MENU

エンジニアたちの作戦計画
第1戦 鈴鹿サーキット

TCS NAKAJIMA RACING

3加藤 祐樹

ドライバー:アレックス・パロウ

1.2019年シーズンに向けて

新たにトラック・エンジニアとして活動される方、移籍された方、担当するドライバーに変更があった方、それぞれ自己紹介、担当車両・ドライバーの紹介をお願いします。

今年はアレックス・パロウ選手を担当します。勢いがあり、明るいムードメーカーで、過去2回のルーキーテストおよび先の鈴鹿、富士テストでも速さを発揮、確実なフィードバックを返してくれています。

3月・2回のテストを通して、SF19との「対話」は進みましたか? どんなキャラクターのマシンだと受け取られていますか? セットアップの「鍵」はどのあたりにありそうですか?

まずは、空力面でよりポテンシャルが上がったというのが第一印象です。ただし、それを使いこなすためには“おいしい”スポットが狭くなっており、それを常に把握しておく必要があると思っています。メカニカル(機械要素)に関してはSF14からキャリーオーバーできる部分がわりとあるので、継続して研究を進めています。

担当されるドライバーは、競技運転者としてどんな個性、ドライビングのリズムの持ち主でしょうか? ずっとコンビを組んでいて、ファンの皆さんに良く知られているドライバーでも、この際、ぜひ一言(以上)お願いします。

           

アレックス選手は「器用だな」と思っています。たとえば、完璧なクルマを用意することが理想であってもなかなかそうならない時、長所と短所を判断して、とくに短所をうまく手なずける印象です。ですから、エンジニアとしても目指すところを明白に身近な内容で設定し、ドライバーと共有しやすいと感じています。それから、性格的にはとても明るくて、チームを鼓舞してくれる存在です。ここまでのどのテストでも良い雰囲気で仕事を進められています。

ドライバーはSF19についてどんな印象を語っていますか?

最初は新品タイヤでのアタックの時、グリップの高さに驚いていました。テストを進めていくにつれて中高速コーナーがとくに速いという印象を持っているようです

2.開幕戦・鈴鹿サーキットに向けて

2回のテストの状況、成果を踏まえつつ、鈴鹿における緒戦に向けて、SF19のセットアップは空力、足回りなど、それぞれどのあたりがポイントになると考えていますか?

最初の鈴鹿テストでは競争力のあるタイムが記録できたものの、セクター3に課題が残りました。その部分に対して、富士テストでの色々なテストの結果、その分析の中で対策の仮説を立てることができたので、鈴鹿テストでの長所を生かしつつ、セクター3に照準を当てて仕上げるように検討しています。

「持ち込み」セットアップからまず予選、そして決勝に向けてセッティングを煮詰めてゆく中では、どんなことに着目して進めてゆきますか? 例えばコースを走る状態の着眼点、タイムや速度、タイヤ、ドライバーのコメントなど、現時点で想定している範囲でお答えいただければと思います。

まずはセクター3の対策がある程度効いていることを確認しながら進めていこうと思いますが、長所を伸ばす、または維持するという観点を外さないようにするつもりです。テストからは気候が変わり、ダウンフォースやメカニカルにも例年かなり影響が出るので、その部分をいかに研究し、合わせこんで持ち込むか、に集中しているところです。また、アレックス選手が純粋に自分のパフォーマンスに集中できるように、わかりやすい手順かつ最小限の変更で週末を進められるよう、プラン検討とドライバーとの議論を重ねています。

*ダウンフォースとメカニカル:気温が上がると大気密度が下がり、同じ速度でも空気力は低下する。メカニカル(グリップ)に関しても、気温・路面温度が上がるとタイヤの作動(グリップ発生)は早くなるが、走行中に適温・最適内圧を保つ設定が変わってくる。機構要素についても例えばダンパーなど温度による影響が少なくない。

レース戦略、タイヤ選択と履き替え(ピットストップ)のタイミングなど、どんなパターンが想定されているでしょうか? 現状、何パターンほど考えていますか?

鈴鹿、富士テストでは比較的良いロングランができていますので、タイヤのおいしいところを長く使える武器を仕上げることにも注力しています。但し、SF19になってもやはり前車の追い越しはペース的にかなり代償を強いられると思いますので、トラフィック処理が前提です。

*トラフィック:「交通(量)」の意。転じてサーキットレースではペースの異なる車両が集団をなしている状況、とくに自分の前に遅い車両が次々に現れる状況を指すようになった。この前を行く車両を抜いてゆくのを「処理する」とも言う。

今シーズンは、オーバーテイクシステム(OTS)がレース中の総使用時間100秒、一度作動させた後は100秒の間隔が設定されている、と作動条件が大きく変わりましたが、どんな使い方が考えられるでしょうか?

場合によってはディフェンスがしづらくなるように想像していますが、ドライバー次第ですね。

*この場合の「守る、守備」は、背後の車両がOTSを発動したのに対抗する手段として、こちらもOTSを発動させることを指す。後方車両がいつOTSを切るかを確認して自分も切らないと、そこから100秒間、再発動ができない/後続車のほうが再発動できる、という状況が生じる。

鈴鹿での開幕戦での目標(成績だけでなく、エンジニアとして“見つけたい”“仕上げたい”ことなどについても)はどのあたりに置いていますか?

エンジニアとして、今シーズンを皮切りに再びチームがトップ争いをできるような、その最初のステップにしたいと切望しています。アレックス選手のポテンシャルと、私自身が努力してきたことを信じて、まずは100%のパフォーマンスを出し切れるように頑張ります。

今シーズン全体をどう戦ってゆこうと考えているか、最終的なターゲットをどこに置いているか、について教えてください。

前問同様です。

最後に、スーパーフォーミュラを観戦し、楽しまれているファンの皆様に一言お願いします。

SF19はデータやビデオはもちろん、実車を間近で見ていても、非常に速いクルマです。きっとサーキットでご覧になれば(もちろんテレビでも)楽しんでいただけると思います。ぜひサーキットにお越しになって、その走りを含めた観戦を楽しんでいただければと思います。

GO TO TOP

SUPER FORMULA NEXT50 PARTNERS

SUPER FORMULA NEXT50 PARTNERS

SUPER FORMULA NEXT50 PATNERS

SUPER FORMULA NEXT50 PARTNERS

  • デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
  • 株式会社ホンダレーシング
  • TOYOTA GAZOO Racing
  • ASPIRE
  • 株式会社スリーボンド
  • 横浜ゴム株式会社
  • ダラーラ・アウトモビリ S.p.A
  

 

  • 株式会社 F&C ホールディングス
  • カヤバ株式会社
  • グランツーリスモ
  • Viron Japan 株式会社
  • 株式会社M-TEC
  • ハイスピード エトワール
  • 国立大学法人東京大学
  • 富士通株式会社
  • 株式会社インターネットイニシアティブ
  • さくらインターネット株式会社
  • トーテックアメニティ株式会社
  • 東京電力エナジーパートナー株式会社
  • 日本自然エネルギー株式会社
  • 株式会社JTB
  • KCJ GROUP 株式会社
  • RED
  • 人気酒造株式会社
  • 株式会社マイクロン
  • 株式会社ジェイ・スポーツ
  • 株式会社AbemaTV