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富士合同テスト 初日トップは大湯都史樹
2021年3月23日
鈴鹿サーキットで行われた第1回公式合同テストから10日余り。全日本スーパーフォーミュラ選手権の第2回公式合同テストが、3月23日(火)〜24日(水)、静岡県富士スピードウェイで行われた。このテストに参加したのは、11チーム・18名。レギュラー陣では、今回中嶋一貴(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)が復帰したものの、小林可夢偉(KCMG)は先週末米国で行われたセブリング12時間に参戦していたため、検疫期間がなく欠席。また、前回の鈴鹿テストと同様、体調不良のため牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が欠場し、代わりに笹原右京が搭乗した。さらに、ビザ発給の問題から今回も入国が叶わなかったサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)の代わりとして、鈴鹿に続き中山雄一がステアリングを握っている。それでも、富士は今年の開幕戦の舞台。また今回は開幕前最後の走行機会ということもあり、各ドライバーともに精力的に走行を重ねている。
前日の午後から冷たい雨に見舞われ、周囲の高い山々にはうっすらと雪が積もっていた23日の朝。それでも、サーキット周辺では桜の蕾が膨らみ始めていた。暖冬だった影響で、今年の富士周辺は、椿、レンギョウ、梅、モクレン、水仙など、冬から春にかけての花々が一斉に開花。シーズンを前に、鮮やかな景色を描き出している。
そんな中、初日23日のセッションが始まったのは、午前9時から。走り始めは、まだ朝の冷たい空気が残っており、気温は9℃、路面温度は14℃というコンディションだった。また、前夜の雨の影響で、路面には所々にウェットパッチが残っている状況。セッションが始まると、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、山下健太(KONDO RACING)、タチアナ・カルデロン(ThreeBond DragoCORSE)、大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)らがすぐコースに出たが、マシンチェックのみですぐにピットイン。その後も、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)らをはじめ半数ほどのマシンがコースに入るが、やはりアウトラップのみでピットイン。春の陽射しに気温が次第に上昇し、ようやくウェットパッチが乾き始めた午前9時20分過ぎから、各車が本格的な走行に入った。
今回のテストでは、各車にスリックのニュータイヤが6セット供給されるだけでなく、前回供給された6セットのスリックタイヤを全て持ち越すことが可能。今回の供給分から2セットは、たとえニュータイヤでも開幕戦に持ち越すことができる規定で、多くのチームはニュータイヤを残すはずだ。だが、それを差し引いてもテスト中に使用できるニュータイヤは少なくとも4セットあり、チームは多くのメニューを精力的にこなしていった。また、ルーキーや若手ドライバーたちは、ピットアウトの際にスタート練習を行ったり、ピットインの際にストップ練習を行ったりと、実際のレースに向けての準備も着々と進めていった。
さて、この午前中のセッションでは、前半はまだ路面ができていなかったためか、トップ集団でも1分23秒台での走行。その中で野尻智紀(TEAM MUGEN)だけは、早い段階から1分22秒865と22秒台に飛び込んでくる。その後、セッションが折り返すと、平川亮(carenex TEAM IMPUL)が1分22秒650でトップに浮上。残り45分という段階では、ピットに戻って足回りのセットアップ変更を行っていた野尻が、1分22秒397と一気にタイムアップし、再びトップに立った。これを上回ってきたのは、鈴鹿テストの2日目に体調不良で欠場した福住。福住は、残り時間が30分あまりとなったところで、野尻のタイムをわずかに上回り、1分23秒357をマークしてくる。また、笹原や坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)、大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、大津らの若手やルーキーたちも、最初のセッションから好タイムを刻んだ。さらには、セッションの残り時間が20分を切ったあたりでは、大嶋和也(NTT Communications ROOKIE)が1分22秒590までタイムアップし、5番手に浮上。前回の鈴鹿に続き、ホームコースとなる富士でも好調な仕上がりを見せている。
その後、セッションの残り時間が10分となったあたりでは、全車がピットイン。このセッションの最後に、まずはアタックを行う様子だった。だが、残り時間が7分となったところで赤旗が提示される。これは、ピットレーン出口を出たところで関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)がスピン、ストップしたため。このマシンの回収が終わると、セッションは午前10時57分に再開、チェッカー予定も2分間延長された。セッションが再開されると、ほとんどのドライバーがコースイン。タイヤを温めてアタックに入る。だが、この時間になると空は雲に覆われており、肌寒いコンディション。今回のテストではタイヤウォーマーの使用も認められていないため、自己ベストを更新するドライバーは少なかった。そんな中、チェッカー後に自己ベストを更新してトップに立ったのは、平川。平川は1分21秒844と、ただ一人21秒台のタイムをマークして、最初のセッションを終えている。これに続いたのは、福住、野尻、阪口。また、赤旗後にピットに戻された関口も、最後のアタックを敢行し、5番手のタイムをマークした。
2時間20分のインターバルを経て、2回目のセッションが始まったのは午後1時20分。1回目の走行終了後しばらくして、富士には再び陽光が降り注ぎ、気温は14℃、路面温度は17℃まで上昇した。セッションが始まる頃には、またしても上空が雲に覆われたが、この時期の富士としては比較的暖かなコンディションの中で、セッションはスタートしている。この2回目のセッションが始まって間もなく、1分22秒046をマークして、午前中の自己ベストを上回ってきたのは、福住。笹原も1分22秒196とこれに続く。さらに、序盤から平川、山本、一貴、野尻らが1分22秒台に入ってきた。
だが、開始から16分。セッションは赤旗によって中断される。これはブレーキに問題を抱えた関口が、ピットロード出口を出たところでストップしたため。このマシンの回収が終わり、セッションは午後1時48分に再開された。この再開後には、早くも大湯と平川が21秒台に突入。ここで大湯は1分21秒864、平川は1分21秒984をマークしている。また、赤旗後には、ニュータイヤを投入して、アタックシミュレーションを行ったチームも見られた。
その後、各チームは1回目のセッションに続いて、用意してきたメニューをこなしていったが、セッションが折り返す頃になると、福住がトップタイムを更新。1分21秒808までタイムを伸ばし、午前中に平川が記録していたタイムを上回ってきた。さらに、セッションの残り時間が15分を切ったあたりからは、各ドライバーが初日の締めくくりとなるアタックシミュレーションのためにピットに戻り、ニュータイヤを装着。残り時間10分を切るとコースに出始めた。
しかし、残り時間が7分というところで赤旗が提示される。これは、カルデロンがダンロップコーナー立ち上がりでストップしたため。そのマシンの回収が終わると、本来のチェッカー予定時刻だった午後3時20分に、セッションは残り時間10分ということで再開。ここから各車がアタックへと向かった。ここで自己ベストを上回るドライバーは少数派だったが、その中で最後の最後にトップタイムを書き換えたのは大湯。大湯は1分21秒371と21秒台前半までタイムを縮めて、初日の総合トップを奪った。これに続いたのは、福住の1分21秒722。以下、平川、宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、野尻、笹原と続いた。
明日はいよいよ開幕前テストを打ち上げる1日となるが、どんなセッションが展開されるのか。各チームの準備の様子が気になるところだ。
初日総合 1位
大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)
初日総合 2位
福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)