、車両の走りや戦略について、注目していること、気になっていることなどは何かありますか?

技術面では各車のソフトタイヤの予選アタックタイミングやレースでのデグラデーションとSetUp等との因果関係に関して常に注目して、理屈を研究している所です。またチームランキングとして、今年も現状で良い位置に居る事ができていない為、ランキング上で近いチームの動向は常に意識しています。

GO TO TOP

SUPER FORMULA NEXT50 PARTNERS

SUPER FORMULA NEXT50 PARTNERS

SUPER FORMULA NEXT50 PATNERS

SUPER FORMULA NEXT50 PARTNERS

  • デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
  • 株式会社ホンダレーシング
  • TOYOTA GAZOO Racing
  • ASPIRE
  • 株式会社スリーボンド
  • 横浜ゴム株式会社
  • ダラーラ・アウトモビリ S.p.A
  

 

  • 株式会社 F&C ホールディングス
  • カヤバ株式会社
  • グランツーリスモ
  • Viron Japan 株式会社
  • 株式会社M-TEC
  • ハイスピード エトワール
  • 国立大学法人東京大学
  • 富士通株式会社
  • 株式会社インターネットイニシアティブ
  • さくらインターネット株式会社
  • トーテックアメニティ株式会社
  • 東京電力エナジーパートナー株式会社
  • 日本自然エネルギー株式会社
  • 株式会社JTB
  • KCJ GROUP 株式会社
  • RED
  • 人気酒造株式会社
  • 株式会社マイクロン
  • 株式会社ジェイ・スポーツ
  • 株式会社AbemaTV