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2019年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第6戦 山下健太が嬉しい初優勝!!
2019年9月29日
山下健太(KONDO RACING)が嬉しい自身初優勝!!
1週間前の天気予報から考えれば、全く想像もできないような好天となった9月29日(日)の岡山国際サーキット。汗ばむ陽気の中、午後3時05分からは全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の決勝が行われた。レースは序盤にセーフティーカーが入ったことによって明暗が分かれたが、参戦3年目にして自身初の優勝を飾ったのは、フロントロウながらミディアムタイヤスタートを選択した山下健太(KONDO RACING)。2位には予選4番手からやはりミディアムタイヤスタートを選んだ中嶋一貴(VANTELN TEAM TOM’S)。3位には、12番手からスタートでミディアムを選択し、素早いピット作業で大きくポジションを上げたハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)が入り、嬉しい自身初の表彰台を獲得した。
午前中のギラギラした太陽を覆い隠すように、午後になると薄い雲が広がった岡山。それでも全日本スーパーフォーミュラ選手権のスタート進行が始まる頃には、気温が30℃、路面温度が37℃まで上昇した。そして、午後3時05分にフォーメーションラップがスタート。この時、PPの平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)はソフト、2番グリッドの山下はミディアム、3番グリッドの国本雄資(KONDO RACING)はソフト、4番グリッドの一貴はミディアム、5番グリッドの福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と6番グリッドの石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)はソフト、7番グリッドの牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)と8番グリッドのアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)、9番グリッドの小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)はミディアム、10番グリッドのニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)はソフト、11番グリッドのパトリシオ・オワード(TEAM MUGEN)、12番グリッドのハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)はミディアム、13番グリッドの野尻智紀(TEAM MUGEN)はソフト、14番グリッドの関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)はミディアムを選択。以下、ルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)、塚越広大(REAL RACING)、坪井翔(JMS P.MU/cerumo・INGING)、中山雄一(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)の5人はソフトを選択している。
1周の隊列走行を終え、全車がグリッドに着くと、68周もしくは90分先のチェッカーに向けて、レースはスタート。ここでホールショットを奪ったのはPPの平川。山下もミディアムながら好発進し、2番手をキープする。その後ろでは国本が若干出遅れ、中央突破してきた福住が、1コーナーで国本の前に出ることに成功した。この時、福住の左リヤと国本の右フロントが接触。このことが後に大きくレースを動かすことになった。またこの接触の影響で国本は1コーナー立ち上がりでコースをはみ出す形となり、その後方の集団にも飲まれる形に。その中でポジションもかなり入れ替わることとなった。
スタートで3番手に上がった福住は、ソフトのアドバンテージを活かしてヘアピンから山下に並びかけると、リボルバーコーナーで前に出ることに成功。2番手にポジションを上げてくる。それでも山下は3番手、一貴は4番手をキープしてオープニングラップを終えた。これに続いていたのは、石浦、キャシディ、アウアー、野尻といったソフトタイヤの集団だった。
一方、オープニングラップを終えようかというところで、ピットには早くも動きが。9番手からスタートした可夢偉がピットイン。タイヤをソフトに交換してコースに戻る。今回の特別規則では、先頭車両が10周を超えてからでなければ、タイヤ交換義務を果たしたことにはならないが、前方が開けた場所でソフトのアドバンテージを活かし、プッシュする作戦だった。
上位集団では2周目に石浦とキャシディが一貴をオーバーテイク。3周目にはアウアーも一貴を捉える。山下は3周目まで3番手のポジションを守っていたが、4周目のヘアピンからリボルバーにかけて、石浦にかわされる。さらに、通称・Wヘアピンの一つ目、レッドマンコーナーではキャシディが山下をかわして行った。さらに5周目のヘアピンでは、アウアーも山下をオーバーテイク。結果、5周を終えたところでのオーダーは、平川、福住、石浦、キャシディ、アウアー、山下。以下、野尻、国本が続く。一貴も野尻と国本にかわされ9番手までポジションを落としていた。トップの平川は、この時点で福住に3秒235というマージンを築き、好ペースで周回を重ねていた。
しかし、8周目に入るとレースは動く。アトウッドコーナーで福住がコースアウト。これは、スタート直後の接触によって、左リヤのホイールが損傷したため。それによってタイヤにもダメージが及んだ。
この福住の車両を回収するため、すぐさまコース上にはセーフティーカーが導入される。これによって、平川が築いたマージンは一旦リセットされてしまうことに。またセーフティーカーランが続いたため、10周を終えたところでミディアムタイヤスタート組の山下、一貴、牧野、パロウ、オワード、ニューウェイ、関口に加え、ソフトスタートの山本、塚越、中山、大嶋が、一気にピットへと雪崩れ込んだ。ここで真っ先にコースに戻ったのは、ミディアムに交換した山本。これに山下、一貴、牧野、ニューウェイ、パロウという順でコースに戻る。だが、牧野がピットロードからスタートした直後に、ファストレーンから自分のピットへと向かっていた関口と交錯。牧野の左フロントタイヤが関口の右フロントウィングの翼端板と接触し、牧野のタイヤはサイドウォールに亀裂が入った。そのため、牧野はピットロードからコースに出ると、1コーナーでコースアウト。再びピットに戻らなければならなかった。後に、牧野のピット作業はアンセーフリリースと判定され、牧野はドライブスルーペナルティーも受けることとなってしまった。また牧野が2度目のピットストップを行なった11周終了時には、まだセーフティーカーランが続く中、山本、塚越、中山、大嶋の4人がもう一度ピットイン。彼らはここで再びソフトタイヤに交換。ミディアムで1周したことで、両スペックのタイヤ使用義務を果たしコースに戻った。また、この周にはソフトスタートの国本もピットイン。10周を終えた所では山下のタイヤ交換作業があったため、チームは国本のピットインを1周遅らせる決断をした。国本も同様に1周だけミディアムタイヤで走ると再びピットへ。だが、運悪く、福住の車両回収が終わり、この時にはレースがリスタートすることとなる。その結果、国本は大きくポジションを落とすことになった。
さて、12周を終えたところで、レースはリスタートしたが、ここからまだピットに入っていない平川、石浦、キャシディ、アウアー、野尻、坪井と、まだピットイン義務を消化していない可夢偉は、すでにピットに入った山下、一貴、ニューウェイ、パロウらに対して、十分なマージンを稼ぎたいところ。そのため、上位集団は1分16秒台から17秒台前半のペースでプッシュした。中でも可夢偉は猛プッシュして、16周目には坪井の前に出ることに成功している。リスタート直後は、ピットイン組でトップにいた山下のペースは1分17秒台後半。このまま行けば、平川らが十分なマージンを稼ぐかと思われた。しかし、20周を過ぎたあたりから平川のペースが17秒台に落ち、山下に対してのマージンがなかなか広がって行かない。そんな中、33周目の1コーナーでは2番手を走っていた石浦の左フロントからスモークが上がり、スローダウン。実は石浦も、オープニングラップのリボルバーコーナーで国本と接触しており、その影響でホイールが破損。そこから次第にタイヤまでダメージが及ぶこととなってしまったのだ。
ここからプッシュを開始したのは、石浦に代わって2番手に浮上したキャシディ。キャシディは4秒近くあった平川との差をジワジワ削り取って、45周目にはコンマ7秒まで詰めてくる。この膠着状況がしばらく続いたが、キャシディは57周のヘアピンでようやく平川のインに飛び込み、前に出ることに成功した。しかし、すでにレースの残り時間は約10分しかなく、タイムレースになることが決定的とみられた。この時点でキャシディと山下とのタイム差は27秒233。キャシディが十分なマージンを稼いだとは言えなかった。
そして、59周を終えたところで、2番手に後退していた平川がピットイン。平川は、山下、一貴、ニューウェイ、パロウ、オワード、山本が通過した後、コースに戻る。ミディアムの冷えたタイヤだった平川は、さらに後方から迫った大嶋にも先行を許しただけでなく、61周目には単独でコースアウト。レースに復帰はしたが、後方へとドロップしてしまった。さらに、平川がピットに入った翌周にはキャシディもピットイン。ミディアムタイヤに交換すると、パロウの後ろでコースに戻る。そのキャシディの後ろに迫ったのは、51周を終えたところで再びソフトタイヤに交換してコースに戻った可夢偉。可夢偉は58周目のヘアピンで山本をオーバーテイクし、ポイント圏内に上がってきていた。62周目には、2人は超接近戦のバトルを展開。ヘアピンからリボルバーコーナーにかけて、可夢偉がキャシディに襲いかかる。そしてリボルバーコーナーの入り口で2台は接触し、キャシディがスピン。コース上にストップする。その間に、山本を含む数台がキャシディの前に出た。
そして、レースの残り時間が2分となった64周終了時に、最後までコースに留まっていたアウアーがピットイン。可夢偉の後ろ、6番手でコースに戻ることに成功する。また、アウアーがピットに入った瞬間、山下がトップに立った。残る2周を危なげなく走り切った山下は自身嬉しいスーパーフォーミュラ初優勝。中盤にはその山下に迫る場面もあった一貴が2位に入り、今季初となる表彰台を獲得した。そして、3位にはニューウェイ。今回、ソチのF1グランプリではなく、岡山に来場していた父、エイドリアン・ニューウェイの眼前でこちらも嬉しい初表彰台を獲得している。その後方では、最終ラップまで激しいバトルが演じられ、4番手争いのパロウと可夢偉が、リボルバーコーナーで接触。可夢偉はコースアウトしてグラベルストップし、チェッカーを受けることができなかった。その結果、パロウが4位、アウアーが5位、オワードが6位。以下、変則2ピットを行なった山本、大嶋までがポイントを獲得している。
このレースの結果、獲得点数が29となり、再びポイントリーダーに立ったのは山本。キャシディは今回ノーポイントだったが、28ポイント。山本と1ポイント差で最終戦を迎えることになる。さらに、今回4位に入ったパロウが25ポイントと、リーダーに対して4ポイント差まで迫った。また、今回初優勝を果たした山下も21ポイントと一気にタイトル争いに加わってきている。
優勝したNo.3 山下 健太(KONDO RACING)と近藤監督
2位表彰台を獲得したNo.36 中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)
3位表彰台を獲得したNo.51 ハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing Team with motopark)